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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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ちょんぎられたアソコ

※異世界語をそれなりの文字で書いてましたが、***に統一する事にしました。

 つまり、そうゆうことだろう


 僕は事故でアソコに重大な損傷を負い…それこそ踏み潰されたソーセージの様な酷い状態に…


 …いや、例えるのはやめよう。


 もう無いはずなのに、アソコらへんが何だか痛くなってきた…



 どうなっていたのかは分からないが治療は困難と見なされ、僕の大切なナニはちょんぎられてしまった、と。


 そして何故か僕は子どもの身体になっていて、少女しかいない謎の施設で日本語ではない謎の言語を使う女の子たちに囲まれて看病され、すぐに恵麻のもとに帰ることは難しい事が予想される、と。


 ひとしきり静かに涙を流したことで頭がスッキリしてきたようだ。


 でも、改めて考えてみてもどうゆう状況だ?これ。


 しかも月が3つもあるし。いや、あれは夢だったか。


 …もしかして、地下なのか?天井に空の映像を流しているから今までわからなかっただけ…とか。


 もし、大人を子どもにしてしまう薬とかを開発しているヤバい研究施設なんだとしたら、今の情報社会で全くバレずに維持し続ける方が難しい気がする。


 飛行機はあちこち飛んでるし、ドローンだって安く手に入る。衛星写真だってネットで好きに見られる時代だ。写真を拡大して変なものを見つけた!なんてよく話題になったりもしていたし。


 でも、それが地下にあるんだとしたら。

 空に輝いているのが映像の太陽や星空だとしたら、月が3つあったのも夢ではなかったのかもしれないし、いろいろ説明がつく。


 そもそも庭の周りは高い壁に囲まれているせいで、周囲の様子が全く分からないのだ。


 見えるのは空だけ。


 星座の知識のある人は星座の見え方で季節や自分のいる位置を割り出せるらしいし、映像ならここが何処かバレないように対策できるのかもしれない。



 うん。


 考えをまとめたところで、何かが変わるような事はわかっていないみたいだ。

 何も分からないうちは当初の予定通り(?)記憶喪失のフリをして、彼女たちの言葉を理解する事から始めることにしよう。


 そう考えてから、僕はまず筋トレをはじめた。


 …筋トレなんてかっこいい言い方をしたけれど、腹筋や腕立て伏せなど高度な筋トレではない。腕を上げたり足を上げたり…いわゆるリハビリだ。


 さっき股間を触った時に気が付いたが、ついこの前までは掴まり立ちできそうなほど筋力が戻っていたはずなのに、残念なことに悪夢に魘されていた間にまたすっかり衰えてしまっていたのだ。


 一時は食堂で食べていたご飯も、気付いた時にはこの部屋でみんなに囲まれながらの食事へと戻っていた。


 …もちろんトイレもこの部屋で、みんなに囲まれながらだ…


 何も考えられなくなっていた時はよかった。いや良くはないか…まだマシだった。

 だが、意識がはっきりしてしまった以上、可及的速やかに、何とかしなければならない。


 絶対にだ。


 僕は闘志を燃やして筋トレ(リハビリ)に励むのだった。



 みんなは朝食なのか昼食中なのか。僕は今、誰もいない部屋で1人一生懸命に身体をバタバタさせていた。


 今までの遅れを取り戻すように、一心不乱にバタバタしていたせいだろう。扉が開いたことにも人が入ってきたことにも気が付かなかったようだ。

 部屋に一番に帰ってきたジュリが僕が身体をバタバタさせているを見つけて、慌てて駆けよってきて僕を胸に抱き寄せる。


「セラ!!****…****…」


 突然の抱擁と大声での呼びかけに、一瞬何が起きたのかわからなかった。


 だが、すぐに思い出した。

 僕が悪夢に魘されて起きた時、ジュリはいつもすぐに僕を呼びながら抱きしめ、落ち着くまでこうして声をかけ続けてくれていた。


 多分今回も、僕が魘されているんだと勘違いしたのかもしれない。


 …優しい子だ。


 突然連れてこられたであろう僕の面倒をこれ程までに親身になって見てくれる。

 ありがとうと言いたいのに、ありがとうの言葉が分からない。感謝しているのに気持ちを伝えることができない事がこんなにもどかしくて苦しいものだなんて知らなかった。


 …そして僕は記憶喪失のフリをして、このよくわからない施設から逃げ出すためにこの子たちを騙し続けていくんだ。


「…ジュリ」


 胸に苦いものを感じながら、軽く抱きしめ返して彼女の名前を呼ぶ。


 38年も生きてきて、言葉がわからないだけで感謝の伝え方すらもわからない。ならばせめて、彼女が喜ぶことをしたい。

 今までジュリは、僕が名前を呼ぶと何故かとても喜んでくれていた。


 だから今回も。


 そう思って彼女の名前を呼ぶと、ジュリはおもむろに僕を胸から離し、驚いたような顔で僕の顔を見た。


 …どうしたんだろう。


 驚いた顔のまま、まじまじと見つめられている…まさか記憶喪失じゃないのがバレたのか?名前を呼んだだけで??嘘だぁ…


 …


 ……


 ………


 久しぶりにまともに見たジュリの顔は、目元にうっすら隈ができていて少しやつれているように見えた。



「…セラ?」


 他の女の子たちも誰も声を発さない気まずい状況の中、やっと時が動き出したかのようにジュリが僕を呼ぶ。


 僕はなにか不味いことでもしたのだろうか。ジュリの名前を呼んだだけで。


「…セラ、****?******?」


 もしかして本当に何かやらかしてしまったのかと心臓がバクバクしてきた僕に、ジュリが真剣な顔をして何かを話しかけてくる…が、言葉の内容はさっぱりだ。


 そもそもみんなの名前くらいしか喋ったことないのに、返事なんかできるわけが無い。


 …試されているんだろうか。

 記憶があるんじゃないかと疑われているのかもしれない。どうしよう…


 さっきまで記憶喪失のフリしてとか、彼女たちを騙して〜とか、ちょっと罪悪感を感じていた事なんてすっかり忘れて今をどう誤魔化そうか必死に考えた僕は、「何も分からない純真な子どものフリ作戦」でいくことにした。


 要するに、上目遣いで可愛い顔をして首をこてんとするのだ。


 ダメ押しで「…ジュリ??」ともう一度名前も呼んでみた。


 元38歳のおっさんとはいえ、今は子どもの身体だ。しかも、おそらく5、6歳くらいだろう。小さい子どもは基本可愛いはずだ。今までもみんな可愛がってくれてる雰囲気あったし…たぶん問題ない…はずだ。


 …これでダメなら、もう全て諦めるしかない。

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