第二十三話 ハジメ、竜人たちの連携を見る
4体のボルケーノドラゴンを屠った僕は、向こうの様子が気になったので探知を始めることにした。
ちなみに、威力とかその他もろもろがもはや誰かに見せていいものではなかった雷神刀やレールガンはインベントリにしまってある。
代わりといっては何であるが、それらと似た系統ではあるが威力がかなり抑えられているものを取り出して装備している。
というのも、異次元空間内で試し切りや試射してみたらえらいことになったので、今回は実験を兼ねてクエストに出向いたのであるからして、当然彼らと一緒に前線に立つということを考えると、出力を下げたものをもう一式作ることが最善と思ったからである。
今装備しているのは、雷神刀の下位互換ともいえる「電竜刀」とレールガンはさすがにまずかったので「雷々砲」という魔方陣と魔法式によって多種多様な魔弾を打ち出すことができる小型の銃である。
これらもなかなかのオーパーツっぷりではあるが、先の武器に比べればかなりやさしいもんであるからして、とりあえずこれでもいいかと思ったのである。
ちなみに、これらの武器を作るための技術自体は存在している(というかがんばれば作れるレベル)ので、もし人が見たとしても大丈夫なはずである。たぶん。
と、それはさておいて。
どうやら、彼らは一体と戦闘中である模様。
しかし、反応を見るに、その戦闘音につられて別の固体もやってきているようで、これは手助けが必要かなーと、僕は転移することにした。
*
「ドルガ、引け!」
「ハイィ!」
サイアスが叫ぶと、指示通りにドルガが後ろに引いた。直後、サイアスが突進をかけ、その勢いに乗じて兜割りを放つ。
ボルケーノドラゴンの竜種特性防御は、高熱の蒸気を常に発するというもので、並みの武器であれば武器自体がやわらかくなり、甲殻に当たってもたいしたダメージにならないというものであるが、オリハルコンという鉱石は、魔力等の影響を受けにくいので、切れ味を気にすることもなく攻撃することができるのである。
サイアスの振るった兜割りが、文字通りボルケーノドラゴンに頭部に力強く当たると、ボルケーノドラゴンの頭殻はすでに何度も攻撃されていたようで、パキッと音を立てて割れてしまったようである。
攻撃がヒットした手ごたえを感じたサイアスは、すぐにその場を離れる。瞬間、鼻先を掠めるかのように竜の爪が横切ったのを見て、「くわばらくわばら」とサイアスは感じたようである。
サイアスが引いたのとほぼ同時、逆サイドからコロネアが突進をかけていった。勢いに乗じて突き出された槍は、形状が変化しており、ドリルのような螺旋を描いていた。それがそのままボルケーノドラゴンの背中に突き刺さっていき、見事に体内を貫通する。
余りの激痛に憤怒の雄叫びを上げたボルケーノドラゴンは、背中を攻撃してきたコロネアに対して尾を振り回して攻撃を試みるも、コロネアはそれを予測していたようで、高く飛ぶことによってそれを回避、そのまま上に飛ぶ勢いを使って槍を引き抜いた。
引き抜く際にはやはり形状変化をさせており、貫通した刃先に返しをつけて抜けないようにした後、鎖のようになった部分がボルケーノドラゴンの体から伸びているような状態になった。
そこをすかさず、ダイトが追撃とばかりにクロス斬りを放ち、ついでに掠らせるようにコロネアの刃先に通電、感電したボルケーノドラゴンが動きを麻痺させたところで、リグレアがハンマーで思い切り横っ面を殴ると、ボルケーノドラゴンの体を吹っ飛ばすのだが、それだけではない。
コロネアの武器はいまだボルケーノドラゴンの体につながっているので、コロネアの体を主軸としてハンマー投げのように回転した。
グルン!と回転するボルケーノドラゴンに勢いをつけるべく、空中で回転しながらドルガが切りつける。滑車のようにさらに回転をつけられたボルケーノドラゴンはいまだに麻痺しながらも、自分の体がすさまじい重力にさらされていることに気づく。
そして、終局。
数周したボルケーノドラゴンは、そのまま待ち構えていたリグレアが形状変化を使って棘の壁のようにしたハンマーに激突、慣性の法則によりそのハンマーの棘に深く突き刺されて絶命した。
一部始終を見ていた僕であったが、なんともまあよくやるぜ!と思わずには居られなかった。というか、トドメえげつなすぎないか。
どっちみち、僕の手助けなど不要だったようで、恐らくこちらに向かっていたボルケーノドラゴンも、同族の狩られ方に恐れをなしたらしく、岩陰に隠れているようで、人間の言葉を借りていえば、心底ビビっているようである。
僕は雷竜刀の試し切りをしたかったので、そのボルケーノドラゴンの近くに転移することにした。
ボルケーノドラゴンは、不意に現れた人間に反応し身構えたが、どうやら先ほど同族を打ち倒した者とは違うとわかったようで、相手は一人と嵩をくくったらしい。
これぞ好機!と突っ込んでくる彼に、僕は雷神流奥義・閃却万雷を放った。
閃却万雷は、一瞬のうちに幾数千もの雷を自分の周囲に発生させるというもので、使用者の周囲は致死性の高い高電圧の電気で閃光のように輝くためにその名前がついたとされる。
つまり、全方位に対してのカウンターのような技なのである。
とった!とボルケーノドラゴンは思ったのだろうが、体が数万度の電熱に包まれたときにはもう遅く、彼は光に飲まれて消えていったのであった。
ちなみに、竜人たちは岩によって、向こうが急に光ったと思ったらすごい爆音がした!としか見えておらず、僕としても威力を抑えた武器でこれか…と雷神流奥義の人間離れした力が彼らに直接見られなかっただけでもありがたいと思ったのであった。




