依頼
やあ、おはようございますみなさん!どうもユウタです!
本日は異世界からお送りしておりま~す。
今日はなにをするのかって?そりゃもちろんこの世界で初めて依頼を受けるんです!
どんな依頼かというと端的に言えば子守りですな。エルフの女の子を両親がいない間面倒を見よう(見てもらおう)という、まあそんな感じです。
…とか言ってみたもののやはり少し緊張はある。
知らない人と話すわけだしその子と1か月くらい一緒にいるわけである。
なにか問題があるかもしれないし、まず僕が受け入れてもらえるかもわからない。
まあそんなこと言ってても仕方ないしとりあえず行ってみるか。
僕は身支度をすると昨日止まった冒険者専用のギルドの宿屋を出る。
この宿は冒険者ならだれでも利用することができ、様々なサービスを提供してくれている。
そこから少し離れたところに目的地を見つける、と、そこにはかなり大きな木製の家があった。
面積はどんなものだろう。今の宿屋くらいあるんじゃないか。
そして大きめの庭にはペットだろうか、少し大型の犬のような動物がいた。
その動物が入っている小屋には名前が書いてある。
パトという名前らしい。パトラッシュみたいで覚えやすいな。
と、こんな風に多分この家の人間は相当のお金持ちだろう。
うへえ怖いよぉ。。。なんて言ってられないな。
そりゃ緊張だってするしこんなお金持ちの家みたいなもの見たらそりゃもうvery nervousだよ。
けど依頼は依頼だからと自分に言い聞かせ意を決してノックしてみる。
「ごめんくださーい!依頼の件で来ました!」
そうして出てきたのは年若い見た目の耳の長い男だった。
「おはようございます。依頼を受けて参りました、冒険者のユウタです。」
「ああ、君が依頼を受けてくれた冒険者か。ありがとう、私が依頼者のサレクだ。入ってきてくれ。」
そうしてお邪魔すると、やはりどこか上品な雰囲気を感じる。
「アリア、依頼を受けてくださった冒険者さんが来てくれたぞ。」
そう呼ばれてきたのはこれまたお若そうな美人さんだった。
「依頼を受けてくださりありがとうございます、私はサレクの妻のアリアです。来たばかりで申し訳ありませんが早速以来の話を進めてもよいですか?」
そうして席を進められて依頼についての話が始まる。
「もう一度自己紹介をする。エルフのサレクでこちらは妻のアリア。
今回依頼したのは私たちがエルフの里に少し戻らねばならない用事が出来てしまったからだ。
どうにもエルフの里で次の里長を決めるときに揉め事が起きてしまったようでな。もともと里長は自分の祖父だったんだが、最近老衰で死んでしまってな。長を次ぐのはうちの父親になるという話だったんだが…やはりそう簡単に話はいかなくてな。長を志す若者が出てきたそうでかなり今里が荒れているそうなんだ。」
おおう、なんだか大変だな責任者というものは。
「そしてその問題が解決するのに最低でも1か月はかかるそうなんだが、そんな面倒な問題にうちの娘を連れて行くのは少し忍びなくてな、少しこの街で待っててほしいんだが一人で留守番できるほどの年齢でもなければ、子供一人で待てるほど短い時間でもない。そこで君たちに面倒を見ていてほしい、というのが今回の依頼内容だ。」
なるほど、ある程度は理解した。
確かに実家のごたごたに自分の身内を、それも子供なんてできる限り巻き込みたくないのだろう。
と、そこで気づいたがクレアさん?の姿が見えない。
「そういうことだったんですね。それでそのクレアさんとはどこにいらっしゃるんですか?」
そう聞くと二人とも少し気まずそうな顔をする。
「今クレアは少し買い物に行っている
…そして実はなんだが、あの子は少し人見知りをする子なんだ。この街に着てまだそこまで長くないから同年代の友達もおらず大人にもあまり懐くことがない。だからこの街の冒険者たちなら同じくらいの年の人もいるんじゃないかとそう思って依頼を冒険者ギルドに送ったんだ。」
なんともクレアさんは人見知りさんなんだそうです。
う~ん前途多難だなあ。
「クレアは悪い子では決してないのですが、やはり人見知りが多いところがあって…これを機に少しでもその癖を直せたらいいなとそんな考えもあったんです。」
たしかに誰かと話す経験も積むことで人見知りの解消、そしてちょうど?よくチャンスが巡ってきたのだ。そう思っても仕方ないのかもしれない。
「どうでしょう、少し難しい話かもしれませんがどうか受けていただけないでしょうか。」
「そうですね…まだクレアさんとお話ができていないので何とも言えないのですがもしも問題なさそうであれば依頼を受けさせていただきたいと思います。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
なんてキラッキラの笑顔で言われてしまった。美人のスマイルはずるいよう…
そんなこんなでクレアさんが依頼を受ける前提で、ほかのことについていろいろと聞いてみる。
家の設備は好きに使っていいとか毎日パトのお手入れを欠かさないでほしいとか。
そしてそんなこんなで様々なことを確認していると、
「ただいまー、ちゃんとお野菜買ってきたよー。」
と間延びした声が聞こえた。
さあ、この依頼最初の難関が来た。