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普通という名の小さな幸せ

作者: アザゼル
掲載日:2008/03/23

「今日は何の日??」の続きのような……そうでないような……とりあえず見て下さい


あいつとの時間。


幸せな時間。


でもふと怖くなるこんな時間がいつかなくなってしまうことを……

あいつがお父さんやお母さんのようにふと消えてしまうような気がするから……





私の両親は昔、交通事故でいなくなってしまった。

私自身も左目の光を失った。



失った幸せ


戻らない昨日


だからこそ怖くなる






「馨【カオル】ちゃん??」


かけられた声で我にかえる私…

危ない 危ない


またやってたみたいだ。

この嫌な事ばっかり考える癖やめないと…


「馨ちゃん??」


心配そうにもう一度声をかけるおばさん。


「なにおばさん??」


と不安を解くため笑顔でこたえる私。


柄じゃないな…


この人が事故の後私を引き取ってた人

とても優しいいい人


「おばさんお客さんいない内に買い出し行って来るからお店の留守番お願いね〜」


と私の返事を待たずにおばさんはそそくさと出ていってしまった。



ここは少し小さめの洋食屋

私のおばさんが営むお店。

店自体は私とおばさん二人で切り盛りしている。


こんなふうにお客の居ない間に買い出しに行くことなんてしょっちゅうだ。

だから私はこれといって驚きもせずつかの間の休憩をとることにした。


店の壁にたてけかけてある時計の針は5時を示してる。

今日のお店のピークはもう少し前に過ぎた。

後は楽なものだ。



しばらくするとカランカランと来客を告げる鈴の音が鳴り響いた。


「こんにちは〜」


と聞き覚えのある声と共に現れたのはあいつだった。


飽きないな

ここ最近毎日通って来てる気がする…


なんて言ってはいるもののこんな二人だけの時間が嬉しかったりするのは秘密だ。



笑うなバカ


でもやっぱりいつかはこの見慣れた幸せが来なくなる日が来るんだろうな…


幸せは儚く壊れてしまう物だから。



「もしも〜し馨ちゃん?」


私の顔を覗き込むように見つめるあいつ。


あっ…また悪い癖が…


「ちゃんは付けるな、聞いてるよ」


当然全く聞いてなかったのは言うまでもないよね


「んじゃあ俺はさっきなんて言ったでしょ〜か?」


とニヤニヤと笑うあいつ


なんかすごい腹立つな…

いつもの事だけど…



「な〜俺今めちゃめちゃ腹ペコなんだよ

だからいつもの早く持ってきてよ馨ちゃ〜ん」


とお腹をさすりながら自分の空腹をアピールするあいつ


「ちゃん付けるなって…

はぁ〜、わかったすぐ用意するからテーブルで大人しくしててよ」


と呆れながら言うと「早めにね〜」と上機嫌であいつはテーブルに向かっていった。


さてあいつが餓死する前にさっさと作るか

と私は軽く気合いを入れて厨房へと向かった。





でしばらくして料理が出来たのは良いんだけど…

肝心の消費者がこれじゃあね…


「グ〜 グ〜 スヤスヤ 」


とテーブルにへたれこみ寝息をたてているのは当然あいつ。


「…はぁ〜」


いつもので慣れているはずの私もさすがにもうため息しかでなかった…


人には腹ペコだから早めに持って来てと頼んだくせに

自分はこんなに熟睡してるんだもんな

たかが10分程度だよ


「…バカ」


色々頭に浮かんだのに口に出た言葉がこれだけなんて私もこいつに負ける劣らずのバカだな。


「スヤスヤ スヤスヤ」


気持ちの良さそうな寝顔


私は彼の隣の椅子に腰をかけた。


やっぱり疲れてるんだろうな

今日も無理して来てくれてるみたいだったし


えっ??

何でそんなこと分かるかって??


ここ三日ほど私が軽い風邪を引いてて…

昔から体が弱かった私はたかが風邪引いたぐらいで倒れてしまうような人間で…

であとは毎回のパターンで周りが必要以上に気を使ってくれて…

もちろんこいつも


でも私はこいつに風邪を移すのが嫌だったから

こいつに見舞いに来なくて良いって言ったら次の日から店に通って様子を見にくるようになったって訳。



「ありがとうね

本当に感謝してるよ

いつも君が傍にいてくれて…」


こいつの前では決して言えない気持ち


「こんなに君は私に尽くしてくれてるのにこんなことしか言えなくてゴメンね…」


バカだな私

聞こえてなんていないのに…








「ふぁぁ〜」


と間の抜けな声とともにあいつが眠りから覚めたようだ。


「…おはよう」

まだ頭が働いていない様子のあいつ


「おはよう」


一応私もかえしておく


「「…………」」


お互い見つめ合ったまま時が止まる。


一瞬の静寂


「……ん!?」


と何かに気付いたように辺りを見渡すあいつ


「何??」


不信に思った私は声をかけた。


「俺もしかして寝てた?」

あわあわと戸惑いながら恐る恐る聞いてくるが…


「ぐっすりとね」


事実は事実だよね??


「どれぐらい寝てた?」


みるみる青ざめていくあいつの顔…


どうしたんだろう??


「30分ぐらいかな」


私は壁にたてけかけてある時計の時間を確認しながらこたえた。


「ごめん

料理冷めてるよね…

せっかく作ってくれたのに…」


顔をうなだれてびくびくしながら謝るあいつ。


なにかと思ったら…

そんなことか


本当は私が無理さちゃってるのが悪いのに…




こいつはいつも自分より真っ先に他人を優先する

もう少し自分を大事にしてほしいところだけど…

これはこれでこいつの良いところだ。


そういうこいつのちょっとした優しさに私は惹かれてる……のかも


「別に温め直せば大丈夫だし…

怒ってないよ」


これはこいつに気を使ってるとかじゃなくて本音だ。


「なら良かった〜」


と胸を撫で下ろすあいつ


「ありがとうね」


と笑顔でいうこいつ


ウッ

その顔ズルい


「じゃ温めてくるから…」


カーっと顔が赤くなってるのを感じた私は照れ隠しのために急いで座っていた椅子から立ち上がったのだが…


「!!」


私の頭はグルグルと回り

体は勝手に床に吸い寄せられた


…あれ…


…嘘っ…



ゴンッという音と共に床に倒れ込み

私の世界は真っ暗に塗り潰された。


「おい馨!? 馨〜」


心配そうにかつ珍しく焦っているあいつの声が聞こえた気がした。






「ん〜ん ここは…」


気付くと私は白いシーツのベッドで横になっていた。


私…倒れたんだっけ…


それじゃここは…


私の部屋??


よくよく周りを見渡すと確かにここが私の部屋だということが認識できた。


でも誰がここに運んで……!?


「グ〜スヤスヤ」

……ん!?


見ると私の横には熟睡してるあいつがいた…


なにしてるのよ


運んでくれたのはうれしいけど…


いやいや、それより私は今までこいつと一緒の布団にくるまって寝てた事の方が問題で…


いやいやもちろん

こいつがそんないやらしいような事をするような人間じゃないことはわかっているつもりだけど…


でもやっぱりさすがに…

あれ…わ、わ、私何赤くなってるのよ


…違う

恥ずかしいとかじゃないんだからね…




なににやけてるのよ

ぶっ飛ばすわよ。




と、と、と、とりあえずベットから起きないと…

…うんそうよね…


あれ…??


上手く起きれない…??

ていうより私の腕が誰かに引っ張られて動けない


「………」


まぁ引っ張っているのは案の定こいつなのだが…

いや正確には腕ではなく手を握ってくれているのだけど…


「……クスッ」


私の顔は自然と微笑みに変わっていた。

いつものような作った笑顔じゃなく好きな人にしか見せない笑顔(いや、好きな人にも見せれてないかも)


「まぁたまにはいいよね」


と私はおとなしくベットで寝ておくことにした。


こいつが私の寝ている間にどこかに行ってしまわないように握られている手を強く握り返しながら


それでもやっぱり不安だ。


でも隣から聞こえる寝息が私をとても安心させてくれる気がした。


私は独りじゃない


そうはっきり感じれたから


「総司【ソウジ】ありがとう」


あいつの名前といつも言えない感謝の気持ち

今度はちゃんと伝えられるかな…


そんなことを思いつつ私の意識は闇へと薄れていった。






「ただいま〜

…あれ!? 馨ちゃんは??

おかしいわね店番しててって頼んだはずだけど…

部屋かしら??」

と部屋へと向かう人が1人


このあと二人でベットでくるまっている様子を見られてあらぬ誤解をされ

小一時間ぐらい怒られたのはまた別のお話で…







いかがだったでしょうか??


えっ?? つまらなかった??


知ってますよそれぐらい(オイ


残念ながら責任は取れません


全員にしてたら終わりがないからです。





とにもかくにも温かい目でよろしくお願いしますm(_ _)m


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― 新着の感想 ―
[一言] とてもおもしろい内容でした。欲を出すなら男のほうの視点でみたい気持ちになりました。でも短編でこれだけうまくまとめられるのは素晴らしいと思います! これからも頑張ってください!応援してます!…
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