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ローラの都  作者: 杉野御空
8/12

飛行船とつなぎ服

※文中に軽い暴力表現があります。



ハーレスがローズのいるところへ行くと、ローズはハーレスの言う事を守り、きちんとそこで待っていた。


「ローズ、行くぞ。こっちだ」

「あっ、はっ、はい!あの、ハーレス、これ...」


ローズは持たされていた火薬弾をハーレスに返した。


「なるべく広いところへ移動しよう、こっちだ」

ハーレスは火薬弾を受け取りながらローズの手を再びとる。


「お前、足遅いから」


と、仕方なさそうにハーレスは笑った。


「す、すいません」


ローズはハーレスの顔を見上げた。ハーレスは気にもしていないのだろうか?

握られた手が、熱い。


「あ、きたきた、あれだ。私たちの船は」


ゴウンゴウンと音を立てて、海賊船のような船が、二人の目の前に降りてきた。


上空から声が聞こえてきた。


「ボス!そのまま飛んできてくだせえ!そこじゃ小さすぎてこいつを降ろせねえ」


髭の生えた、赤い顔の男がこちらを見ながら叫んでいる。


「わかった、ローズ、そういうことだ。ちょっと失礼するよ」


「え?あ、きゃ!」


言うが早いか、ハーレスはローズを肩に担ぐと、先ほどのように船の甲板まで一気に跳躍した。

赤い顔の男は、口笛を吹いた。


「相変わらずお見事ですな!ボスの魔法は」


「......今はこれくらいしかできないよ」


ハーレスはローズを下ろしながら言う。


(魔法?今魔法って言った?)


ローズはハーレスの顔を見上げた。


「ハーレス?魔法って...あなた、魔法が使えるのですか?」


「少しだけ使えるよ、でも今はこうやって跳躍したり、建物の間を素早くすり抜ける事ぐらいしかできない。でもあいつらが見ている前では使わないよ。怖がるからね」


「あいつら」とはティラたちのことだ。


「盗賊は、魔法やら呪文やらとは縁のない職業だから嫌がるんだ。それより......おい、みんなちょっと来てくれ」


ハーレスはローズに船員を紹介した。


「今叫んでたのは機械士のルドルフ、それでそこの二人が」


「あたしたちは双子のバロックとハロックだよ、こっちのほくろが付いてる方がハロック。あたしはこの船の整備士をやってるバロック。よろしくね」


そう言ってバロックはローズに手を差し伸べてきた。


「よろしくお願いします、わたくしは、ローズと申します」


そう言ってまたローズはお辞儀をした。

バロックは変な顔をしてローズを見た。


「なんだぁ?あんた貴族のお姫様かい?」


「待って待ってー!今度はあたしの番!お姉ちゃんが自己紹介終わるの待ってたんだから!」


バロックの双子の妹ハロックがバロックを遮るようにローズの前に立った。


「あたし!一流の舵取り!ハロック、よろしくね!」


と言うとハロックは有無(うむ)を言わさずローズの手を両手で握った。


「よろしくお願いしま...ひゃっ」


突然ハーレスがローズを肩に担ぎ、ローズは視界が反転した。


「以上だ。ローズ、船員の名前は覚えたな?お前たち、持ち場に戻っていいぞ。」


「ほーい」

「はい」

「えー!もっと色々聞きたかったなぁ!」

「お前が船動かしてるんだから早くいけ!」


バロックに尻を叩かれながらハロックは無理やり連れて行かれた。


*******


「騒がしい奴らで悪かったな」


ローズを肩に担ぎながらハーレスは言う。


「い、いえ、そんな事ないです、それよりハーレス、わたくしをどこへ連れて行くのですか?」


「うん、船に乗るのに、その格好は不自由だろうと思ってな、着替えるぞ」


「え?」


ハーレスは衣装部屋(全て盗品)に辿り着くと、ローズを下ろした。


「ちょっと待ってろ」


ハーレスが言い、ローズは言われた通り、部屋の端で待った。


「うん、これがいいな」


と言ってハーレスが差し出して来た服を見て、ローズは思わず目を(みは)った。


「え?あの、これ」


「ん?気に入らなかったか?」


ローズは首を振り、慌てて出された衣装をハーレスから奪った。


「いえ!とても気に入りました!着させていただきます!」


「?そうか、じゃあ着ててくれ、私はメンバーが戻ってくるのを待ってるから」


そう言ってハーレスは衣装部屋から出て行った。


(どうしよう...)


ハーレスが用意したのは大工が着るようなつなぎ服だった。ローズが目を瞠ったのは、どのようにして着ればいいかわからないからだった。


どうにかこうにか、悪戦苦闘の末、着替える事が出来た時には、すっかり夜になっていた。


*******


「えっ!!?それじゃあ悪魔に先越されたって事かい!?」


「それにしても悪魔がねぇ、悪魔って歴史に興味あるのかな?どう思う?ハーレス」

エドがおどけて言うと、ティラの鉄拳が炸裂した。


「こんな時にふざけんじゃないよ!せっかくのお宝が悪魔なんかに盗まれたっていうのに!ローラの手がかりも!」


一回殴っただけでは飽き足らないらしい。ティラは今度はエドを蹴り始めた。


「いってぇええ!いて!わかった、わかったから!ブラックなんとかしてくれよ!」


「.........ティラが悪魔に過剰反応するのはわかってる事なのに、自業自得」


「おいブラック!お前いくらティラに惚れてるからって...」


言い切るより早く、ブラックの鞭がバチンと床を叩いた。


「...何か言った?」


にっこり。振り返ったブラックの顔は、笑っているのに目が笑っていない。


「...ナンデモナイデス」


メンバーが揃ったのは日が完全に沈みきる少し前だった。


「腹が減った」と言う理由で、各々盗んだ食べ物を持ち帰り、それを食卓に並べながら話していた。


「どうだろうな。悪魔がローラの歴史に興味があるとは思えない。だとしたら何か別の...」


ハーレスはそこまで言うと黙ってしまった。


「ハーレス?何か心当たりがあるの?」


ティラが黙ってしまったハーレスを下から覗きこむ。


「確証はない、が、もしかすると......が、関係していると」


「は?...キャプテン、今何て...」


コンコン、と遠慮がちなノックをして、ローズが扉を開けて入って来た。


「皆さん、帰ってきてたんですね!」


「うわ!かーわいい!」


エドがローズの格好を見て思わずそう叫んだ。


ローズはTシャツにつなぎ...

ではなくて、つなぎをどう着ていいかわからなかったので、上の部分を腰で巻いて着ていた。


「あっ、あの。この服はこんな感じで着て良かったんですか?」


「うん!正しく着れていないけど間違ってない!!」


エドのその言葉にローズはホッとした。


「良かった、ハーレスは...」


ローズがハーレスを探して部屋を見渡すと、ハーレスは壁に寄りかかってこちらを見ていた。


その姿に、ローズが駆け寄ろうとした時だった。


「......ない」


「え...」


「あいつが、関わっているなんて事...ありえない!!」


ティラがそう叫んで、バタバタと部屋を出て行った。


「ティラ!!」


ブラックが出て行くティラを追いかけようとしたその時。


バターン!と音を立てて扉が開いた。


舵を切っていたはずのハロックが慌てた様子で言った。


「船の前に何かいる!舵が取れないよぉ!!」


*******

今回ちょっと長くなってしまいました。

パルクールだと思っていたのは魔法だったんですね!

果たして船の前に立ちはだかるものとは!そして、ティラの言う「あいつ」とは!とは!とは!....


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