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弱すぎたのでニューゲーム  作者: みりか
6/6

対面

「ただいまー、ちゃんとお野菜買ってきたよー。」


 そんな声が家に響く。


「っ!…お母さん、その人だれぇ…?」


 僕を見て一番にお母さんに隠れ僕の目から逃れようとする。


…まあ人見知りなんだからしょうがないよな。両親しかいないと思ってたのに急に知らない人間がいるんだからな。


「この人は冒険者のユウタさんよ。お母さんたちが用事でいない間は冒険者さんにあなたとおうちを守ってもらうって話、前にしたでしょう?」


 それを聞いて納得したような顔にはなるが、それでもお母さんに隠れている。


「それは知ってるけどさぁ…でもさぁだってさぁ…」


 とちょっと不安げな感じだ。そりゃあそうかもなあ。


「ユウタさんとお母さんたちが今お話ししてたんだけどね、ユウタさんはとても丁寧な対応をしてくれていて、あなたのことも気にかけていてくれたの。だから最初は怖かったりするかもしれないけど、それでもこの人がいい人だってお母さんたちが約束するわ。」

「お父さんもな、本当はクレアを連れていきたいんだ。でも難しい話がたくさんだしクレアと一緒にいる時間も少なくなってしまう。それにみんないなくなったらだれもパトのを面倒をみてあげられないだろう?だから今回は少しだけお留守番を頑張ってみてくれないだろうか。」


 と両親が説得していると、だんだんとクレアはこっちに顔を見せてくれるようになってきた。


 まだ少し隠れ気味だが、知らない人への不安より親に対する信頼が勝ったらしい。


「…じゃあさあ、お父さんとお母さんがお出かけしちゃうまで、この人も一緒におうちにいてほしいな…ちょっとだけでもこの人とおしゃべりできるようになりたいの。」


 はあああ、なんて優しい良い子なんだろうか!

 優しいしとても落ち着いているし、知らない人で不安もあるはずなのにそれでも歩み寄ろうとしてくれている。

 これはそんなことがあろうとも守り切るしかない、よし頑張るぞ!


「アリアさん、サレクさん、僕からもお願いします。クレアさんと少しでも仲良くなっておきたいんですが、どうでしょうか。」


 少し悩んだそぶりを見せた二人だったが、やがてうなずいた。


「では、私たちが里に向かうまでの1週間の間わたしたちの家で生活していただいてもよろしいですか?」

「はい、ありがとうございます!」


 こうして無事両親の許可も得られたため僕はサレクさん一家とともに1週間過ごしていた。


 その中でわかったことなのだが、クレアは人見知りというわけではなかった。


 どうやらクレアは今まで友達というのがいなかったため、誰かと仲良くする、というのがどうすればよいのかわからなかっただけらしい。


 それからというものの僕はクレアといろんなことをして遊んだ。


 前世の知識を生かしてじゃんけんや、鬼ごっこ、かくれんぼなどでたくさん遊んでいた。


 だんだん僕とクレアは仲が良くなり、僕にを少しずつ甘えてくれるようになった。


 そうして過ごしているとあっという間に1週間が過ぎた。


 そう、サレクさん、アリアさんの出発の日である。


「クレア、ユウタさんの迷惑にならないようにちゃんといい子で過ごしているんだよ。」

「少し長い間出かけてしまうけどさみしい思いをさせてしまうかもしれない。だからできるだけ急いで帰ってくるな。お土産、楽しみにしておいてくれ。」


 そうして心配する二人だったがクレアは元気に返事をしている。


「私、ちゃんとユウタと仲良くなれたよ!だから心配しないで!お土産とかいろんなお話とか楽しみに待っているね!」

「サレクさん、アリアさん、僕が責任をもってサレクさんと一緒にこの家で待っています。なので安心していってきてください。」


 それを聞いた二人は僕に深々と頭を下げ、そしてこの街を出て行った。


 だんだんと見えなくなる二人の背中を見送った後に遂に僕の依頼が始まった。


 まず僕たちが決めたことはこの1か月ほどの間にどうやって家で過ごすかである。


 僕は依頼を受けた身であるため、基本クレアと一緒に行動をしていようということなった。


 そしてクレアは3日に1回はパトを散歩に連れて行こうといった。


 パトを散歩に連れて行くということはついでにこの街にどんなものがあるかを確認することができるため二つ返事で了承した。


 そしてご飯であるが、僕は前世を思い出しながら、クレアはお母さんから教わったことから少しだけ料理をすることができたため、朝と晩は僕が、昼はクレアがということに決まった。


 そうやってどうやって生活するかを決めている中で一つ問題が生じた。


 それはいたって単純で、お金が足りなかったのだ。


 もともと、お金がないからこの依頼を受けた、ということもあって僕はほとんどお金を持っていなかった。


 クレアもまだ子供であるため家にあるお金を使うことに抵抗があるようだ。


 さあ、困った。サレクさんたちとお金について何も話していなかったのは完全に僕の失態だ。


 どうしようかと迷っていると不意にクレアが言った。


「一緒に依頼を受けてみない?」


 最初はとても渋った。

 これでもしもなにかあったら二人に顔向けできないからである。


 だがお金がないのはかなり深刻な問題なので、どうしてもそうせざる得なかった。


 クレアは昔、サレクさんの魔物退治についていくために冒険者カードを発行していた。


 そう、クレアも一応は冒険者だったのである。


 ちなみにクレアのランクはE+でその辺のスライムくらいなら勝つことができるらしい。


 本人曰く、風・水・土の魔法が使えるそうだ。さすがエルフ。


 僕はまだ何も持っていないので戦うことができないが、とりあえず落とし物探しなどの簡単な依頼を受けてお金を貯め、小さな剣と盾を購入した。


 そうして少しの準備が整った僕たちは、クエスト掲示板に足を運んだ。

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