僕と君
目の前には壮大な海。
海の表面はキラキラと光り、波はなく凪いでいる。
そこには今でも大好きな彼女がいる。しかし、この手はもう一生届くことがない。
そう、僕は死んだ。昨夜。クリスマスの夜に。
僕は大好きな彼女を待っていた。そう今日はクリスマス。世の中が賑わい、大切な人と過ごす日だ。だから今日は彼女と過ごす。
最高の一日にするため、不器用なりに計画は沢山立ててきた。
「死にたい。」と言っていたあの頃の僕とはもう違う。好きと言ってくれる人がいる。一緒にいたいと思ってくれる人がいる。それだけで僕は幸せだった。
約束の時間まであと10分程ある。
今日の計画を復習しながら待ち合わせ場所に向かった。
待っていると、信号の奥に彼女の姿が現れた。
彼女の奥には海。周りの道路にはライトアップが施されていた。
信号が青に変わった。
しかし、その瞬間「「「危ない!!!!」」」トラックが突然突っ込んできた。
僕は間一髪、咄嗟に彼女を押し出し、助けることができた。
彼女は真っ青な顔で唖然としていた。すぐに周りの人々も集まってくる。
けれど、僕は焉で終わりだ。終焉だ。せめて、クリスマスくらいは楽しませてほしかった。
春にはお花見に言って二人で桜を一緒に見るつもりだった。
「死にたい」なんて言っていた罰だろうか。
眼の前の彼女の声が遠ざかっていく。もうなんて言っているのか聞こえない。
なにひとつ言えずに僕の物語は幕を閉じてしまった。
春のある日。
僕は彼女と咲き乱れる桜の下でお花見をしたかったことが原因で成仏できずにいた。
もう彼女からは僕のことが見えないけれど、僕たちは一緒にいる。
この桜の下で笑い合って話したかった、 、 、 。
その時、「xx君?」彼女は僕の目を見て名前を呼んだ。彼岸と此岸が繋がる。僕らの声がお互いの頭に届く。
僕らは並んで桜を見上げて、いままで抱えていた想いを話した。こんなことはないと思っていた。
あっという間に時間は過ぎて夕方となってしまい、僕は本能的に話せるのも残りわずかだと悟る。
そして僕は言う。「そろそろ時間だ。本当に大好きだった。過去を振り返らず未来へ進んでいtte…」
時間が足りなかったようだ。僕はとことんだめなやつだ。
しかし彼女は微笑み頷き、見えていない僕の成仏を見送ってくれた。 幸せな人生だった。