普通の主婦だけど異世界に転移する
短編か長編か迷ったけど書いたところから小出しで連載にします。
私の名前は志木節子。職業は主婦。近所のスーパーで朝の品出しのバイトをしている。
少し前まで専業主婦だったのだがRTSゲーム『竜と要塞都市』にハマり過ぎて生活が昼夜逆転気味にな、夫からこのバイトをするように勧められた。
海外勢の多くて一番盛り上がるのが深夜2時〜4時だったのでついその時間にログインしてしまうのだ。
そのまま起き続けて夫が仕事に行くのを見送ってかか寝る。
昼頃起きて家事をして夜は20時に寝て1時に起きてゲームを始めるという生活だった。
夫は日付が変わるまでに寝てしまうので半年くらいは単に早寝するようになったと思われていただけだったのだが、お正月に夫の実家に帰った時にバレた。
ノートPCからちょっと遊ぶだけのつもりだったけどボタンが多いトラックボールが見つかり、不審に思われてごまかしきれなかったのだ。
黙ってゲーミングPCを買ったことを怒られバイトを始める事になった。
最初のうちは夜にゲームを始めて一段落したら仕事に行っていたが、戦争が長引くと中抜けしなくては行けない日も出てきたので現在はクランを引退して普通に夜寝て朝起きる生活に戻っている。
午前中にソロでも結構楽しめるサーバーがあったのでゲーム自体はやめていない。
そんなある日、息子一家と一緒に私たち夫婦は革でバーベキューをしていた。
食事も終わって川で孫が遊んでいたら、足を滑らせてそのまま流されてしまった。
慌てて助ける為に川に入って、孫を足がつくところまで移動させたけれど今度は私が足を滑らせて流されてしまう。
遠のく意識で孫が助かったからよかったと思いつつ62年の生涯が終わるのかと意識がブラックアウトしたかと思えば、運良く目覚める事ができた。
でもそこは病院ではなかった。
病院だったけど、ただ床にシーツを敷いただけの野戦病院だった。
テントの壁には見慣れた旗が掲げてある。
ここは遊びなれた『竜の要塞都市』の世界だ。
私の体は節子のままなので還暦も過ぎて異世界に転移してしまった。
「大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
幸い海外で流行したけど開発元は日本のメーカーだったので言語は日本語が通じる。
体も普通に動いた。
旗や施設レベルから自分のアカウントではない事を少し残念に思いつつ私はこの世界を楽しもうと思った。