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ローラの都  作者: 杉野御空
9/12

ローズの力

※少し視点がウロウロします。



それを聞いて、いち早く動いたのはハーレスだった。


「お前たちはここにいろ」


とメンバーに言い、ハーレスは部屋を出ていく。


船の目の前にはハロックが言ったように、何かがいる。


黒い翼を羽ばたかせながら、それはゆっくりと船に降りてきた。


「っ、お前は...悪魔...!」

「ティラ!」


ハーレスは目を(みは)った!

黒い者が降りた甲板には先ほど部屋を飛び出したティラがいたのだ。

ティラは思わず持っていた銃を構え、悪魔に向ける。


「ティラ!お前が敵う相手じゃない!逃げろ!」


ハーレスが叫んだその時、黒い悪魔はおもむろに顔を上げた。


「あれは、【凶暴の黒風(こくふう)】...」


「凶暴の黒風?」


いつの間にか、ローズがハーレスの隣に来ていた。

ハーレスは驚いた。


「お前、ローズ、ここに来てはいけない!みんなと部屋にもど...」


その時、凶暴の黒風が、口を大きく開いてティラを飲み込もうとしていた。

ティラは恐怖で指が震え、銃を撃てない。体中が硬直して、逃げられない。

こんな大きな悪魔を目の前にしたのは初めてだったのだ。


「危ない!ティラさん!」


「馬鹿!戻れ!」


ハーレスがローズの手を掴むより早く、ローズはティラをかばうように凶暴の黒風に立ちはだかっていた。


「やめろ!!ローズ!」


ハーレスの呼び声にも耳を貸さず、ローズは目の前の悪魔をキッと睨んだ。

ローズのその姿には、威厳さえ感じられた。


「ティラさん!逃げて!」

「あ、...あ、あ......」


ティラは恐怖で動けない。


凶暴の黒風は、ローズに狙いを定めた。ローズを飲み込もうと、凶暴の黒風が口を大きく開けたその時だった。


ローズの体がピカピカと青く光りだし、その光が凶暴の黒風を包み込んだ。


「ギャアアア!!」


凶暴の黒風は悲鳴を上げ、シュウシュウと音を立てて蒸発し始めた。


「ううーーっ!!」


ローズはとどめだと言わんばかりに、両手にその光を集めて凶暴の黒風にぶつけた!


凶暴の黒風は、断末魔の叫びをあげてその場から跡形もなく消えてしまった。


「はぁっ、はあっ、は....」


ローズはティラの方を降り返った。


「はぁっ、ティラさん、大丈夫ですか?」

「あ、、あんた...一体...」

「よかった、...ご無事、で...」


その瞬間、ローズを包み込んでいた光は消えさり、その場にローズは倒れた。


*******


「まさかローズが悪魔をやっつけるなんてね〜」


バロックがベッドに横たえられたローズを見ながら言う。バロックは、シーダの面々にこれからどこへ行くのか聞きに来ていた。


「俺たちでも、ハーレスにも出来なかったのになぁ、不思議だね、なぁ、ハーレス」


「...」


***


ローズを運んできたのはハーレスだった。


バタンッ!

と音を立てて扉が開いた。

今度は何事?!

という周囲の目が一気にそこに集まる。


「ハーレス!ローズ!一体何が...」


そこにはローズを抱えたハーレスがいた。


「エド、ベッドを片付けてくれ、バロック、何か冷やすものを持ってきてくれ、それからブラック、お前はティラの事を頼む」


ハーレスは皆の驚きも他所に、早口で命令した。


ブラックはハーレスのただならぬ様子に、何かあったのだと感じて、無言で頷くとティラの居るところへ行った。


ハーレスは眠っているローズを見た。

そのひどく疲弊している様子を見、おそらく、ローズは自分にそんな力がある事を知らなかったのだろうとハーレスは思った。


ハーレスは自分にも人外な力があるからわかるのだ。

魔法を使うと、少なからず体に負担がかかる。

だからハーレスのような魔力を使える者は、その力をコントロールする(すべ)を心得ている。


それが、ローズにはできていなかった。


「...それについては、ローズが起きた時に聞こう。」


「そうだね、と言っても、ローズは当分起きなさそうだし、俺も寝ていい?疲れちゃった」


「ああ、ご苦労だったな」


「それじゃお先に〜!」


エドは後ろ手にひらひらと手を振りながら部屋を出て行った。


エドが完全に出て行った事を確認してから、バロックが口を開いた。


「凶暴の黒風がきたって事は、この船も安全じゃなくなっちまったって事かい?だって凶暴の黒風はヤツの手先だろう?」


バロックの言葉に、ハーレスは肩を揺らした。


「...ああ、そうなるな」


(クソッ...やはり、私の考えは間違っていなかった.....)


ハーレスの言葉にバロックはクソでかいため息をついた。


「はぁあ、仕方ないね、あたしは少しメンテナンスしてから寝るよ、凶暴の黒風がなんかいじってたらいけないからね」


「...すまん、調べが足りなかった。まさかヤツも、同じものを狙っていたとは」


「いいっていいって!どうせまたいつもみたいに、あんたらが解決してくれるんだろ。頑張れよ!キャプテン!」


バロックがハーレスの肩をポンと叩く。


「ああ...」


「面舵いっぱ〜い!!」


ハロックが大声で歌うように叫んでいるのが聞こえた。

飛行船は何事もなかったかのように動き出した。


*******

なんとローズは魔法が使えたのか!

そしてバロックが言う「ヤツ」の正体とは!とは!とは!

なかなか正体出ないですね〜。「ヤツ」

次回は出てくるのか!?

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