フラグなんて見当たらなかったハズ
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ぎりぎりセーフの投稿です。
玲奈お母様と仲良く買い物をしていた棗だったが、玲奈お母様にアレクお父様から連絡があり化粧会社の方に問題があったようで、途中で別れることになった。
「棗ちゃん、ごめんなさいね。また今度休みをとってお出掛けしましょう。それじゃあ、気を付けて帰るのよ?千歳さん、よろしくね」
「気にしないでください。お母様こそお気を付けて」
「畏まりました、奥様」
ここは素直にさっさと帰るべきだなと思って、千歳を連れて駐車場へと向かおうとするも視界に何か引っかかるものを見つけて、顔をそちらへ向けると
「………ねぇ、千歳さん。あの子、どう思います?」
「?あぁ、迷子のようですね。声をかけましょうか?」
「見間違いじゃないわね、いいわ、私が声をかけます。千歳さんだときっと怖がらせてしまいますわ」
ぼそっ「子供に泣かれたことはないですよ、怖いお嬢様と違って」
「私だってありませんわよ!!」
つい声をあらげるとそれが聞こえたのか迷子の女の子が体をビクリと震わせ涙目でこちらをみた。
「ほら、怖がらせてますよ」
「あぁ、あなたを怖がらせるつもりはないのよ??あなた、親とはぐれてしまったの?」
帰ったら孝人に言って千歳を〆てもらおうと考えつつ、慌てて迷子の子に話しかけると涙目からポロリと涙がこぼれたと思ったら、普通に泣きじゃくってしまった。
「ゆっくりでいいわ、ほら可愛い顔が見えないわよ」
内心悲鳴をあげつつ冷静になれと抱き締めながら女の子の背中をぽんぽんと撫でるもますます泣かれてしまう。
一瞬、千歳の言う通り自分が怖くて泣いたのかと考えてしまった。
※※※
ハンカチでぐしゃぐしゃになった顔をふいてあげ、落ち着かせた棗は少し疲れていた。前世も従妹がいただけで一人っ子だったので全国の姉兄の人は凄いと思った。あまりにも泣いていたので千歳に任せようかと思ったが、しがみつくように服を握られていたので思うように身動きがとれない、かといって力任せにはがすのも他所様の子供だし………その気配を察知した千歳は逃げるように藤堂家に連絡しに行った。
「タイトル、子供に泣かれる棗様」
「いいから早く行きなさいよ!」
最近、調子にのられている気がしなくもない。今度絶対に〆てやる。
「はい、もう落ち着いたかしら?」
「うん、おねぃちゃんありがとう」
笑顔でお礼を言う女の子に不覚にもキュンとした棗であったが表には出さずに名前を尋ねた。
「私の名前は藤堂 棗っていうの。あなたのお名前は?」
「やちよ。ならさか やちよ」
ん?なんか聞き覚えがあるような………はて?………まぁ、いっか。名前も聞いたし、迷子センターに連れていきますか。千歳さんはどこに……あぁ、いたいた。この子のご両親も心配してるだろうし早く連れていかないと………
※※※
「見つけてくださってありがとうございます」
「おねぃちゃん、ありがとー」
棗は現在、内心冷や汗かきまくりであった。原因は目の前の年上の少年である。将来、さぞ女性にモテそうな黒髪短髪のキリッとしたイケメンがあの鳴坂 佑が目の前にいた。迷子の女の子は彼の妹であった。え!?妹なんていたの!?である。しかもここで会っちゃうなんて………。
話を聞くと、もうすぐ母親の誕生日なので何か買いに行こうとするも妹も着いていくと駄々をこね、護衛の人を増やすも家族連れの人混みに紛れて見失ってしまったそうだ。GPSか何か持たせようよ…。
なんてことを顔に出さずに見つかってよかっただのお母様へのプレゼントいいものがあるといいですねなど話して別れようとした。
が
「おねぃさん、やちよといっしょ」
!?
「お母様のいっしょに」
!?!?
「こら、やちよ困ってるじゃないか」
「おれいもまだだもん」
いやいや結構です。ホント、これ以上は………
「………図々しいかもしれないけどよければ、一緒に母へのプレゼントを考えてくれないか?お礼も兼ねて」
これなんかの拷問じゃないの?かわいい女の子の泣きそうな顔見て棗は思った。
結局、ご一緒しますと返して喜んだ八千代と手を繋ぎながら店内を見て回り、プレゼント候補をいくつか挙げつつ購入するまで付き合ったのだった。
ちなみにお礼は結構ですと返すと後日、豪華な焼き菓子をいただいた。お菓子に罪はない。大変美味であった。