ある少女との出会い
人間は死んだらどこへ行くのか
天国 それとも地獄?
地獄には何がいるのか
天国には誰が住むのか
地に這うのは、人間だけか......
これは、まだ人間と天使、悪魔が存在していた時代の、愛と戦いの話である。
この世に年数がまだはっきりと定まっていなかった限りなく昔の事。
地上一豊かで幸福だった王国が、天変地異により一日にして滅んだ。
草木は枯れ、川は干上がり、灼熱の砂漠が広がった。建物は吹き荒れる風と落雷によって崩れ落ちた。
その異常気象は執拗に王国を痛めつけ、一晩のうちに多くの命を奪った。
そして......
王国の血族は皆息絶えた。
ただ一人、王女だけを残して。
「キャプテン、お願いがあるんだけど」
キャプテンと呼ばれた男は無言で声のする方を見た。男は銀灰色の髪をしていて、瞳は真っ赤だった。
「何だ、ティラ」
「行き倒れらしい、助けてやりたいんだ。まだほんの15、6歳だと思う。人買いに見つかって売られる前に、早く」
「...どこにいる?」
「ルーオ街だ、そこのサン・ベネディクト教会の裏にいる。すでにエドとブラックが行って見張ってる」
「わかった、行こう」
彼らはシーダと呼ばれる街の盗賊団で、まずキャプテンと呼ばれている男ハーレスを筆頭に四人のメンバーで成り立っていた。
この4人は今ミレーという国で「堕天の印」という歴史文献を探していた。
そんな折、シーダの情報屋ティラが、行き倒れの少女を発見したのだ。