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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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これが若さか

 仰向けに寝転がりながら、真っ暗な部屋の中で天井を眺める。

 天井なんて暗くて見えないけど。


 腕に力をいようとすると、すっごいプルプルして痛い。もう筋肉痛がきたようだ。


 …これが若さか。



 …あの後、ジュリが半泣き状態で僕を抱き起こして、柔らかいふくらみで僕の顔をぎゅーっと包み込んでくれた。

 5才くらいの茶髪ちゃん・クルカラが大笑いしている声が聞こえてきて、赤髪の少女・ミルカの怒った声と共に笑い声が消えたので、どうやらクルカラは怒られたらしい。ざまあみろ。


 僕はというと、今ならなんでもできるはず!なんて根拠もなく思いあがって失敗した恥ずかしさと、顔面の痛さにちょっと泣いていたのは内緒だ。


 少し落ち着いたあと、みんな代わるがわる僕を抱きしめてくれて、何か励ましの言葉だろうか?優しく声をかけて撫でてくれるのがやけに恥ずかしかった。


 オープルにも抱きしめてもらったけれど、最後にクルカラが抱きしめてこようとした時には「や!」とそっぽを向いて拒否してやった。


 さっき僕のこと笑ったからね。


 クルカラは他の女の子たちに何か言われてあわあわしながら僕に何か、たぶん「ごめんなさい」を言ってきているけれど、言葉も分からないし知ーらないっ!


 口を尖らせながらそっぽを向いていると、唇を誰かにきゅっとつままれる。


 びっくりして目を開けるとジュリがくすくす笑っていて、僕に何かを言ったあと、僕の顔をクルカラのほうに向けさせて、ジュリは僕ごとクルカラを抱きしめた。


 クルカラはちょっと涙目になっていて、僕を抱きしめ「ごめんなさい」って言っているみたいだ。うーん、ちょっと意地悪だったかな…


 僕もお返しにクルカラのことを抱きしめ返したら、クルカラの顔がパァっと笑顔になった。


 それを見て、僕もつられて笑顔になった。


 なんかいいな、こうゆうの。



 …昼間のことを思い出して、僕は静かにため息をつく。


 ここではみんな閉じ込められていて、スマホもテレビもない生活を送っている。


 閉じ込められていることを除けば、一昔前の生活だ。

 ひとむかし、どころじゃない気もするけど…


 それでも、みんなが笑顔で明るい。

 僕の、もともと住んでいた地域の周りの子どもたちはどうだっただろうか。


 同級生の子どもや、近所の公園で遊んでいる子どもたち。


 確かにみんな遊んでいる時はキャイキャイ明るかったけれど、ここの子どもたちを見たあとだと、どこか暗く、影が差していたように感じる。


 テレビやスマホのゲームのし過ぎ?情報社会で色々な知識が入ってくるから大人びている?


 …みんなでわちゃわちゃと遊ぶ機会が少ない…とか。


 他の子と遊ばせて相手を怪我させると大変だから遊ばせないとか。

 子どもが小さいうちはママ、ママとうるさいからと、子どもにスマホゲームやアニメ、You○ubeとかを自由に見せて自分の時間を確保する。とかいうのもよく聞いた。


 僕が小学生の頃はスマホなんてなかったけれど、よく家庭用ゲーム機をもってる人のうちに遊びに行って、白熱したバトルを繰り広げたりしたものだ。ゲームが最高に楽しかった。


 そして「休みなのに子どもが家にこもってるんじゃない!!」なんて家の大人達に叱られて、みんなでしぶしぶ外に繰り出すんだ。懐かしいな。


 でもゲームが身近になった最近では、外で遊ぶほうが珍しいくらいじゃないだろうか。


 無知であるから、楽しいことを知らないから、便利なものを知らないから、ここの子たちはみんな屈託なく笑い、無垢で明るく、元気なんだろうか。


 この施設を作った人の目的が薬の実験だったとして、ここに閉じ込められている子たちは…


 外で普通の暮らしをしている子どもたちと比べたら、どちらが幸せを多く感じているんだろうか…


 少し考えてしまうな…



 そんな取り留めもないことを考えていると、外から足音が聞こえてきた。

 夜に呼ばれて行った子達が帰ってきたようだ。



 夜ご飯を食べたあと、必ず1人から3人ほどが呼ばれて出ていく。

 その子たちは僕たちが寝る時間になっても帰ってこない。


 寝る時間とは言っても日が完全に暮れて真っ暗になったら寝る時間だから、今が夏に近い季節だとしても8時くらい?にはみんな寝ていることになる。

 そして朝起きるといつも僕の両隣に寝ているから、夜中のうちに帰ってきているんだろう。


 1人呼ばれて言った時は僕の右か左のどちらか1人分、寝るスペースが開いたままになっている。2人呼ばれた時は両隣にスペースが。

 最初は寝る時に僕の周りだけスペースが空いているので除け者にされているのかと寂しく思ったりもしたが、それはただの勘違いだったということだ。



 扉が開いて部屋に明かりが差し込んでくる。いつものガタイのいい男の人と一緒に女の子が1人帰ってきた。男の人は女の子に何かを言って、扉をゆっくり閉める。

 女の子は扉の外からの明かりがなくなる前に僕の隣にきて座った。僕が起きているのに気がついたのか、頭を撫でてくれるおまけ付きだ。


 扉が完全に閉まって真っ暗になったけれど、他の子が起きたのか隣の子と小声でなにか話している。


 なんだろう?……っていうか、なんか臭い。


 普段からこの部屋は臭いんだけど、帰ってきた子から普段とは違った臭いにおいがする…


 生臭いような…ケモノ臭い?ような…あと、歯を洗ってないときに指とか舐めた後みたいな臭いにおい…とか、色々混ざったような臭いにおいが漂ってきてる。


 この子は一体何をしてきたんだろう…連れていかれた他の子達は無事なのだろうか。


 隣から話しながらゴソゴソと少し移動するような音がして、次はぺちゃぺちゃという水音が聞こえてくる。


 ぺちゃぺちゃ?えーっと…うん。アソコを舐めてるんだろうなぁ…


 僕がトイレしたあともそうだし、他の子もたまに舐めてもらっているのを目撃しているから…そうゆう習慣なんだろうなぁ。


 複雑な心境でその音を聞いていると、もう1人帰ってきたようだ。

 ガチャリと扉が開いて光が入ってきたので、ぺちゃぺちゃと音を立てている隣をふと見てみる。


 …なんとびっくり、さっき帰ってきた子はワンピースまで脱がされて胸を舐められているではないか…


 そして今回帰ってきた子は僕の隣、さっきの子と僕を挟むようにして座って僕の頭を撫でてくれるけれど、この子も汗といろいろな臭いにおいにまみれている…


 扉が閉まると部屋が暗くなり、この子もまた他の子と少し話をしたかと思うと、すぐ後にぺちゃぺちゃという音が聞こえてくる…


 ここに来てから驚くことばかりだ。

 驚きすぎて、僕の脳はとうとう考えるのを放棄してしまったらしい。逆に心が冷静になってしまっている。



 …うん、寝よう。


 僕はそっと目を閉じ、すぅっと眠りに落ちていった。

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