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後付け強化系転生者ハジメくんの異世界漫遊記  作者: 結佐
第二章 ハジメ in 盗賊団
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第四十五話 ハジメ、世界大盗賊団武盗会に出場する 21

「貴様、盗賊だな?」


「いえ、違います。」


「そうか、引き止めて悪かったな。行くがよい。」


「いや疑えよ!?」


「何!?ならば貴様、やはり盗賊か!」


「そうじゃないというかそうというか…いや、そうじゃなくてさ!普通自分がWTGの会場の出口抑えてるんだからそこから出てくるやつみーんな盗賊だろ!?」


「ハッ…たしかにそうだ。WTGの開催中に盗賊以外がこの穴から出てくるなんてありえん!貴様、嘘をついたな!?」


「認めない!認めないぞ僕は!こんなバカなやつがギルドランクSSSなんて絶対認めない!」


「貴様、なぜ話していもいないのにそれを…まさか、ジークが!?」


「なんでそういうとこだけ鋭いの!?逆にすげーよ!!」


「褒めても何も出んぞ?少しくらいは手加減してやろう。」


「褒めてねーし!つうかそんな褒められ方で手加減するってどんだけうれしいんだよ!!」


「何…貴様、また騙したのか!許せん!このギルドランクSSS認定、ウロボロスのメンバーたるクーフーリンが八つ裂きにしてくれる!!」


「やべー。バカだけど強そうだ…バカだけど!!」



僕がこんなコントを繰り広げているのは、今大会における地下会場の出入り口、5つのうち、おおよそ5時の方向にある出口である。


すでに12時の方向の出口は開放してあるが、そこからわらわらと盗賊が出ようものならその動きを察知されてフルボッコにされかねない。なので、彼らはまだ場内で待機してもらっている状況である。


そして、僕の前に立つ男、クーフーリンと名乗る彼は、身長180センチほどで中肉といった見た目だが、なんともすさまじい気迫を放っている。


おそらく、バカと言われたのがトサカにきているものと思われる。。


ちなみに、例によって彼が名乗った名前はケルト神話の英雄である。

そして彼の持つ槍。これがまた銛のような形をしており、どう考えても、神話においてクーフーリンが授けられたという伝説の槍、ゲイボルグに違いないだろう。


クーフーリンという英雄の名前もメジャーだが、彼の名が現代において既知されているのはこの槍のおかげといっても過言ではない。


このゲイボルグ、さまざまな能力を持つまさにチート級の槍なのである。

投げれば30の(やじり)となって襲い掛かり、突けば30の棘となって破裂する。

また、必ず相手を貫き、刺されたものは必ず死に、これによって付けられた傷はいかようにしても治らないし、細胞すべてに毒を残し、無数に枝分かれして刺さり、敵をまとめて貫き、どんな防具も貫通、その速さは稲妻のようであるとも言われている。


要約すれば、投げたり突き刺したりすれば様々な形状を取り最終的に必中し、当たった敵は死ぬという大層な槍なのだ。


ゲイボルグはケルト神話の存在であり、ギリシャ神話の産物であるゼウスのアイギスなる最強の防具を貫けるかどうかはまた別の問題であるが、とにもかくにも当たれば致死。ゼウス様の力を授かった僕も、おそらく神話上の存在であるゲイボルグには神力がこめられているだろうから当たってしまえば当然死んでしまうだろうから、リスクは侵したくない。


というか、何気に僕史上最大のピンチなんじゃないか…?


そう悟った僕の行動は早かった。名乗りを上げた彼に答える気もなく、すぐさま雷神刀…ではなく、禁忌と思っていた例のモノを取り出した。


雷神刀とは比べ物にならないほどの重量感、この世界には存在しないはずである、超絶オーバーテクノロジーのあの武器である。


ハジメ専用最終兵器(リーサルウェポン)超電磁魔弾砲(マジックレールガン)。実に、22話ぶりの登場であるからして、彼の威力を僕は少し忘れ気味である。


「な、なんだそのバカデカい杖は!?」


「悪いけど、その槍を使われる前に終わらせる。」


「この槍のことを知っているのか!?貴様、まさかてんs…」


発射(ファイアー)!!!!」


僕はそう言いながら引き金を引いた。


瞬間、超高圧の電圧により強力な磁場を生成。内部は空間縮小魔法を込めた魔方陣によって小さくなっているが、おおよそ20メートルほどのレールが生成され、そこを魔方陣によって生み出された重さ100キロほどの圧縮された弾丸が磁場によって電磁誘導を生み出したレールによって超速度に加速され、秒速にして300km/sの速さでレールガン本体より射出。


本体から離れた物質については縮小魔法の範囲から外れるために一度に巨大化、直径50センチほどの特大の弾丸となり、その膨張により周囲には軽微な衝撃波に襲われ、さらにその弾丸の速度からすさまじい反動が僕に降りかかるのだが、それも無効化する術式を込めているのでさらに弾丸の初速を加速する結果となり、ほんの10メートルしか離れていないクーフーリン目掛けて轟音を吐き散らしながら飛んでいった。


バゴォン!という音と共に、その音の速度をはるかに超える速さの弾丸は弾道直線上にあったクーフーリンの体に直撃、僕の攻撃によって死ぬことはないが、その有り余る威力の埋め合わせとしてクーフーリンの体はバラバラに吹き飛ぶ代わりにレールガンより放たれた弾丸に運ばれる形となり、108,000km/hの速さでさながら人間大砲のごとく空のかなたへと吹っ飛んでいった。


「…いや、やっぱこれダメでしょ。」


僕はこのハジメ専用最終兵器・超電磁魔弾砲の威力を再確認し、今一度禁忌として封印することを決心した。


「そういえば、何か言いかけてたな。てんs…天才…かな?うーん…。」


まぁ、そんなことはどうでもいい。僕史上最大の命の危機だったんだ。無傷ですんだだけマシでしょう!と僕は無理やり納得させ、10時の方向にある次なる出口へと向かった。







「お次はっと…」


「…キミ…盗賊?」


「え?」


10時の方向にある出口にたどり着いた僕は、不意に背後からする声を聞いて振り返った。


そこには、弓矢を背負い、毛皮の服を着ている狩人らしき女性の姿があった。


「キミ、盗賊なの?」


「そうだけど…」


と、僕が答えた瞬間、目の前からその女性は消え失せた。

どうにも嫌な予感が背筋を走ったので、僕は開けた前方にヒュッと跳躍した。跳びあがりざまに後ろを見れば、長めの短剣を振りぬいた彼女の姿。ぶっちゃけ超危なかった。


「今の、避けられるんだ。すごい。」


「お褒めに預かり光栄だよ。」


シュタッと着地した僕に彼女が声をかける。

僕は彼女の一挙一動を見逃すまいと集中した。僕はインドラからもらった能力を発動させた。細胞の雷震と電気信号察知である。


すると、僕の体は青白く光を帯び始めた。空気中のチリなどに逐次流電しているので、ときどきバチッ、バチッと音がする。


「なにそれ。オーラ?」


「そんな感じ。」


「ふぅん。強そうだね、キミ。私はアタランテ。ギルドランクSSS認定の冒険者。悪いんだけど、ここにいる盗賊はみんな殺さなきゃいけないんだ。悪く思わないでね。」


「僕はフィラー・ヴィルトス。新米の盗賊さ。そっちこそ、やられても悪く思わないでね。」


「…行くよ。」


フッ!と僕の目の前から姿を消すアタランテ。先ほどは見切れなかったけれど、今の状態なら彼女の動きは全部筒抜けだった。


彼女が消えた理由は、魔法でもないし、特別な武術でもない。ただ、とんでもなく足が速いのである。つまり、ただ僕の後ろに回りこんでいるだけなのだ。なるほど、彼女も英雄というわけだ。


アタランテはギリシャ神話に登場する女狩人である。逸話はそう多くはないが、男の英雄よりも早く矢を猪に命中させるほどの腕を持つほか、生きている人間のうち一番足が速いという英雄なのである。


ゆえに、彼女は僕よりも早いようである。ただ、彼女の持っている短剣はおそらく普通の短剣であるし、彼女の持つ弓と矢も普通のものだ。だから、僕には大して効果がないと思いたいのだが、そもそもアタランテ自身、さかのぼれば神の血を引いているのである。攻撃に神力が込められていたとしてもおかしくはないので、やはり攻撃に当たりたくはない。


幸い、足の速さを生かして接近戦を挑んできてくれるようであるから、僕にはまだ勝機があった。


足の速さは相手方が上である。しかし、僕の反射速度は細胞の雷震により常人のそれとは比べ物にならないほどの早さだ。彼女の反射速度も当然常人のそれとは一線を画すが、それでも僕のほうが早いだろう。


彼女が僕の後ろに回りこんでくるのはわかっていたし、すばやく振り向くと彼女がすでに短剣を振るっていた、なんてのは予想済みだった。なんなら、その軌道から速度、間合いすらも僕は見切っていた。


だからこそ、彼女が受けたことのない反応を返すことにする。


僕は胸部に向けて繰り出された短剣の斜め下に切り下げる挙動を読んだ。すでに僕の右手は雷神刀に伸びていたし、僕の居合いによる速度は彼女がそのまま僕の体に短剣を切りつけるその動作の間に納刀までを終わらせるほどだ。


僕はすさまじい速度で真雷神流奥義・居雷神鳴葬斬を放ったのであった。


細胞の雷震により、身体速度が上がっているために、彼女の短剣の振り動作は止まって見えていた。


そして、がら空きの胴を目掛けて一閃。相も変わらずご都合主義の僕の雷神刀は、彼女の体を切り裂くことなく、全身の神経を例のごとく麻痺させる効果と身を貫く斬撃の衝撃だけを残して僕の体ごと彼女の背後へと通り抜けたのであった。


つまりその一瞬だけ、僕は彼女よりも早かったのである。


「う…そ…」


と、それだけつぶやき、彼女はドサリと地面に伏したのであった。


なんだか、フラグを立てた気がしなくもないけれど、まぁそんなのは気にしない。


今の目的は出入り口の開放のみ。残すは2つ。


おそらく、この後も僕の世界で言う神話の英雄たちが名を連ねているんだろう。


それが意味することはつまり、どこまで僕のいた世界とこの世界がリンクしているのか?ということだ。


僕はまだ、なんだかんだ、この世界のことを把握しきってはいないのである。

とうとうWTG編だけで20話を超えてしまいました。長いよ!!

マジノープランすぎだよ!!

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