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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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おきゃくさま、むり!

※少し性的な表現があります。苦手な方はご注意ください。

※少し痛々しい表現があります。苦手な方はご注意ください。

「セラと一緒にお仕事できるなんて、私とっても嬉しい!!あ!!ジンムカ様はとっても優しいから大丈夫、心配ないわ。何かあっても私と一緒だから!!」


 ジュリは嬉しさを表現するかのように僕を優しく抱きしめて身体を左右に揺らしている。


 僕の顔を挟み込んだ胸のふくらみが左右に揺れるごとに僕の頬をぽにぽにと柔らかく叩くけれど、その感触を味わう余裕もなく、あまりにも強烈な話の内容と急展開に僕は半ば放心状態になっていた。


 何かあっても私と一緒…???


 百歩譲ってジュリには女性として男性を受け入れる穴があるかもしれないが、僕にはない。


 あるのはお尻の穴と…アソコも玉もちょんぎられて、穴のように空いてしまった傷口だけだ。


 おしりの方ならまだ何とかなるかもしれないが、間違って傷口の方にねじ込まれでもしたら…ちょっと想像するだけで背筋が凍りつくような底知れない恐怖心が湧き上がってくる。


 ちなみに目覚めた頃は悶絶するほど痛かったアソコの傷口も、今ではすっかり痛みはなくなった。


 ただ、傷口の穴は塞がっていない。


 完全に塞がってしまったらおしっこをする時に困ったかもしれないので安心した部分もあるが、おしりの穴の近くまで広く深く穴が開き続けているのは正直いって怖い。なにかの感染症を引き起こしたりしないだろうか。


「セラ、頑張れよ」


 いつの間にか隣に来ていた世話人に頭を撫でられ、現実逃避していた意識がハッと戻ってきた。このまま流されるのはまずい!!


 とっさに僕は首を勢いよくブンブンと横に振った。


「あうっ」


 ジュリの胸の間に収まっている状態で勢いよく首を振ったせいで、今度は僕の頬でジュリの胸をペチペチと叩いてしまったようだ。


 しかし今はそんなことに構っている余裕はない。


「おきゃくさま、むり!」

「ど、どうしたの、セラ?」

「セラ、大丈夫だ。お勉強でもちゃんとできてるし、ジュリも一緒だ」

「…むりー!」

「あっ、あうっ…セラ、胸のなかで暴れないで…」


 むりーと言いながら首をふるふると振る。


 僕にお客さんの相手なんてできる訳がない。そもそもする気もないのだが、前に言っていた7才くらいから偶にお相手が〜って話は一体全体どこへ行ったのか。2年くらい余裕があるはずじゃなかったのか?


 というかジュリさん…胸のなかで暴れないでとかいう前に、少し身体を離してほしいんですけど…


 何故かぎゅっと抱きしめられるわけではなく、しかし僕の背中と首ががっちりホールドされていて、ジュリから身体を離すことができない。そのせいで僕が首を振るとジュリの胸の内側を頬でペチペチ叩いてしまう絶妙な位置に頭が固定されているのだ。


 実際に僕が首を振るたびに「あっ」「んっ」と、ちょっと艶めかしい吐息が頭上から漏れ聞こえてくる。


 頬にあたる柔らかい感触と聞こえてくる吐息に思考が乱されそうになるが、僕は必死に言い訳を続けた。


「おしゃべり、じょうずにできない。むりー」

「あっ…ジンムカ…んっ…様には…ふぅ…伝えてあるわ。んっ…気にしないって…言ってたから…大丈夫よ」

「…おべんきょう、わからないことばっかり。むりー」

「セラはお勉強頑張ってるからな、もうクルカラやオープルよりも上手だ。それに2人よりお勉強も進んでいる。自信を持て」


 え?クルカラとオープルのほうが早く勉強始めてたんだよね?抜かしてたの?っていうか、キスと棒舐めるくらいしかしてないんだけど。


 さては…僕を言いくるめて客に突き出すつもりか!見た目が5才くらいの子どもに見えるからって舐めてもらっては困る。


「おきぞくさま、えらいひと。おべんきょう、もっとしないと、むりー?」


 どうだ!お貴族様とやらは偉いんだろう?それなら失礼のないように、ある程度礼儀作法とか何やら覚えなくちゃいけないことがあるんじゃなかろうか。


 礼儀も作法も、言葉さえもあやふやな僕では無理に決まっている。というか男の客の相手なんて嫌だ!!わかってくれ!!


 世話人は少し真剣な表情でたたずまいを正すと、座ってジュリの胸に抱き寄せられている僕と視線を合わせようと屈んで…ジュリの胸の陰に隠れて見えなくなった。


「…」

「…」

「はぁ…はぁ…」


 ………


「ジュリ、そろそろいいんじゃないか?」

「まだよ」


 なにがまだなのか。ジュリの胸に視界を遮られているので世話人の表情は見えないが、声だけで呆れた顔をしているのがわかる。


「…」

「…」

「はぁ…はぁ…」


 ジュリがあんあんうるさいので僕はもう首を振っていないのだが…ジュリが身体をわずかに左右に降っているせいで頬にぽにぽにと胸が当たっている。ずっと胸元の僕を見てはぁはぁ言ってるし…真面目な話してるはずなのになぁ…


 世話人も早々に諦めたらしく大きなため息が聞こえてくると、すっと立ち上がり僕からもまた見えるようになった。


「…セラ、お貴族様のお相手をする時は、本当ならお勉強をしっかりして、ちゃんとお相手ができるようになってからじゃなくちゃいけない」


 そうだよね。僕じゃ絶対に無理だ。礼儀作法も何もわからないし、そもそも相手はジュリLOVEなロリコンさんだ。男の僕に何をしろというのか。


「心配な気持ちはわかるぞ。でもな、お貴族と約束した事を破るのは絶対にしちゃいけないことだ。もうジュリとセラの2人でお相手をしますと約束してしまったからな」


 むぅ…そういえば2人で相手することが決まったとかって言ってたっけ…くそ…逃げ道はないのか…


「大丈夫だ。何度も言っているがジュリも一緒だし、ジンムカ様は優しくて良識のあるお方だ。小鹿亭には色々なお貴族様が来るが、俺が会ったことのあるお貴族様の中でジンムカ様ほどいいお貴族様は他に見た事がない。そんな方とお知り合いになれるというのはとても幸運なことだ」


 12才の少女をお金で買ってぺろぺろするロリコン変態野郎は良識のあるいいお方なのか?僕の中の常識では、そうゆう奴のことを性犯罪者というのだが。


「セラ、大丈夫だ。それにジンムカ様が来るのはまだ少し先のことなんだ。どんな風にお相手をすればいいのか、ちゃんとお勉強するだけの時間はある。そう難しい顔をするな」


 結局拒否しきれずお貴族様のお相手とやらをすることが決まってしまった。「今後のこともかかっている。どうか頑張ってくれ」なんて悲しげな顔で言われたら、僕に拒否権なんかないじゃないか…


 その後、ジンムカ様が来るまでお勉強を週2回に増やしてお客様とのやり取りの予習する時間を作ってくれることになり、お話は終了となった。


 庭のみんなの元に戻ると、ジュリから上機嫌で僕と2人でジンムカ様のお相手をすることになった事が発表され、みんなから心配の声をもらった。


 そりゃそうだよね…ジュリは上機嫌だけど、普通に考えれば5才で男娼として客の前に立つとか、ありえないし心配してくれるものだよね…出会った頃のあの包み込むような優しさと清楚さと気品さを漂わせていたジュリは、一体どこに行ってしまったのだろうか…


 そういえばジュリは収穫の時とか、僕から離れてみんなと行動している時は優しく頼りがいのある出会った頃のような言動をしているような…


 …僕のせいか?僕が何をしたっていうんだ…


 ジュリがジンムカ様が僕のお相手をする経緯を説明し終わると何故かみんな少し安心したみたいで「こわいと思ったらジュリに抱きつけばいい」とか「がんばって」とか応援された。


 誰かが代わってあげるとか言い出してくれないかと期待してたんだけど、誰も代わってくれる気はないようだ。


 ちぇ…

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