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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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雑草責め

 美少女たちに一方的に話しかけられたり、なでなでされたり、抱きしめられたり…


 ちょっと夢のような展開にあわあわすること数十分。


 そうこうしているうちに男の人からみんなに声がかかり、賑やかに外に出ていく少女たち。

 ジュリは男の人と少し話をしたあとに戻ってきて、ミルカに手伝ってもらいながら僕をおんぶしてくれた。


 どうやら一緒に外に連れていってくれるみたいだ!!


 初めて部屋の外に出る。外はどうなっているんだろう…期待と若干の不安を抱きながらジュリにしがみつく。


 …ちなみにこの時掛け布団が外され、僕が着ていた服がほかの女の子と同じワンピースだったことが判明した。

 何となく分かってはいたさ…希望を捨てたくなかっただけで。きっと男の子用の服が無かったんだろうな…


 いや、ドラマとかに出てくる病院に入院してる人が着てる服とか、とても長いワイシャツみたいなやつだった様な…下の世話もしやすそうだし、考えてみたら当たり前か。まぁいいや。


 今まで午後はいつも女の子が数人呼ばれていき、他の子はみんな部屋の中に閉じ込められていたけれど、今日の午後は外で過ごせるらしくみんな嬉しそうな表情をしている。



 さぁ、部屋の外はどうなっているんだろう…



 扉の外には、大きな建物が建っていた。


 土壁…っていうのかな…昔の建築にこうゆうのがあった気がする。発展途上の国では今もあるのかな。

 コンクリートとは違う茶色い泥を固めたような壁で、上の方に窓がそこそこあるから2階建てだろうか。

 そして横幅は30mくらいある、集会所みたいな大きさの建物だ。


 そして僕たちが閉じ込められていたのは部屋の一室ではなく、しっかりした造りの大きなプレハブ小屋だったみたいだ。こっちは土壁じゃないんだね。


 プレハブ小屋と目の前の建物との間には道のように大きめの石が敷いてあって、雨をよける簡単な屋根がついており、廊下のようになっている。


 ここは大きな建物の裏手の庭…ってことか?

 首をひねってななめ後ろを見てみると、後ろのプレハブ小屋の左側には広い庭部分があり、プレハブ小屋の横には井戸、あとは所々に木が生えてちょっとした広場のようになっており、先に外に出た女の子たちが楽しそうに走り回って遊んでいた。


 1番目を引いたのは、大きな建物とプレハブ小屋を囲むように、高さ5mくらいの大きな壁…大人2人で組んで肩に立ち上がって乗っても上に届かないくらいの高さだ。


 それほどまでに僕たちを外に出したくないのだろう…


 外の様子は分からないが、遠くから人の喧騒など微かなざわめきが聞こえてくるので、そこまで外界から離れているわけではなさそうだ。


 …壁の外に出ることさえ出来れば助けを呼べるかもしれないな。


 ジュリは僕を木に背を預けるように座らせ、おでこにキスをして遊びに行った。みんなと一緒に遊ぶ姿はやっぱり年相応で楽しそうだ。


 僕は久々の外の空気をめいいっぱい吸い込み…うん、部屋も臭かったけど、外もなんか臭いや。部屋の中よりはマシだけど…


 なんだろうな。昔、海外旅行で熱帯地域に行った時と同じようなにおいがしている。日本でも動物園の中とか、確かこんなにおいだったかなぁ…

 沖縄には行ったことがないから分からないけど、もしかしてここは海外なんだろうか…


 見える範囲を一通り見たあとはもう何もすることがない。なにせ体が動かないのだ。仕方ないので腕を少しあげたり、足を少しもちあげたり…リハビリをしていた。


 頬にあたる風が心地いい…


 ふと何気なく横を見てみると、すぐ真横に男の人が立っているじゃないか。


「…わあぁ!…あうっ!!」


 あまりに驚いてビクッとした弾みでバランスを崩して転がってしまった。


 完全に油断してた…身体がまだ満足に動かないせいでろくに受け身も取れず、ほっぺたをおもいきり地面にぶつけてしまったし…イタタ…


 男の人は僕が勝手に驚いて倒れたのにビックリしたのか一瞬固まっていたが、すぐに助け起こしてくれて、土を優しく払ってくれる。


 僕はとっさに「ありゅ…ぁぅぁぅ…」とありがとうと言いそうになったのをぐっと堪えて誤魔化した。あぶないあぶない、僕は記憶喪失になってる前提なのだ。記憶が残っているのがバレたら何をされるか分からない。


 でも、お礼を言いたい時はどうすればいいんだ???

 キョドキョドしている僕に男の人は何を思ったのか、頬についた土もやさしくぬぐって頭を撫でてくれた。


 自然と笑顔がでる。


 僕も大人になってしばらく忘れていが、ここ最近は女の子たちがしょっちゅう頭を撫でてくれる。頭を撫でられるのは気持ちいい事なのだ。


 男の人はなぜかとても驚いた顔をしたが、すぐに微笑みを返してくれた。


 うん、ありがとうの時は笑顔が1番だね。ありがとう。


 そこにジュリが心配そうな顔をして駆け寄ってきた。続いてクルカラとオープルも走ってくる。僕が倒れたのを目撃して慌てて駆けつけてくれたみたいだ。


 うーん、男の人が僕を虐めたとジュリに勘違いされたら大変だ。どうしたらいいか少し考え、男の人のズボンをかるく握って、ジュリに笑顔を向けることにした。


 なぜかジュリも驚いた顔をしたが、そういえば、目覚めてから今まで笑顔を向けたことが無かったかもしれない…今まで色々してくれてたのに…申し訳ない…


 これからはありがとうのかわりに、いっぱい笑顔を見せることにしよう。


 僕が笑うと、クルカラとオープルも笑顔になった。そして2人は僕の横に座るとあっちこっちを指さしながら僕にむかって何かを話しだす。うん、全然わかんない。


 男の人はジュリと少し話をしていたが、ジュリは僕の面倒をクルカラとオープルに任せることにしたらしく、女の子たちの輪に戻っていった。


 男の人も僕に何か変な事をする気配はなかったようだし、このまましばらくはゆっくり様子を見ていても大丈夫そうだ。



 …あの、クルカラさん?その辺に生えてる草をちぎって僕の口に入れようとするのはやめてくれませんか…苦いってば…


 少しのあいだ平和な時間を満喫していたのだが、僕は今、先程の平和とは打って変わってクルカラからの雑草責めにあっている。


 なんだ雑草責めって。


 いったい何を考えたのかわからないが、僕の唇に雑草を押し当てて人差し指でねじ込もうとするクルカラと、口を固く閉ざして抵抗する僕の激しい攻防が繰り広げられていた。


 …もうかれこれ30分くらい続いているんじゃないかな…


 たまにぐにっと雑草が口の中に入ってきてクルカラが嬉しそうな顔をするけれど、僕がすかさず雑草を舌で口の中からべってするとクルカラは顔を顰めるのだ。顔を顰めたいのは僕のほうなのに…


 オープルも笑ってないで止めて?イジメか?新人への洗礼ってやつなのか?泣いちゃうぞ?


 クルカラはようやく諦めてくれたけれど、なぜかふくれっ面をしている。…謎だ。

 僕もお返しにふくれっ面をしてそっぽを向いてやった。ふーんだ。


 クルカラもオープルも僕のそばでじっとしているのに飽きたのか遊びに行ってしまい、元気に駆け回っている。


 さっきまで日陰だったここも時間とともにお日様の光に照らされて、ポカポカとして気持ちいい。


 今日は絶好のお昼寝日和だ。


 ポカポカ陽気に誘われて、僕は気持ちよく眠りに落ちていった。

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