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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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毎晩抱きしめられて

※後半に性的な表現があります。苦手な方はご注意ください。

 僕が子どもになっていた時点で普通の施設じゃないことはわかっていたけどね。


 それに加えて、ただの実験施設というわけでもなかったのだ。


 昼食の後や夕食の後、子どもの何人かが呼ばれて出ていくのは知っていたし、気にはなっていた。

 ジュリに聞くとなんでもない事のように「お客様のお相手をするのよ」と微笑みながら答えてくれていたし、最初のうちはホステスのように客の話し相手をしているのかと思っていた。


 …そう思いたかった。


 出ていく時に誰も嫌な顔をしていないし、普通の顔をして帰ってくる。

 ただ、僕の体が自由に動くようになり、何ヶ月も様子を見ていれば嫌でも気が付いてしまう。


 今夜も夕食が終わった頃、2人の少女に世話人から声がかかる。

 僕を含めた他のみんなは就寝のために小屋に帰っていき、声をかけられた2人は井戸の方へ身体を洗いに行く。



 この子たちは、自分の身体を売っているんだ。



 客の相手から帰ってきた子たちは、決まって誰かに股を舐めてもらっていた。

 トイレの後にも舐めてもらっているが、その時とは漂ってくる臭いが全然違い、男臭さを纏っている。疑いようがなかった。


 ジュリだけは客の相手から帰ってきても股を舐めてもらっているところは見た事がないが、ジュリは子ども達のまとめ役で『1番上の姉さま』という立場らしい。もしかしたら客の相手が終わったあとに特別に洗わせてもらえるのかもしれない。


 極たまにだが、暴力をふるわれる子もいるようだ。しかし、客の相手を嫌がる素振りをしている子もいなければ、そもそも疑問を抱いている子すらいないように感じた。


 極めつけは、このあいだ聞かせてもらった『いつかお姫様になるアリス』という、孤児の少女が娼婦となり、王子さまに見初められてお姫様へと成り上がるシンデレラストーリーとかいうふざけた話だ。


 周りで一緒に聞いていた女の子達が憧れるだとか、こんな恋をしてみたいとか、ジュリが1番お姫様に近いよねとか楽しそうにキャッキャしていたのがあまりに歪で、絶句してしまった。


 どうやらジュリがこの施設にくる前に住んでいた孤児院にある絵本のお話だということだったが、ジュリのいた孤児院とは違う孤児院からきたという女の子達の所にも同じ絵本があったらしく、みんなが絵本の内容を知っていた。


 その後に聞かされたのが、自分たちもお話のアリスと同じ娼婦だということだった。


 そもそも、おはようのキスで舌を絡めてきて喉を潤すとかやってる時点でこの子達がおかしい事はわかりきってはいたが…僕が持っている倫理観や常識を、この子たちは持っていない。


 ああ、ちなみに僕とジュリだけが毎朝毎晩キスしているのではなくて、毎朝女の子達全員が誰かしらとキスしている。夜寝る前にも歯を磨くかわりなのか知らないが、丁寧にキスしている。僕も基本的にジュリから激しくされている。


 部屋の中にいるのは僕以外全員女の子で…しかし僕には既にアソコが付いて無いから肉欲の宴が始まったりはしないが、その光景はいつ見てもあまりにも異様だ。



 …仮にこの施設から逃げる算段がついたとして。


 僕はこの子たちを置いて、1人で逃げる事ができるだろうか。


 もし僕が逃げた場合、この子たちが無事でいられるという保証はないのだ。


 誰かが居なくなればすぐに気付かれるだろう。みんなを説得する?無理だ。まず僕は彼女たちが使っている言語をまだ満足に話せない。現状に何の違和感も不信感も不満も抱いている様子のない彼女たちに、この生活が普通じゃない事をどうやって説明できるというのか。

 そして全員で逃げるにしても、確実に逃げきるには静かに隠れながら街を出る必要がある。30人以上の子どもたちだ。絶対に無理だろう。


 ここで起こっている出来事は、彼女達がさせられている行為は、地球上の殆どの国の誰もが認めないだろう。明らかな犯罪行為だ。そして誰か一人でも逃げた場合、そして捕まえられなかった場合…恐らくこの場所の情報が漏れたと考えるはずだ。そうしたら証拠隠滅のために彼女達は消されてしまう可能性だってある。


 なにせ、大人を子どもにするなんて実験をするくらいだ。僕のアソコもちょんぎられた。まともな倫理観など持ち合わせていないだろうし、最悪の場合を想定するべきだ。


 つまり彼女達を置いていく事なんてできるわけが無い。しかし、全員で逃げる方法を思いつくなんて未来は、現時点では欠けらも想像できなかった。状況が絶望的すぎる。


 僕はすぐにでも妻と娘の所に…恵麻とひかりちゃんの待っている我が家に帰りたかった。帰るつもりだった。でも、それはできない。


 ジュリ達を見捨てていったら、僕は僕を許せそうにない。

 恵麻とひかりちゃんに合わせる顔がない。


 ジュリ達を忘れて生きていこうとしても、多分忘れることなんて一生できないだろう。

 きっと間違いなく、激しく後悔することになる。


 …恵麻、ごめん。まだ…しばらく帰れそうにない。


 これまで散々待たせて辛い想いをさせてきたのに、また待たせることになってしまう僕をどうか許して欲しい。


 でも、必ず帰るから。


 みんなを救って。


 後ろめたさなんて何も無い状態で。


 君の前で胸を張って「遅くなってごめん」と笑顔で言える僕のままで。必ず帰るから。


 だから…どうかあまり心配しないで待っていてほしい。


 何かの実験のせいで身体は子どもになってしまったけれど。

 アソコは無くなってしまったけれど。


 僕はちゃんとここで生きてる。



「セラ、元気がないお顔してる…大丈夫、今日も一緒に寝てあげるからね」



 決意を新たにしていたのにふいに抱き寄せられ、抵抗する間もなくジュリの胸に顔を埋められてしまう。


 完全に油断していた僕の鼻腔をジュリの胸元から漂う濃い香りがくすぐり、顔が、身体が、一気に熱くなってくるのを感じる。頭の中がふわふわして身体もフラフラしてくる。


 他の女の子達の胸に埋められる時には恥ずかしさを感じるだけで、身体は何ともないのに…何故かジュリの胸に埋められた時だけはこうなるのだ。


 最初の頃は何ともなかった…はず。こんなふわふわする様になったのは、ここ2ヶ月くらいだろうか。


 ジュリに客が来る時以外、僕はほとんど毎晩抱きしめられて寝ている。まるで抱き枕にでもなった気分だ。



 …正直に言おう。誠に不本意ながら、アソコがついてなくて良かったと。


 僕の身体はクルカラと同じく6才くらいの子どものはずだが、ジュリの胸元の匂いを嗅ぐと酔っ払ったような、性的に昂っているような、微睡んでいるような…アソコの辺りがジンジンと疼いてきて、頭がふわふわした不思議な感覚になって力が抜けて、否が応でも身体を預けてしまう。されるがままになってしまう。


 僕を抱きしめたまま、背中を、お尻を、ジュリがくすぐる様に優しく撫でる。


 くすぐったさと気持ちよさに身体が震える。

 指が通り過ぎたあとにチリチリとした熱が残って、気持ち良さがなかなか抜けてくれない。


 何度も撫でられるたびに気持ちよさが大きくなっていく。


 ふいにお尻と外ももを撫でていた指が内ももへ滑ってくる。


「…ひぅ!!」


 強烈な快感に、それまで必死に我慢していた声が思わず洩れてしまった。


 小さな笑い声が聞こえてくるのと同時に背中にまわされたジュリの腕に力が入り、僕の口と鼻を器用に胸で塞いでしまう。息ができなくなる。快感の逃げ場がなくなってしまう。


 ジュリの手つきが更に激しくなり、内ももの弱いところや足の付け根の敏感な所を、何度も何度もくすぐられる。


 声を上げることもできず、まるで刺すような気持ちよさにビクビクと身体を震わせることしかできない。


 息ができない。苦しい。苦しさと気持ちよさで頭がおかしくなってしまう。


 涙が溢れる。脳が焼ける。頭の中が真っ白になる。


 もうやめて…しんじゃう…たすけて…だれか…もうゆるして…


 まるで意識を失う寸前を見計らったかのように、ジュリの胸の中から開放される。


「ぷはっ…はぁ…ふぐっ…!!」


 酸素を求めて大きく息を吸ったところに、ジュリの舌がねじ込まれてくる。


 ひと呼吸じゃ酸素が全然足りない。苦しい。


 酸素を求めて必死にジュリの舌を舌で押し返すたび、ほんの少しの新鮮な空気と共に、ジュリの舌が深くまでねじ込まれてくる。


 これも僕が気を失う寸前まで続くのだ。


 ある意味拷問…というか、やられているこっちからしたら間違いなく拷問である。


 結局今日も、文字通り息も絶え絶えになるまでくすぐり責めとキス責めのダブルコンボを決められてしまった。


 そう、『今日も』だ。昨日も、その前の日も。ジュリが客の相手でいない夜を除いて毎晩この拷問が行われている。


「…あなた達、本当に仲良いわよね…ふわぁ…早く寝なさいよ…おやすみ…」


 …ミルカには僕とジュリが仲良くイチャついているように見えているらしい。


 違うんだ、僕が望んでジュリにキスしたりくっついているわけじゃないんだ…反論したいけれど、長時間の酸欠と疲れで身体の感覚が半分無くなってしまっている状態じゃ言葉を発する元気もでない。


 元気があったとしても、僕はまだ上手く言葉が喋れないので諦めているような状態だ。


 嫌なら拒否したり離れたりすればいいと思うかもしれない。


 けれどしかし、拒否したその時はよくても、次の日に本当に気を失うまで激しく責められるんだ。あの時は本当に死んだと思った。目が覚めて心の底から安心した。


 生きるために仕方なく…そう、仕方なくジュリを受け入れているんだ。


 後ろめたい事は何もしていない…本当なんだ…浮気とかそうゆうのでもないし…僕は身体も子どもだし…


 僕は心の中で、遠くで今も僕を待っているであろう恵麻に何度も必死に言い訳をしながら、今日もジュリの胸の中で頭を撫でられながら静かに眠りに落ちていくのだった。

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