お金持ちは特殊な人もいる
ブクマありがとうございます( ´⊇`)
相変わらずな主人公です。
軽く風にあたってから、会場入り口に向かった。
入り口にある受付はこれまたお金がかかったきらびやかな受付で招待カードと名前をつげて代わりに入場パスを受け取った。
そのとき
「なっつめちゃーーん!!」
内心げっ・・と思ったが逃げることはできず、というか逃げる前に淑女らしからぬ勢いでドーンと来られそのままぎゅうぎゅうと抱きしめられた。
「あ~、本当に可愛い可愛い。久しぶり~元気にしてたぁ?」
「っ・・っ・・」
「静香、棗さん苦しそうよ」
「あら、ごめんなさい棗ちゃん」
と、素直に頭を下げて謝る姿勢を見せるこの人は小学生の時に可愛がっていただいた先輩――琴吹 静香さん。(名に反して本人自体はあまり静かじゃないけど)その人に忠告してくれたのは同じく先輩の――緋村 楓さんでいつも助け舟ありがとうございます。
琴吹家と緋村家はそれぞれ琴吹財団と緋村舞踊として有名である。琴吹先輩の家庭が緋村舞踊のスポンサーだったかな?それ関連のつながりだったと聞いている。元気いっぱいで表情がころころ変わって楽しい琴吹先輩と立ち振る舞いが凄くきれいで知的な雰囲気の緋村先輩は相変わらず仲がよろしいようだ。
「ところで静香さんはどうしてこちらへ?」
「内緒よ」
おっと・・・にっこり笑顔な淑女には負けますわ。詳しく聞くことはやめておきましょう。でも、見たところ服装とか参加者っぽいからなぁ・・・多分……いや、考えるのはよそう。
「それより高校入学おめでとうございます棗さん」
「ありがとうございます。楓さん」
こちらもお手本のような淑女の微笑みで思わず見とれてしまう。
姿勢も良くて今着ている紺色のチャイナ服がとてもよく似合っている・・・って、あれなんでチャイナ服着てるんだろう・・?
と、顔に出ていたのか本人が気づいた。
「あぁ、この恰好のことかしら?この前、静香と賭け事をして負けてしまったから一日この恰好なのよ」
「最近入ってきたうちの商品よ。宣伝もかねて広告塔になってもらおうかと思ってね」
お金持ちや令嬢でも賭け事とかするんだ・・・。
※※※
と、まぁお世話になった先輩に歓迎?というか可愛がられたというか・・・。
ちなみに数回だけ先輩が取り扱っている商品の宣伝というかモデルらしきことはしていた。黒髪碧眼で髪は天然パーマな雰囲気が昔お気に入りだった人形のようだと言われ、本当に人形の着せ替えみたいなことをされました。えぇ、懐かしい思い出です。ははっ・・・。もうしないけどね。
会場には既に多くの人が集まっていてそれぞれが談笑していたり、ダンスをしていたり堅苦しい雰囲気ではないようでホッとした。根っこが平民の気質なので慣れる気はしないけど、スイッチはいつでもいれれるようにしないとね…。
「藤堂さん、こんばんは。今、来たところのようですね」
と、左隣から声をかけられたときはひぇっと声をあげそうになった。
声をかけられた方向に顔を向ける前に淑女の仮面を装着してから彼と向き合った。
堂本 竜樹であった。
何が琴線に触れたのやら小学2年生から事あるごとに交流を図ってくるようになった。勘弁してほしい。おかげで顔を見るたんびに悲鳴をあげそうである。
まぁ、そうならないように日々仮面を分厚く装着しているけど・・・。
「こんばんは、堂本さん。改めましてご卒業おめでとうございますわ」
「藤堂さんもですよ、卒業おめでとうございます。高校生活も宜しくお願いしますね」
と、少しはにかむように握手を求めてきた。
ふむ、なにせ顔がいいので普通の女の子ならあっさり落ちるような笑顔である。その破壊力は計り知れない・・。なぜならちらちらとこちらの様子を伺っている女の子たちに流れ弾が当たったようである。頬を染めてうるうるしている子もいた。
まぁ、直接食らっている私はただただイケメンすげえという感想しか抱かなかったが・・・。おい!って思われるだろうが、前世でも恋愛など無縁の生活というか本当に興味がなかったのである。異性と関わりがなかったわけではない。普通に仲が良い友人はいたが、友人どまりである。こら!そこ憐れむな。
さてと、どうやって逃げようかな?そろそろ燈子ちゃんに会いに行きたいんだけれど……
と、思ったら
「わぁ、すっごく格好いい人がいる!!」
場違いのような声が聞こえた。




