盗賊団シーダ
ティラに限らずシーダのメンバーは、何かしら武器を携帯していた。それはシーダのメンバーにだけ言えることではなかった。
いつ悪魔が襲ってくるかわからなかったからだ。
悪魔は主に夜活動する。が、4年ほど前から昼間にもよく現れるようになった。増え続ける悪魔に神父の悪魔祓いも追いつかない状態になっていた。
何故こんなに急に悪魔の活動が活発化したのか、人々は首を傾げながらもこうして武器を携帯して武装するほかなかったのだ。
ティラはシーダでは唯一の女性で、武器はショットガン。語学力に優れていて、綺麗な赤毛を短く切った活発で美しい女だった。
「あそこだよ」
ティラが指をさした先には、体を震わせながら教会の扉にしがみついている少女の姿があった。
「かわいそうに...」
ティラは目に涙を浮かべていた。
実はこのティラには妹がいたのだが、数年前、その妹が目の前で悪魔に連れ去られてしまうという経験をしていた。
彼女は自分が妹を守ってやれなかったという自責の念から、同じ年頃の少女に対してこのように過剰な反応をしてしまうのだ。
少女のそばには、ほかのメンバーのエドとブラックがいた。
エドは本名をオレガノ・ディ・シャトレというのだが、その名前を嫌っているため自分の好きな俳優の名前を名乗っている。元は貴族だったがその放蕩ぶりに呆れた実家から勘当同然で追い出され、旅を続けるうちに彼らと出会い、ハーレスに憧れて仲間になった。
もう一人の男ブラックはシーダの中で最も寡黙で、ティラに密かな恋心を抱いていた。
その名前の通り、黒髪に黒い瞳で服も黒い。歳はまだ17歳だった。
武器はブラックは鞭、エドは短剣を使用するが、悪魔との戦闘になると年上のエドよりブラックの方が強かった。
エドが一生懸命少女をなだめようとしているのが二人の視界に入った。
ブラックは周囲を警戒しながら、ハーレスとティラに気付くと無言で手を振った。