大本命ですか?いいえ、論外ホームランです。
さて、彼女は一体誰でしょう
「わぁ、すごく格好いい人がいるぅ~!!ねえねえ、あなたの名前はなんていうの?王子様」
語尾にハートマークがついているんじゃないの?みたいな甘えた感じの声を出す方向に顔を向けるとあちらからこっちに向かって歩いてきた。
しーらないっと・・・そう思ってその場から離れようと思っていたんだけど、くそっ逃げ遅れた。ガッチリ手を堂本 竜樹に掴まれていた。こいつと思って、横目で睨み付けようとしたが彼が予想外に引きつった顔をしていた。え?なんで??
驚いて思わずぽかんとしちゃったよ。あの堂本 竜樹がだよ?女の子には紳士的でいつもにこやかな対応をする彼がだ。一体どうしたんだ?声かけてきた彼女が原因?でも知り合いではないみたいだったが・・
結局、逃げそこなったのでこっちにきた彼女を観察してみることにした。
パーティーのシャンデリアに照らされてキラキラ輝くような金髪をハーフアップしている明るい茶色の瞳の女の子。手足はすらりとしていて立派なレデイのよう。まぁ、ホントの淑女ならさっきみたいなのはアウトだし、今もキラキラした瞳で真っ直ぐに堂本 竜樹を見ている。ふむ、どうやら完全に私のことが目に見えていない様子。
「私エレナ・シュタインって言うの、エレナって呼んでね。春からここの高校に通うことになっているの。よろしくね」
そしてもう一度あなたの名前は?と彼女は尋ねた。
※※※
「僕は堂本 竜樹と言います」
「まぁ!あの堂本リゾートグループの!?ねぇタツキ、私をエスコートしてくださらない?」
「すみませんが、先ほどから彼女と一緒に話をしていたのでどなたか別の方にお願いしてください」
うわぁ、馴れ馴れしいなぁと思ったのもつかの間。堂本はばっさり断った。うん、完全に私を巻き込んだな。おかげで彼女がこっちに焦点をあわせてきたぞ?今度、覚えてろよ
ふむ、顔は可愛いが性格は同性から嫌われそうだ。こっちを見て一瞬驚いた顔をしつつも微かに見下すような目をしていた。
別に堂本 竜樹を助ける気はないが、売られた喧嘩なら買うわよ?倍にしてね。
「ねぇ、あなた私に彼を譲ってくれない?」
「なぜですか?」
「え・・?」
え?じゃねえよ。っと、失礼。心の声が少し出てしまいましたわ。この子本当にシュタイン商社の令嬢なのかしら?頭がちょtげふんげふん。この状況でそんなセリフが出るとは・・。
「あなたが堂本様に話しかける前から私は彼と話をしていたのですよ?それに割り込むような形で入ってきたのがあなたです。いくらなんでもそれではマナーがなっていないのではありませんか?」
私はよく響く声で周りにも状況把握ができるように目の前にいる女の子がどうやら頭が弱い子のようですよと分かるように言ってやった。
一部始終を見ていた近くにいた人はもちろんのこと、途中で何だろうとこちらを見ていた人たちもなんとなく分かったようだった。
さて、どう出るのかな?
そう思いつつ、お腹が空いてきたので早くこの場を去りたい気持ちの棗であった。
棗の現在の頭の中
燈子>会食>竜樹>>>金髪令嬢
次は燈子視点で書きます。




