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ローラの都  作者: 杉野御空
4/12

ローラ王国

しばらくハーレスたちの後ろをとぼとぼと歩いて着いてきていたローズだったが、突然その歩みを止めた。


「お願いがございます」


その声に一同が振り向く。

ハーレスとローズの目がまた合った。


「なんだ?」


ハーレスが口を開く。

ローズはしばらく視線をウロウロさせていた。


「初対面の方にこのような事を言うのは大変恐縮なのですが...」


「いいから言ってみろ」


「わ、わたくしの故郷を探していただきたいのです」


故郷?シーダの面々は不思議でたまらないという顔をしてローズを見た。

ティラが思わずローズに聞く。


「ローズ、自分の故郷を覚えているのかい!?」


「はい、覚えています」


「どこ!?」

ローズがどこでどのようにして育ったのか、何らかの手がかりになるかもしれないと、ティラは身を乗り出すようにして聞く。


「ローラです、わたくしの故郷は、ローラというのです」


サン・ベネディクト教会の鐘の音が静かに鳴り響いた。ローズの深淵な瞳が、それに呼応するようにゆらゆらと揺れていた。


*****


「ローラ!?ローラって、あの...」


「何かご存知なのですか?ええと...」


ローズの言葉を聞いてティラがハッと気づく。


「そういえば自己紹介がまだだったね、

今話したのはエドだよ!そっちの黒いのがブラック、私はティラ。そんでこの赤い目の人がこの盗賊団のボス、ハーレスだよ」


ティラはよろしく、と挨拶した。

ローズは微笑み、よろしくお願いします、と言うとまたおじぎをした。


ローズはエドに視線を戻して言う。


「エドさん、教えてください。ローラをご存知なのですか!わたくしは、自分の名前と、故郷の名前がローラだという事以外何にも覚えていないのです...お願いです、どうか...」


エドたちはお互いに顔を見合わせた。

エドが言いにくそうに口を開いた。


「あのね、ローズ、落ち着いて聞くんだよ。僕たち別に君を傷付けたいわけじゃないんだ、つまり、その、教えてあげてもいいけどびっくりしないで聞いてね?」


「エド前置きが長い!あのねローズ、あんたが言ってるそのローラって国だけどさ、もう世界中のどこを探しても見つからないよ、だってその国は...」


「4年前に滅んだんだ」


ハーレスが横から静かに口を挟んだ。


瞬間、ローズの顔が死人のように蒼ざめた。




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