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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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新しい子たち

主人公・セラ視点になります。


※前のページの人物紹介には書きませんでしたが、シアノと同じく今年12才になった少女「アイラ」がしれっとでてきます。その他にも新キャラ4人。

 ジュリ達が出ていったその日、僕達は一斉に誕生日を迎えたらしい。


 僕、クルカラ、オープルの3人は6才になった。そして新たに5才の子ども達が世話人に連れられてきた。


「こっちから順に、ルーン、リリカ、アイビス、ヨーカだ。シアノ、あとは頼む」


 名前だけ告げてシアノに丸投げした世話人に少し違和感を覚えたが、それよりも新しい子たちのことだ。


 ルーンは背中まで伸ばした金髪に金色の目をしており、目の色こそ違うがジュリが小さい頃はこんな感じだったのかなと思わせるような見た目をしていた。まるでどこかのお姫様のように純粋でキラキラした目をしている。


 リリカはショートの銀髪に灰色の目をしており、ルーンと並ぶと2人で対のような印象を受けた。小鹿亭にも灰色の髪色の子はいるが、光を反射するような銀髪の子はいなかったので珍しい髪色なのかもしれない。少し眠そうにまぶたが下がっていて、もしかするとシアノと同じように無表情キャラなのかもしれない。


 アイビスはツインテールにした赤茶の髪にツリ目気味の真っ赤な目をしており、ミルカっぽい雰囲気を感じる。今年赤いアッポの実を食べて泣くのはきっとこの子に違いない。わからないけどね。そんな気がする。


 ヨーカは肩まである黄緑の髪に薄緑色の目をしており、他の子に比べて表情が硬いため少し緊張しているみたいだ。


 みんな思い思いに新しい子たちに話しかけているので、僕はヨーカに話しかけようかなと思っていたら、クルカラに腕を引っ張られて遊びに誘われてしまった。


 クルカラは新しい子達に興味が無いんだろうか?


 その後もルーン、リリカ、アイビス、とは挨拶したり、ぽつぽつと話す機会はあったものの、ヨーカとはタイミングが合わず会話しないままその日が終わってしまう。


 仕方がないので明日話しかけようと思って寝ようとしたところ、困ったことが発覚する。


 おかしな習慣だが、ここの子たちはいつも寝る前に歯磨きの代わりに、誰かとペアを組んでキスするのだ。僕はいつもジュリとキスをしていたのだが…ジュリが出ていってしまったため、僕のペアがいなくなってしまった。


 …ど、どうしよう…


 沢山の美少女達が思い思いの相手とキスをしている光景を前にどうしたものかと悩んでいると、あることに気がついた。


 …別にわざわざキスで口を綺麗にしなくてもいいのではないか?自分で頑張って舌を伸ばしてキレイにするだけでも問題ない気がする…というか、自分でやった方が絶対にキレイになる気がしてきた…


 僕は今まで何をしていたんだ…


 とはいえ僕だって好きでジュリとキスしていた訳ではない。ジュリが毎晩襲いかかって来るから…そう!今まで1度たりとも僕から求めたことなんて無かった!それだけは弁明させて欲しい。僕は無実なんだ…


 そんなことを悶々と考えていると、急に両のほっぺをむにゅっと包み込まれ、誰かにキスされてしまった。舌がグイグイと押し入ってきてびっくりしたが、どうやら相手はシアノだったらしい。


 ここ1年ですっかり慣れてしまったジュリの舌使いとはまた違い、遠慮なく奥まで入ってくる長い舌が口内をくすぐる感覚に思わず声が漏れてしまう。


 時間にしたら3分もしていなかったのかもしれないが、慣れない刺激ですっかり息が上がってしまい頭がぼーっとする。ジュリだってここまで激しくなかった…ような…あれ?そういえばいつも意識が朦朧とするまで続くせいで覚えてない…


「ふむ、たまに見かけていましたが、思っていたより楽しいですね。明日からも私がしてあげましょう」


 た、楽しいって…な、何を言ってるんだ!?


「ちょっと!独り占めなんてずるい!私だってしてみたいんだから!!」


 !?!?!?


 誰だ今の!?何を言ってるんだと思ったら、周囲から私も私もと声が上がり言い争いが発生してしまった。


 …一体この子達は何を言い争っているんだろう…


 今までジュリに独り占めされてたとか、これからはみんなのものだとか、僕の理解が追い付かない会話をしているのを唖然として見ていると、世話人がやって来てうるさいと怒られてしまった。


 またセラか、と呟いているのを聞いて抗議したかったが、さっさと出ていってしまったので文句を言う暇がなかった。


 時間がある時に文句を言っておこうと心のメモに記し、その日は大人しく寝ることに。


 …1人で寝るのは久しぶりだなぁ。


 ジュリが客の相手をする時は1人で寝ることもあるが、夜遅くになると帰ってきて必ず抱き枕状態で寝ていたので、そう考えると本当に久しぶりらしい。およそ1年ぶりくらいか。


 今夜はのびのびと寝られそうだ。


 ………


 ……


 …


「………い」


 ゆさゆさと体を揺さぶられる。


「……起きてください」


 うぅん…まだねむい…


「起きなさそう?」

「…セラ、セラ…ダメですね。アイラ、窓をお願いしても?」

「いいよー。セラは可愛いねぇ」

「ん。ありがとうございます。今は私のセラなので」

「なにそれぇ。みんなのセラだからねぇ」

「セラから抱きついてきたので私を選んだということです。だからセラは私のもの」

「いやいやぁ…隣にいたからでしょ。今日の夜は私がそっちで寝るからねー」

「…セラを挟んで寝れば平等」

「え、なにそれ…昨日は独り占めしたくせにぃ」


 頭をさらさらと撫でられる感触が気持ちいい。もう少し寝ていたい気持ちもあるが、頭の上で何度も僕の名前が出てきているせいで目が覚めてきてしまった。


 ふあぁ…っとあくびをして目を開けると、目の前の視界が遮られていた。


 …???


「…起きましたか」

「ほんとだぁ。おはよー。甘えんぼさん」


 声のするほうを見ようと顔を上げると、なんとシアノが僕に抱きついていた。…いや、僕がシアノに抱きついていた!?な、なんだ!?なんでだ!?!?


 何故か僕の両手がシアノの腰に回され、ぎゅうっと抱きつく格好になっていた。視界が遮られていたのはどうやらシアノの胸に顔を埋めていたかららしい。


 …な、なんて事をしてしまったんだ…仮にも僕はおじさんと呼ばれるような年齢なのに…身体は子どもだけど…寝ぼけて少女に抱きつくなんて犯罪だよ…


 衝撃の事実に唖然としていると、抱きついた格好のままシアノにおはようのキスをされてしまった。離れようにも背中に手を回され逃げられない。


 寝起きで混乱しているところに激しいディープなキスをされて、もう何が何だかさっぱりわからないが、一つだけわかったことがある。


 シアノの舌は長い。


 昨夜も口の中を蹂躙されたが、2度目ともなるとジュリとの違いが一層わかってくる。

 遠慮なく奥まで入ってくる舌のせいで強制的に口を大きく開けさせられ、体格差のせいもあるのだろうが長い舌が喉の方まで遠慮なく撫で上げ喉奥をくすぐり、身体が否応なしにビクついてしまう。


 寝起きから強烈な刺激に涙が零れてきたところでようやく解放してもらえたが、息も絶え絶えな状態で息を整えているうちに再び眠ってしまっていたらしい。


 世話人が食事に呼びに来たところで少女たちに再び起こされることになった。


 そんないつもと違う一日の始まりだったが、その日からおかしな日々が続いた。


 何故か新しく来たヨーカだけが世話人に「お勉強」と称して毎日地下室に連れて行かれ、怪我をして目を真っ赤に泣き腫らして帰ってくるのだ。


 ヨーカのそばには常にシアノが付いていてよく抱きしめている様子は見かけるけれど、他の子たちはあまり話しかけていない。


 …おかしい。何かわからないけれど、みんなの雰囲気がすごくおかしい。


 不審に思い世話人に聞こうとするも、機嫌が悪いのか仏頂面でそっぽを向いて「今は忙しい」とどこかへ行ってしまう。


 ヨーカの側へ行こうとしても、クルカラやオープルが常に僕の周りにまとわりついていてヨーカに近付けない。


 最初はみんなヨーカの事を気にしていないだけかと思ったけれど、違う。

 みんながヨーカから距離をとっているし、僕がヨーカに近付こうとするのを明らかに妨害してきている。


 なんでだ?


 ここにいる子たちはみんないい子だ。おかしな常識を植え付けられてしまっているのは確かだが、イジメや意地悪をするような子たちじゃない。


 それに、みんな遠巻きだけどヨーカの事を心配している雰囲気はひしひしと伝わってきている。


 それなのにどうして話しかけない?何故みんな不安そうな顔をしながら、何も無いようなフリをしているんだ?


 僕がヨーカの方に近付こうとするのを露骨に邪魔しようとするクルカラにイライラする。


 ヨーカのそばにずっといるシアノも、最近は相当ストレスが溜まってきているらしい。ストレスを発散するかのように夜のキスが日に日に激しくなっていき、今では毎晩喉奥に入ってくる舌のせいで窒息して気を失うまでキスが続くため、僕も毎夜生きた心地がしない日々を送っている。


 クルカラを強引にでも振り払ってヨーカの元に行ってしまおうか。


 そんな事もちらちら頭に浮かんでくるが…クルカラの必死に妨害している時の表情を見ると、無理やり押し通るのが可哀想に感じてしまう。


 理由は分からないけれど、僕のために妨害しているのがヒシヒシと伝わってくるから。


 そんな陰鬱とした雰囲気が漂う日々で、ついに看過できない出来事が起きた。


 世話人が泣いて嫌がるヨーカを地下室に連れて行こうとしたのだ。


 最初の頃は青タンを作ったりミミズバレができたり、怪我をして帰ってきていたヨーカだが、それも数日だけ。あとは泣き腫らして帰ってくるのが続いただけで怪我なんかしてこなかった。


 僕も世話人とジュリからお勉強を受けているし、世話人が無理矢理何かをしてくることもなかった。


 だから…僕はどこか、楽観視している部分があったのかもしれない。


 ヨーカが思ってたのと違ったとか、世話人が臭いだとか、それで泣いて帰ってきているのだと思いたかったのかもしれない。


 でも…


 必死に泣きながら「ごめんなさい」「もうヤダ」と何度も訴える声を聞いて、はっきりわかってしまった。


 これは、駄目なやつだ。


 クルカラが僕の腕を引いて、強ばった表情で「お絵描きに行こう」と震える声で言うけれど、ごめん。今回ばかりは無理だ。


 僕はクルカラの手を強引に振り払…おうとしたが、クルカラの方が力が強かったらしい。


「はなして!!」

「ダメ!!おえかき!!行くの!!」


 クルカラが必死に腕にしがみついてきて離れないせいでヨーカと世話人のところに行けない。


 世話人がちらりとこちらを見て嫌そうな顔をした後、力ずくでヨーカを引き摺り始めたのを見て僕はたまらず怒鳴り声を上げた。


「せわびと!!!やめて!!!」


 怒鳴り声を上げたつもりだったが、僕の小さい身体から発せられた声は情けないくらい怖さの欠片もない声だった。


 そして、世話人はヨーカを引き摺るのをやめない。


 何度も叫んだけれど、僕が叫ぶ度にクルカラも泣きながら「セラ、だめ!!」と叫んでくる始末だ。


 僕が悪いのか?そんなわけがない。


 今まで世話人はなんだかんだ言いながら、僕の話に真摯に向き合ってくれていた。


 それなのに。


 世話人は泣いて嫌がるヨーカを引き摺って、地下室の扉の中に消えていった。


 後には僕に抱き付き離すまいとするクルカラの泣き声と、痛い沈黙だけが残った。

今回から個人的に3章のようなものに入りました。これまで意味深なタイトル名にしていましたが、若干タイトルを考えるのが負担になっていたため今回からは前後の繋がりだとか一切関係なく適当にタイトルをつけることにしました。(←言い方)

そして文字数も今までは3000文字前後にしていましたが、とりあえず話を進めるため文字数をあまり考えないで投稿していくことにしました。2000文字とか短い時もあると思いますが、5000文字とか、長くても1万文字以内にするつもりです。読みずらくなったらすみません。


更新はゆっくりペースにはなりますが、3章(仮)もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
シャドウハウスみたいに何もわからないところから孤児院や自分たちについてのことが少しずつ明らかになっていく過程が丁寧に描かれていておもしろいです! タイトルや文字数って言われてみると考えるのが大変そう…
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