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悪役令嬢?何それ、美味しそう  作者: 藍川 潤
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私の親友あるいは悪友

お久しぶりの投稿ですみません。

燈子目線でどうぞ



燈子は珍しいこともあるのねと思った。

実はパーティー会場に棗より早く来ていた燈子は早々に二階に上がっていて一息ついていたのだった。


というのも目の前の人物に呼び出されたというのも原因であるが


「ねぇ、あちらの方あなたはご存知?」


棗が会場に着いてからずっと上から眺めていたので状況は全て把握している燈子はにこやかに微笑みながら相手に声をかけた。副音声は、あの虫は排除してもいいの?である。


「シュタイン会社のご息女だ。5人の子供の末っ子で1人娘だからか少々甘やかされて育てられたようだ。あぁ、名前は覚えなくていい。嫌でもその内聞こえるようになるだろうからな」


そう言葉を返した人は女の私でも綺麗だと思う男――テオドリヒ=ライモンド


シャンデリアの光に照らされる白髪に整った顔。元は金髪だったと言っていたかしら?まぁ、色はどうでもいい。何より関係なく顔がいい。 棗ちゃん曰く観賞向きの顔。その意見には同意するが今目の前の顔は皮肉げに口元を歪めていて、少し台無しなような昔からの彼らしいような顔である。


とりあえず、棗ちゃんが絡まれているようだし下に降りようかしら?ついでにトラウマを刺激されてるような竜樹さんも回収しましょうか?


「それじゃあ、そろそろ失礼するわ。田中行きましょう」


「あぁ、卒業おめでとう。今年からよろしく」



えぇ、よろしくお願いしますわ。そう返して、階下へ降りて棗ちゃんのところへ向かうと近づく私に気付いたのか周囲は恐れるように道を譲る。


「棗さん」


「あっ、橙子さん」


人垣が割れたおかげで棗ちゃんはすぐに気がついて先ほど無表情だったのがぱぁぁと笑顔をこちらに向けてくれた。可愛い。田中、今の撮ってくれてるかしら?


「棗さん、ご卒業おめでとうございますわ。今日のドレスとても素敵ね。よく似合ってますわ」


「ご卒業おめでとうございます。ありがとう、橙子さんも綺麗だわ」


と、はにかむように褒めてくれる棗ちゃんは可愛い。また3年間彼女をみれる高校生活も楽しみだわぁ~


「ちょっと!!何こっちを無視しているのよ!!」


あらやだ、小蝿がまだいた様ね、とりあえず相手するのは……やめておきましょう。棗ちゃん完全無視でテーブルのお料理に目が向いているわ。竜樹さんを生贄にして逃げるのもダメみたいね。こちらを見てホッとしつつ小蝿から距離を置いてこちら側に回ってるわ。全く仕方ないわね。


「どなたか分かりませんが、そろそろ周りをご覧になってはいかがです?あなた、目立っていましてよ?」


と、ニッコリ微笑めばようやく気付いたのか少し怯んでから


「ふんっ、覚えてなさいよ!」


三流芝居の小悪党のような捨て台詞で立ち去って行った。

別に覚えてあげてもいいのだけれど、私を知ったらあの子どんな風に向かってくるのかしら?まぁ、どうでもいいかしら・・・それより、棗ちゃんと竜樹さんは・・・と。


「春日野さん、ありがとう」


「燈子さん、かっこよかったですわ。助けてくださり有難うございます!」


竜樹さんは、まだ少し青い顔をしていたけれど原因はもういなくなったから大丈夫かしら?棗ちゃんはキラキラした瞳でこちらを見ていて少し照れてしまうわ。でも、本当に棗ちゃんが珍しく苛立つなんてどうしてかしら?


「棗さん、お腹がすきませんか?あちらに棗さんが好きそうなお料理がありましたので行きましょう?」


「ホント!?あ、本当ですか?行きましょう!」


棗ちゃんたらうっかり素が出ているわ、はぁ可愛い。竜樹さんはまだ挨拶がすんでいないらしいのでどこかで休んでから会場に戻るようね。空気を読んでいただけて助かりますわ。


テーブルの料理を見て棗がうれしそうな顔をしたのを眺めて、田中にいくつか運んでもらって2階に上がるとテオはもういなかったので二人きりを楽しむことにした。











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