第二十四話 ハジメ、盗賊団に再会する
その後、残り2体となったボルケーノドラゴンの討伐であったが、先の戦闘音でこれまた釣られてやってきた彼らは、僕が一体、竜人たちが一体を倒し、クエストは終了となった。
ちなみに、語るのがそろそろ飽きてきたところなので詳細は省くが、僕が倒したボルケーノドラゴンの最期は各属性の魔弾を体に受けほぼすべての状態異常になった挙句、このサイズの銃でも徹甲榴弾は撃てるのか?と思った僕が冗談半分で放ったそれにぶち当たり、例のごとく頭部が全壊して終了。
竜人たちと戦ったボルケーノドラゴンは、先ほど同じくコンビネーションによりダメージを受け、弱ったところをリグレアのハンマーによる跳躍からの兜割りで頭骨を砕かれて死んでいった。
その後彼らと合流した僕は、僕が一人で6体のボルケーノドラゴンを倒したという報告を聞いて、一応驚いたけどなんか最近わかってきた気がするから正直そんな驚いていない自分が居ることに驚いているというよくわかんなくなってしまったサイアスの言葉に、僕は「そろそろ人間やめてきたかな」と思ったのであった。
ギルドに戻ってからも一悶着あり、解体工であるプロイセンが真っ二つだったり頭部がつぶされていたりと、普通の倒され方をした死体が少なかったこと(特に黒こげの死体を見せたときは心底驚いていた様子であった)に対して、「リベルさんならもう驚かない」と言い出したり、同じ部屋で解体作業を行っていたほかのパーティメンバーが「あいつら最近恐ろしい速さで竜種の討伐記録を塗り替えてるパーティだ…」「なんでも、あのリベルとかいうやつ、いつのまにか現れたSランクの冒険者らしいぜ。聞いた話だと竜種をヤるのに一発しか魔法を打たなかったらしい。」「マジかよ。相当経験つんでるんだな…」などとうわさしているのを聞いたりと、とりあえず逃げたくなるような帰還であった。
閑話休題。
僕は久しぶりに空覆うイナゴ団のアジトに行くことにした。
なにせ、ディアスとアッシュ、それとニッケくらいしかこの世界で友人と呼べる人間は居ないし、僕が転生者であるということを知っているのも彼らしか居ないので、必然的に近況報告といえば彼らにしかできないのである。
そんなわけで、僕は転移を使ってアジトへと飛んだ。
「やっはろー!」
と、久々にテンションがあがっている僕の声に、なにやら書類を見ながらうーん、うーんと呻いているディアスが気づいたようであった。
「おお、ハジメ!!!ちょーどいいとこにきた!!!」
今まで眉間にしわを寄せてうなっていた彼の表情が一挙に晴れやかになっていくのをみて、僕はすごく後悔したのだった。
これ、絶対厄介事だ。
*
「つうわけで、だ。お前にも手伝ってほしいんだ。」
「つうわけで、じゃないでしょうが。久しぶりに会いに来て近況報告でもしようと思ったらなんでそんなことやる羽目になっちまうんだよ!!」
「仕方ねえだろ!!アッシュの野郎がまた一人旅に出やがったんだからよう。」
「ええ!アッシュいないの!?彼今度はどこ行ったのさ!」
「リヒ…なんとかっていってたな。なんでも、表の方にやたら恐ろしい速度で竜種の討伐記録を塗り替えてる、バカつええ魔法を使うリベルとかいう冒険者が現れたらしくてな。出自がリヒなんたらってとこらしいから情報収集しに行ってくるとか何とか。」
「えぇ…それ僕なんだけど…」
「…お前、騒ぎになるようなことはしたくないんじゃなかったのかよ…」
「僕だってしたくなかったさ。でも成り行きで…」
「うーん、前から思ってたんだけどよ、お前ってなんだかんだバカだよな。」
「うん、否定できないんだけどディアスに言われるとなんだか腹が立つ!」
という頭の悪い会話を繰り広げている僕らであった。
「んで、なんなんだ?その、世界大盗賊団武盗会とかいう明らかにめんどくさそうなイベントは。」
と、僕が尋ねた。なんでも、ディアスはそのイベントの出場メンバーを考えていたらしいのだが、アッシュ不在のために開いた穴が大きすぎるためか、誰を入れようか悩みに悩んでいたらしい。
「おう、世界大盗賊団武盗会ってのはだな、いうなれば世界に名だたる盗賊団たちが箔をつけるために参加する、表で言う武道大会みたいなもんだ。」
「武道大会、ねぇ。」
「おう、世界各地の盗賊団が集まって、「盗賊協会」の指揮の下、盗賊に必要なものである、勇気(無謀さ)、力(略奪力)、知恵(悪知恵)、運(悪運)を競い合う正当な大会なんだ。」
「何から突っ込んでいいのかわかんないんだけど、とりあえずやってみるね。まず、盗賊協会ってなんだよ。盗賊に協会もクソもあったもんじゃないだろ!そして勇気、力、知恵、運って、全部すごい嫌な副音声が聞こえるんですけど!」
「おい!神聖なWTGを汚すようなこと言うんじゃねえ!」
「だから、盗賊って時点で神聖なわけねえんだって!!」
「いやいや、神聖なんだよ!そもそも盗賊ってのは、由緒正しき盗神パン様の加護を得ることができる唯一の職業なんだよ!」
「すっげぇ初耳なんですけど!!」
「いいか、WTGはな、まず予選で上位8組の盗賊団を決めるんだ。そんでもって、毎年違った国のお宝をどっちが先に盗み出すかを競って、勝った方が次の試合に臨むんだ。いいか、その計7回の盗みを働く国は決まってるから試合が後になるほど難易度が難しくなる!そして栄えある1位に輝いた盗賊団はその年の大会で手に入れたお宝をぜーーーんぶもらえるんだ!」
「クッソ迷惑な大会だなオイ!!!」
「つうわけで、だ。」
「う、うん」
「ハジメ、お前も大会に参加しろ!」
「絶対イヤだああああああ!!!!」
「ふっ、残念だったなハジメ、すでにお前が手にとって飲んだコップから諮問を採取して契約しちまったんだ、これを破ればすさまじいデメリットがつくぜぇ…」
「な、なんてことを!?そういうことだけ悪知恵働かせんなよ!!」
「うるせぇ!大体、最初に戦ったときからお前はウチに入れたかったんだよ!それをああだこうだ言って入んなかった上に相談にまで乗ってやったんだ!ちょっとくらいこっちの頼みきいてくれたっていいだろうが!」
「う…そういわれると…」
「な?よし、決まりだ。オイ!アッシュ、もう出てきていいぞ!」
「すまんな、ハジメ。」
「え!?アッシュ!?なんで?どこから降って沸いた!?」
「うむ。実はお前がここに来ると察知してな。毎年2位で終わるという状況なのでどうしようと思っていたのだが、ハジメを入れれば絶対優勝できると確信したのでディアスの案に乗ったわけだ。」
「お前ら、ハメたな!?」
「まーまー、いいじゃねーか!久しぶりに会ったんだしよお。初めての共同作業といこうじゃねえか。」
「うわああああ!!!お前らなんてだいっ嫌いだあああああ!!!!」
そんなわけで、見事にハメられた僕は厄介事(WTG)に巻き込まれたのであった。
次回からは、世界大盗賊団武盗会編が始まります。




