表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱すぎたのでニューゲーム  作者: みりか
3/6

異世界

「…ここが異世界かあ。」


 僕が目を覚ましたところは草原のど真ん中だった。


 おそらく今の季節は春なのだろう。暖かい風が吹き、どこかほんわかした気持ちになる。


 さて、僕の今の装備はどんなもんだろうか。


 あのカミサマのことだしなにか装備をくれていることだろうと自分の体に目を向ける…


 …そんなことなかった。割とどこでも見る服にどこか見覚えのある気がするズボン、あとは革のブーツと小さな袋くらい。


 望んでいた役職の必需品である盾はおろか武器も防具もない。


 なぜ、なぜだ!


 剣の一本や二本くらいくれてもいいじゃん!


 このイノシシモドキ?に襲われて死んだりしたらどうするんだ!…ん?…え?


 …イノシシモドキ? 


「グルルル…」


 oh…まずい、死ぬ。


 目の前に現れたのは1.5mはありそうな赤黒いイノシシだった。


 「うわあああああああああ!!!!!!」


 それを目にした瞬間生存本能に任せて全力で逃げる。

 カミサマに強化してもらったおかげかとんでもないスピードで走っていたがいまはそんなことを気にしていられない。


 走って走って走り続けて、気づいたらどこか街のようなものが見えてきた。


 「はあ、はあ、ほんっっっとになんなんだよもう…」


 逃げ切れたことを確認した瞬間とてつもない疲労感に襲われる。


 そしてさっき遠くに見えていた街が目の前にきたことで安心感がわいてきたため少し落ち着く。


 さあ、異世界ライフ一発目からなかなかパンチのきいた出来事が起きたがまあいい。

 これもファンタジーもとい新しい人生の醍醐味といったところだろう。


 それもさておき、やはりあの街が気になるな。


 そう思いその街に続く門まで近づいてみるとそこには門番のような衛兵がいた。


「そこの冒険者さんかな、この町は初めてかい?」


 どうやら気さくそうな人だ。やはり人には恵まれるのは今生でもいっしょなのかな。


「うん、最近この辺に来たばかりであまりこの街に詳しくないんだ。だからこの街について教えてもらってもいいかな?」

「この街について?…それはいいがこの街を知らないのは珍しいな。アイギスはこの大陸でも割と大きめのほうなんだが…」


 といぶかしんではいたもののそれはそれとして教えてはくれるらしい。


「ここは若者の中でも冒険者を志す者が集まる街、アイギスだ。主に未熟な者たちが死なないようなサポートは大陸どころか世界の中でもトップクラスだろう。」


 ほう?割と自分に都合がいい感じがするな。これもカミサマの配慮なのかなあ。


「そしてこの街一番の特徴は盾術専門のクランがあることだな。元々、この街の名前も伝説の盾が由来になっている。」


 ほえ~、やっぱり来た場所は完璧なんだな。ありがたやありがたや。


「とまあこんなところだ。そろそろ街に入る手続きをしてもいいか?」


 と小さな機械をこちらに差し出してくる。


「これは対象の個人情報を表示し身分証を作成してくれる魔道具だ。ここに手をかざしてくれ。」


 言われるがままに手をかざすと目の前に透明なウィンドウと小さなカードが出てくる。


「そのカードがお前の身分証になる。無くすと再発行が面倒なんだ。気をつけろよ。」


 そんなことを聞きながらウィンドウを見てみるとそこにはカードよりも詳細な情報が映し出されていた。


名前   ┃カナデユウタ

職業   ┃冒険者

所属ギルド┃無所属

所属PT ┃無所属

ランク  ┃E

装備   ┃丈夫な服、丈夫なズボン、革のブーツ、マジックバッグ

加護   ┃盾の加護、精霊の加護、幻惑の加護


 それを見ながら情報を確認していると衛兵さんがぎょっとした目でこちらを見てくる。


「お前加護を3つも受けているのか?!それにマジックバッグだと?!」

「あの~…加護って何なんですかね?」

「知らない人間も多いが加護っていうのは神に与えられた才能のことだ。盾なら盾の扱い、精霊なら魔法の扱い、幻惑は…まだ解明が進んでいないが見切りや回避などが得意になる?そうらしい。」


 おそらくこの加護たちはカミサマにもらったものだろう。3つも持ってる人少ないらしいからちょっとずるした気分。

…いやまあずるいか。


「ちなみにだが加護のなかにもランクがあってな。盾はCランク、精霊はBランク、幻惑はAランクだ。」


 ほう、これはレア度みたいなものなのかな。ランク高いほどめったに見ない的な。


「そしてマジックバッグは本体より小さいものならいくらでも収納できるというものだ。持っている人間は少ないがまあ、見ることもなくもない。」


 なんと!めっちゃ!便利じゃん!初期装備最高!


「さあ、もうお前はこの街に自由に出入りできるぞ。自己紹介がまだだったな、俺はドットだ。まだ未熟なお前が成長してくれることを願っているぞ。」

「はい、ありがとうございました!」


 そうして僕はアイギスの街に足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ