第三十三話 ハジメ、世界大盗賊団武盗会に出場する 9
今回は短いかも。
アッシュとブラドリヒが対決していたころ、僕とディアスはわらわらと湧いて出てくる軍隊とひたすら戦闘していた。
「ディアス!!これ、拉致あかないぞ!!」
「ああ!!わかってらぁ!!」
僕らは進もうとしているが敵兵がドンドン補充されている上に、出てくるところは向かおうとしている場所である。
さきほどから雷神刀で遠雷や落雷をぶっぱなしてはいるのだが、敵陣に穴が開く気配がない。
物量作戦かよ!と半ばキレ気味で攻撃を続ける僕であった。
「おいリベル!!」
「なんだ!?」
「魔法使えるんだろ!?もっと広い範囲ぶっ放せる魔法ないのかよ!!」
「その手があったかぁぁぁぁ!!!!」
ディアスに指摘されるとは情けないが、なるほど、刀の奥義でちみちみと倒しているよりはよっぽど効率的である。
「ディアスウウウウ!!!耳おさえてろおおおお!!!!」
「お?」
瞬間、発動する魔法。それは、雷属性の広範囲対軍魔法。
雷神の力を持つ僕は、雷属性の魔法ならなんでも発動できるのである。
そして、僕が放ったのは。
オリンポス十二神が一人、ゼウスのみが扱えたという神の雷。
雷霆。
僕はただ一度、右手に現れた雷の槍を投擲した。
それだけで、目の前にあるものすべてが無に帰る。
ズドオオオオオオオオン!!!という爆音が鳴り響き、あたりが砂埃に隠れたあと、再び見えたその光景は、ただ何もなく巨大な大穴が建物を貫いていて、向こうには青空が広がっていたのであった。
「…やっべぇ。」
正直、ここまでとは思わなかった。というのが、率直な感想である。
ちなみにこの魔法も、威力をいじってあるので、人が当たったとしても死にはしないし致命傷にもならない。ついでに、この魔法から連鎖する形で吹き飛ばされたり瓦礫に直撃した場合も一定のダメージ以上にはならないようになっている。ともすると、彼らはどうなったのか?と疑問が残ると思うのだが、極太のビームのような雷に吹き飛ばされてどっかに吹き飛んでいったというのが正解である。
とにもかくにも、軍隊は全滅させたので、僕は先を急ぐことにした。
ディアスは僕の後ろで心底ドン引きしているようであったが。
*
ところかわって、アッシュとブラドリヒの戦闘はというとである。
まず、ブラドリヒが動き出した。一瞬でアッシュの間近まで迫ったブラドリヒは剣を振り上げるが、それを紙一重で避けるアッシュ。
その隙を見逃さずアッシュは切りつけるが、ブラドリヒもそれを読んでいたのか、少し体を後ろに下げて刀による剣戟を、浅く切られながらも回避する。
次いで、アッシュはさらに切り込もうとするが、すでにブラドリヒは体制を立て直していたようであり、それを確認したアッシュはすんでのところでカウンターで切りつけてくる剣を飛び退って回避。
二人は、同じ位置に戻ったようであった。
「動きがよくなったかね?それが本気というわけか。」
ブラドリヒはクックと笑っていた。まだまだ余裕がありそうである。
「化け物め。切った感触はあったがかなり浅いようだな。」
アッシュはそう言うと、ブラドリヒを睨み付けた。
「そもそも、この状態の私に一太刀浴びせ、傷をつけるということ自体滅多にはないんだがな…やはり、貴様は面白い。」
愉悦の笑みを浮かべるブラドリヒ。だが、アッシュもまた、ここまで強い敵と戦うのは久しぶりだった。
ニヤリ、と笑みを浮かべると、刀を構えなおしたのであった。
「さぁ、続けよう。」
今度は、アッシュが仕掛けた。
東方に伝わる武術。その中には、移動をするためのものがある。
縮地、と呼ばれるその技は、まるで地面が縮まるかのように己が体を運ぶ技であるが、その境地に達するのもまた、並大抵のことではない。
その縮地を用い、敵の懐に踏み込んで切り上げる技。
その名を、電光石火と呼んだ。
フッ、とアッシュが体を消し、ブラドリヒの懐にもぐりこむ。
ブラドリヒは、アッシュが消えたと同時に自分の真下に出現したことに一瞬虚を突かれたが、冷静さを失わずにアッシュの動きを読む。
しかし、アッシュはすでにもぐりこんだ勢いで刀を振り上げていた。
一瞬の隙を生じさせたブラドリヒは、その切り上げに反応できずに思い切り体を切り裂かれ、その勢いとともに上空に吹き飛ばされた。
「グオオ!」とうめき声を上げるブラドリヒ。しかし、空中で回転すると、体勢を立て直した。
「やはり、貴様は面白い男であるな!」
ブラドリヒはそういうと、グッと体に力をこめた。
瞬間、ブラドリヒの背中からコウモリのような翼がバサリと広がった。
吸血鬼の能力である、身体変化である。
翼を一度はためかせると、ブラドリヒはアッシュに向かって急降下した。
空中で進行方向を変えるという離れ業をやってのけたブラドリヒに、アッシュは驚いたがこちらに向かってくるブラドリヒが剣を構えているのを認めると、迎え撃つように跳躍した。
空中で両者の体がすれ違う。
そして互いの動きの軌跡を表すかのように飛び散る血液。
ズサッ、と、両者ともに、やはり最初の戦闘位置に着地する。
と、アッシュが口を開いた。
「ブラドリヒ・リーデルシュタイン。貴様は強い。そして…」
呼応するように、ブラドリヒも言う。
「アッシュ・リバー。私は貴様と戦えたことを誇りに思う。そして…」
「貴様の、負けだ。」
ドサリ、と、敗者が倒れた。
アッシュ・リバーの体は地面に横たわっていた。
空中にて、ブラドリヒの脇腹から胸までを深く切り裂いたアッシュは、それよりも一瞬速く、ブラドリヒの剣によって同じように体を切り裂かれていたのであった。
「アッシュ・リバー。強い男だった。これが終わった後、酒でも飲もうではないかね。」
ブラドリヒは切り裂かれた胸を押さえながら、そう一人ごちたのであった。
「さて、それでは残る元帥。彼ほどではないと思うが、心して望むとするかね。」
ブラドリヒは、そういうと、歩みだした。
その瞬間である。
突如、ブラドリヒの横っ面を直撃する異常なまでのダメージ。
「ヌオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
ブラドリヒの体は一瞬にしてその場から消え去り、建物をぶち壊して空のかなたへと吹き飛んでいったのである。
彼の体を吹き飛ばしたのは言わずもがな。ハジメの放った雷属性魔法、雷霆なのであった。
それを臥して見ていたアッシュは、後にこう語ったという。
「ハジメはシリアスにはなれない。」
と。
ノープラン、ノープロットで続いていくこの小説ですが、すでにいろいろほころびが出ています。
しかし気にせずやっていくのが僕流クオリティ。
どうか生暖かい目で見守ってください。
ちなみに今のところやっちゃったと思っているのは、WTGにおいて正体を隠すためにボルケーノナイフとかいう火属性の武器を作ったのにもかかわらず、本戦では思いっきり雷神刀を使っているところとか。
ハジメくんてきには、自分を変えようと思ったといった後にそれを使っているので、偽名で偽るのはやめようとかそう思ったのかなー?とかそんな風に思ってくだされば幸いです




