息は、どうするんだっけ
久しぶりに2日続けての投稿となります。
※ヤンデレ的な表現と性的な表現があります。苦手な方はご注意ください。
何話か色々と重たい話が続きましたが、次話から日常パートに戻ります。
ぐすっと鼻をすすりながら、両手を精一杯に広げて僕を隠そうとするクルカラ。
こんな小さい子に守られるなんて…
そう思うのに、僕の身体は恐怖で動けないまま。
「…誰?」
ジュリから発せられた心の底が寒くなる様な冷たい声に、声にならない悲鳴が零れる。
「…ああ、クルカラ。いたのね。どいてくれる?」
震えながらも、首をふるふると振るクルカラ。
「…ああ、あなたも私に会えなくて寂しかったのね?いいわ、先に相手をしてあげる…」
「ひっ…ひぅッ!!」
ジュリはクルカラを優しく抱き寄せ、背中をつーっとなぞり上げた。
「…寂しくて辛い気持ち、私もすごく、すっごくわかるもの…」
ジュリの左右の手がクルカラの首周りと腰周りをイヤらしくく撫でさする。
クルカラは恐怖で身体が敏感になってしまっているのだろう。
身体の敏感な所をジュリのしなやかな指が這うたびに、クルカラは身体をビクビクと震わせながら悲鳴のような声をもらす。
「…メインディッシュを邪魔されたくないし…ふふふふふっ…」
クルカラを抱え込みながらも、ジュリの視線は僕を捉えて離さない。
「…あっ…お口…セラの味…おいしい…」
少女の身体を弄び、小さな口の中を蹂躙しながら。
こちらを見てニタリと笑うその姿に、心が恐怖に支配され何も考えられなくなる。
………
…ドクン。
心臓が大きな音を立てる。
…ドクン。
身体が、熱い。
ちゅぱっ、ジュルリと厭らしく響く水音に、耳が支配される。
見せつけるように動く指先が、こちらを妖しく見つめる瞳が、僕の心に刻み込まれていく。
…あの指先で撫でられたい。
…あのキスを味わいたい。
目の前でジュリに抱きしめられ、愛されているクルカラが羨ましい。
はぁはぁと荒い息が漏れ、頭が妙に痛い。
いつの間にか僕は前のめりの体勢になり、クルカラがジュリに愛されている光景を食い入るように見つめていた。
僕にも早くしてほしい…どうしてクルカラが先なんだ…
どうして…
…どう、して??
思考の片隅に、何かが引っかかる。
…クルカラが…僕の前に出てきたからだ。
クルカラが邪魔しなければ…いや、クルカラが出てきたのは…僕を守る…ため??…守る??なぜ??
…僕は…ジュリを怖がっていた??
なんで怖がってたんだ??
ジュリのことがこんなにも好きなのに…
今も、こんなに…今すぐにジュリに抱きつきたい気持ちをグッと堪えて、僕の番が来るのを…ヨダレを垂らしながら…必死で我慢してるのに…
???
ヨダレ…??
…ヨダレを垂らすのは…普通じゃない…よね??
僕は大人で、ジュリは子どもで…エッチなことはダメ…だ。
そうだ、ダメなんだ。こんなこと。
なのになんで…こんなこと考えてるんだ??
ああ…でも…
そんな事どうでもいいくらい、ジュリに抱きつきたい…!!メチャクチャにされたい…!!
…いや待て、おかしい。なんだこれ…こんなの変だ!!絶対おかしい!!
さっきまで、怖がってたはずなんだ。恐怖で身体が震えるほどに…それが…なんで今は…こんなに…ジュリを求めてるんだ??
さっきまでこうじゃなかった…さっきまで…いや、さっきも…恐怖を感じたのは、途中から??
たしか…魔力が…身体の中の魔力が変わってて…
ふと身体の中に意識を向けると、そこにはまたも普段とは違う色をした魔力で満たされていた。
…なんで…どうして…??…魔力がいつもの色じゃ、ない??
さっき元の色に戻したはずじゃ??
だめだ、頭がフワフワして思考がまとまらない。
まるで、酔っ払っているような…酒なんか飲んでいないのに…どうして…
身体が揺れ視界がブレながらも、視線はクルカラを撫で回すジュリの手を追いかけてしまう。
クルカラがビクリと体を震わせるたび、触ってもらえない僕の身体が切なさを訴えて疼く。
あぁ、僕も…
…はっ!?
見惚れてちゃだめだ!!とにかく魔力の色を戻そう!!
普通には…やっぱり全く動かないか…くそっ!!さっきやったみたいに…グッと…力を…グッと…ううぅぅ…
ッッッ!?!?
再び目の奥で光が弾けたかと思うと、今度は脳がぐにゃりと変形したような異様な感覚に吐き気が込み上げてくる。
なんだ今の…気持ち悪い…
大きく息をして心と身体を落ち着かせる。魔力に集中してみると元々の色に戻すことに成功していることがわかった。
魔力の色が戻った影響なのか、目の奥で光が弾けた影響なのか。はたまた急に襲ってきた気持ち悪さのおかげなのか。
先程までの耐え難い身体の疼きと興奮がまるで嘘のように冷めきっている。
その代わりなのか、全身にどっと疲れが押し寄せてきた。
なぜ魔力の色が勝手に変わっていたのか。いつの間に変わってたのか。
思い起こそうとした、その時。
ドサリ…
突然、目の前に何か大きなものが落ちてきた。
地面に横たわる茶色いその物体は…僅かに動いていて…
………
…クル…カラ…???
そうだ。
クルカラは僕をジュリから守ろうとして…
僕の…目の前に…
それなのに…倒…れて…??
床に横たわるクルカラを、白くスラッとした長い足が跨いで来る。
二本の白い足が僕の目の前で止まる。
途端に心臓がバクンバクンと暴れだし、全身から汗が吹き出し始めた。
息は、どうするんだっけ。
身体が金縛りにあったように動かない僕の視界に、白い両手が伸びてくる。
僕の両頬を掴み、ゆっくりと上に向かせようとする。
…いやだ…やめてくれ…
心が恐怖に染まり、自分の意思ではピクリとも動かせないのに。
優しい手つきで、なんの抵抗もなくゆっくりと顔を持ち上げられる。
…こわい…いやだ…こわい…たすけて…こわい…やめて…
心の中での必死の懇願も虚しく、僕の顔は目の前にいるナニカを…
…ジュリを見上げるように上を向けられる。
目に映っているはずのジュリの顔が、真っ黒で何も認識できない。
全く動かせない身体の代わりに心臓だけが激しく動き、僕に逃げろと叫んでいる。
僕の両頬を掴んだ両手が、離すまいと力を込めるのがわかった。
…逃げられない。
真っ黒な顔が近付いてくる。
心が恐怖に、絶望に支配されていく。
こわいこわいこわいこわいこわいこわい
たすけて
キスをされ、抱きしめられ、蹂躙される。
ジュリの手が、唇が、肌が、僕に触れたところから、ドロリとしたナニかが僕の中に流れ込んでくる。
それは色に例えるなら、ドス黒いピンクのような。
得体の知れないナニかが身体の奥へ奥へと、僕自身に満たされた身体の中を無理やりに掻き分けながら突き進んでくる。
いやだ。
はいってこないで。
こわい。
そのナニかには、身に覚えがあった。
ウィルが流し込んできた魔力と似ているが、明らかに違う恐ろしいナニか。
きもちわるい。
くるしい。
おそろしい。
この部屋に来てから2回、僕の魔力に混ざっていたナニか。
それを更に濃縮したような、絶望が形を持ったような、本能的な恐怖を感じてしまうナニか。
どろどろと粘つき入り込んでくるナニかを、身体の中で必死に押し返す。
身体の中の中心に、僕の一番大切な何かがある場所に、恐ろしいナニかを近付けないよう必死に抵抗する。
このドロリとしたナニかが中心に辿り着いた時、僕が終わるのだと本能で理解できてしまう。
苦しい。
痛い。
まともに息もできない。
何が起きているのかもわからない。
目を開いているはずなのに、目に何も映らない。
それでも、必死に抵抗を続ける。
ただただ苦しくて、怖くて、痛くて、辛くて。
気持ちいい。
このまま全てをゆだねてしまえば、苦しみは終わる。
楽になれる。
気持ちよくなれる。
楽になりたい。
心が悲鳴をあげ、それでも抵抗を続ける。
もう何もわからない。
それでも…
それでも…
………
……
…
ふと、ナニかの感覚が弱まる。
ずっと抵抗を続けてきたナニかを、身体の外へ全て追い出し…感覚が無くなる。
何も無い真っ暗な世界だけが広がる。
これは、なに?
何も無い。
痛みも、苦しさも、辛さも、怖さも、気持ちよさも。
何も無い。
何も…
何…も…??
…少しだけ、光が見える。
…女の子…??
こっちに手を伸ばしてる。
この子は…そう、ジュリだ。
大切な、守りたい子。
僕も手を伸ばそうとして…身体が重くて動かない事に気が付いた。
ジュリが泣いてる。
ジュリが泣いているのを見ると、心がぎゅっと苦しくなる。
嫌だ。
力を振り絞り、重くて動かない腕を気力だけで無理やり持ち上げ、手を伸ばす。
ジュリの手が重なる。
ジュリが微笑む。
よかった。
悲しい顔なんて、見たくないんだ。
安堵と共に、僕の意識はぷつりと途切れた。
極大の愛がのしかかるジュリ襲来パート、恐ろしいですね。R18にならないように何をどこまで書いていいか頭を悩ませた結果…ほぼ書かない、という結論になりました…笑
表現をもっと上手くかけるようになりたいです。
「ドロリとしたナニか」についてはジュリのもつ魔性が関係しています。そのうち話を進める中で魔性について明らかになる時が来る…かもしれません。お楽しみに。
次話はジュリ襲来のその後と日常パートに戻ります。
…が、次の投稿、いつものようにまだ1文字も書いていないので…しばらくかかるかもしれません。
書き上がり次第投稿しますので気長に待っていてくださると嬉しいです。




