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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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赤ちゃんみたいになっちゃった

※ジュリ視点になります

スープを持って部屋に戻るとセラがクルカラに抱きつかれ、みんなに囲まれていた。


みんな私が思っていた以上に心配してくれてたんだ…そう思うと嬉しくなって自然と笑顔が出てくる。


「ジュリ、セラが起きたよ!」「ジュリー、セラが変な顔するの」「ジュリ、セラ撫でてあげると照れて可愛いお顔するんだよ」


私がスープを取りに行っていた少しの間に、みんなセラに話しかけていたみたいだ。

でもちょっと待って、セラ、私以外にあの可愛いお顔見せたの?と心の中がちょっとざわざわするのに気がついて、ちょっと困惑してしまう。


いけないいけない、とにかく今は早くスープを飲ませてあげなきゃ。


「クルカラ、セラにスープを飲ませてあげたいから膝枕してくれるかしら」

「はーい!セラ、クルカラがひざまくらしてあげるねー♪」


クルカラにお願いすると喜んでひきうけてくれた。


オープルが「わたしもひざまくらしてあげたいー」とちょっと駄々をこねているけれど、「オープルは次のスープの時にお願いね」と言うと「わかったぁ」とすぐ納得してくれたようだ。


スープの温度は…うん、冷まさなくても丁度いい温度かな。

スプーンで掬い、ゆっくりセラの口元にスプーンを近づける。よっぽどお腹がすいていたのだろう、少しトロミのあるスープをちゅるんと吸ってすぐに飲んでしまい、早く次がほしいとばかりに唇を少しつきだしてスプーンの動きに目が釘付けになっている。


…可愛い…この可愛さはちょっと反則だと思う。もっともっととエサをねだるヒナのような可愛さに何でもしてあげたくなってしまう。それと同時に、目の前でエサをおあずけするような意地悪をしたい衝動にも駆られる。


ダメよジュリ。みんな見てるんだから…じゃなかった、セラはやっと目覚めたばかり。いっぱい食べて早く元気にならなきゃいけないんだから。意地悪なんかしちゃダメ。

ダメだけど…セラが早く、早くっておねだりする表情を見てみたい…うぅ、我慢…我慢よジュリ!あぁ、でもみんなももしかしたらセラがおねだりしているところを見たいんじゃないかしら…こんなに可愛いんだもの…


そうだ、ちょっと焦らすみたいにゆっくり口元に持っていくくらいならバレないかも?

スープを零さないようにしているみたいに、ちょっとゆっくり近づけて…あぁ!セラがお口をとがらせて待ってる!!可愛いぃ…いえ、こんなのダメよジュリ!よくないから…あと1回だけ……


なんて葛藤にもんもんとしている間に、いつの間にかセラはお腹がいっぱいになってしまったみたい…スプーンをゆっくり近づけてもお口を突き出してくれなくなってしまった。残念…


セラはお腹がいっぱいになって眠くなったのか、閉じそうになる瞼を頑張って開けるけれど、すぐまた瞼が閉じてきて…という動きを繰り返している。ふふ…かわいい


いっぱい飲んでえらいね、がんばりました。と頭を撫でてあげるとセラは何かをもごもご言ってすぐ眠ってしまった。


このまま添い寝したいけれど、次は私たちの夕食の時間だ。

みんなに声をかけて食堂に行き夕食を食べる。


セラの記憶が無いこと、世話人に伝えたほうがいいのかな…うん、誰かがポロッと言っちゃうかもしれないし、あとから誤魔化す方が大変かもしれない。食べ終わったら伝えておこう。


嫌な記憶が無くなったからお客様の相手もできるようになるって言えば、きっとセラをどこかに連れて行ったりしないはずだ。


世話人にその事を伝えると少し考えているみたいだった。


「記憶がないというのがどの程度なのかわからないが…もし本当に何も記憶が無い場合は大変かもしれないぞ?…赤ん坊を育てるようなものだ」


セラが赤ちゃん?…え…かわいい!!


「大丈夫よ!私、孤児院にいた時も赤ちゃんのお世話してたわ!!ふふっ、セラったら赤ちゃんだったのね」

「いや、そうと決まったわけじゃないんだが…」

「色々教えてあげなくちゃ…何から教えてあげればいいのかしら?まずはご飯とおトイレ…あ、でも寝たままだとおトイレに行けないわ。どうすればいいかしら?」

「…目を覚ますまでに使っていた小さな壺があるだろう?あれをトイレ代わりに使えないか?」


セラが目覚めるまでの間、おもらししちゃったものを掃除するのに貸してくれた壺のことだろう。確かにいつでも使えるように部屋の隅に置いてある。汚れた藁をそのまま取り替えるので結局使ってなかったけど、部屋に戻ったらおトイレのやり方をみんなと相談しよう。


「そうね…うん、あの壺でできるか試してみるわ。あとは…言葉も覚えさせなきゃいけないし、お客様のお相手の仕方は…」


思わずお客様のお相手なんて事を口にしてしまいハッとする。まだセラが本当にお客様のお相手ができるかわからないのだ。

今までモーラス様のお相手をした子のうち、なんとか普通通り振る舞えるようになった子も、お相手の仕方を練習しようとすると暴れたり泣きだしたりしてダメになってしまい、結局「医者に連れて」いかれて帰ってこなかった。


どうしよう、よりにもよって世話人の前で1番話しちゃいけない話題に触れてしまった。どうにかほかの話にしないと…


「…はぁ、言葉が分からないのにお客様の相手なんてできるわけがないだろう。「お勉強」は言葉をある程度覚えてからだ」


あわあわしている私に向かって世話人がため息混じりにそう言ってくれた。


「そ、そうね!そうしましょう!!じゃあもうセラのところに戻っていいかしら」


よかった…これからは世話人の前で余計な事を言わないようにちゃんと気をつけないと。セラは私が守るんだから。


「俺が引き止めたわけじゃないんだが。…あぁジュリ、明日の夜はジンムカ様が来るのを忘れるなよ。セラが心配なのはわかるが、しっかり休んでおけ」


世話人はもっと何かを言いたそうにしていたけれど、それだけを言って見送ってくれる。


こうしてセラのことはしばらくこのまま様子を見てくれることになった。



「みんな聞いて」


部屋に戻りみんなにセラの今の状況について話す。


セラが記憶をなくしているかもしれないこと。元気になるまでしばらくこのままみんなでお世話をしていくこと。その後どうなるのか、まだ決まっていないこと。


みんなセラが記憶を無くしているかもしれないと聞いて困惑しているみたい。

クルカラとオープルはさっぱりわかっていないみたいでキョトンとしている。私たちのことも言葉も何もわからなくなっちゃって、赤ちゃんみたいになっちゃったんだと言うと何となくわかったみたいだ。2人ともお世話するんだと張り切っている。


そうだ、セラのトイレの仕方についても相談しなくっちゃ。


寝たままだと壺にトイレすることができない。セラと背丈が似ているクルカラとオープルに手伝ってもらって、みんなで抱っこしたり座らせてみたり色々試してみる。足を開いて抱っこするのが安定していたけれど、おトイレに時間がかかるかもしれないし、長く抱っこしていたら抱っこする側も大変で、抱っこされる側も締め付けられて痛いということがわかった。


試行錯誤を繰り返して、最終的に私がセラを抱きしめて仰向けに寝転がり、寝たままの格好でトイレしてもらうのが1番簡単だしセラの負担も少ない、そして時間がかかってしまっても私も疲れず、トイレしやすいんじゃないかということになった。


私と同じ12才のミルカにもクルカラを抱きしめて仰向けになってみてもらったけれど、ちょっとお尻の高さが足りず、壺を傾かせると零しそうな感じになるらしい。

あまり気にしたことはなかったけれど、ミルカは腰周りがシュッとしてるのね。


うん、予行練習はバッチリだ。


そうこうしているうちに窓の外はすっかり暗くなってしまい、みんなでおやすみなさいをした。

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