序章 ステータスとか
とはいえ、何を作ろうか。
何かを作ろうと思ったまではいいが、何を作ればいいのかぜんぜんわからないというのが僕の感想である。
そもそも、である。何かを作るにはおよそ材料が必要なのではないか。
そのあたりも含め、もう一度言霊の支配者で特性を理解しようと試みるも、目新しい情報はなかった。
どういうことだろうか。
少し考え方を変えてみることにする。
モノづくり神の能力は、なんでもつくることができる、ということだが、材料についてはなんにも言われてないから、もしかしたら材料なしでものが作れるのだろうか?
というわけで、スキルの発動をイメージしてみる。
剣よ、出て来い!
…ううむ、なにも出てこない。
やはり材料は必要なのだろうか。
ならば、と。僕はこうつぶやいてみる。
「僕の目はそこらじゅうのものから作れるアイテムがわかるようになる」
その瞬間、僕の頭の中にものすごい量の情報が流れ込んできた。
――ハジメは、「鑑識眼」のスキルを覚えた!
――ハジメは、「モノづくりはじめました」の称号を手に入れた!
ん?なんだ今のRPGのテキストみたいなの。いや、親切っちゃ親切だけど…
称号っていうのは、どうやら一定の条件を達成すると手に入るらしい。その人がどのレベルの人なのか、わかりやすくなってるみたいだ。
まあいいか。どうやら、木材を使えば木のモノを。石を使えば石のモノを。っていう当然の理屈っぽい。
うーん、これだったらどっか適当な町で材料を手に入れてからモノを作ったほうがいいかなぁ。
とりあえず、歩こう。…いや、まてよ?
「僕はこの世界では多目の魔力を持っている。また、転送魔法を覚えている。」
と、スキルを発動した。
――ハジメの魔力量が1500Pになった!
――ハジメは、「転送」の魔法を覚えた!
――ハジメは、「一般魔法使い」の称号を手に入れた!
うん、どうやら1500Pってのはこの世界では多めらしい。一般的な人間の所持魔力量は1200くらいまでで、魔法の種類にもよるけれど、簡単なもので10くらい、ちょっと高度なものになると100くらい必要みたいだ。ちなみに転送は600くらい使う。うーーん、もうちょっと魔力量を増やしてみようか。
「僕の魔力量は10000Pある。」
――ハジメの魔力量が10000Pになった!
――ハジメは、「2級魔法使い」の称号を手に入れた!
…2級魔法使い…かぁ。一度自分の情報を確認してみよう。
「僕はステータスの確認ができる。」
――ハジメは、ステータスを使えるようになった!
というわけで、僕のステータスはこんな感じだ。
ハジメ・アツカワ 20歳 男
戦闘能力総合評価:D
筋力:F 魔力:C
敏捷:F 話術:D
技術:D
特性
鑑識眼、モノづくり神、言霊の支配者
スキル
ステータス
魔法
転送
称号
2級魔法使い、モノづくりはじめました、常識人、ミジンコ
…ミジンコっていう称号ほど人に見せたくないものってないな。
歳も若くなってる!まあでも、転生っていうとそうなっちゃうのかなぁ…20歳っていったら、楽しかったよなぁ…
っと、しみじみしてる場合じゃない!とりあえず転送で街までいってみよう。
「転送!ルベリア!」