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後付け強化系転生者ハジメくんの異世界漫遊記  作者: 結佐
第一章 ハジメ、異世界に立つ
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第十話 ハジメ、試される

状況がいまいち飲み込めない僕であったが、どうやら目の前の男たちはそうではないらしい。


「あなたが「最強剣士」ですか。思っていたよりも細いのですね。」


と、白い軍服のようなものを着た男がそういった。


「いや、あの。」

「あぁ、申し遅れました。私はシュラウドと言います。今回の試験官役を勤めさせていただきます。」


次に、右側に立っていた筋骨隆々の大男が口を開く。


「同じく、試験官を務めるアリストだ。今回の試験は数百年ぶりに現れたという称号の持ち主をテストするということで、我らが集められた。どんな男が出てくると思えば、こんな優男とはな。悪いが全力でいくぞ。」


と、身構えるアリストの反対側にいた男も次いで口を開いた。


「さらに同じく、試験官やらせてもらうハヤテってもんだ。俺たちはルベリア儀冒険者ギルドが誇る十戦士。そこらの雑魚とは違うぜ?さて、そろそろあんたも名乗りを上げたらどうだよ?」


と、ハヤテは紹介を促した。


「えっ、えーっと…どうもはじめまして。ハジメ・アツカワです。き、今日はどうぞ、お手柔らかに…」

「ヘッ、お手柔らかに、だってよ?随分と謙虚な剣士サマじゃねえか。」

「最強剣士ともなると、さすがに下位の者への心遣いもできると見受ける。しかし、甘く見てもらっては困るな?」

「そうですね。それに、彼はどうやら得物を持っていない様子。なめられたものですね。」


なんともまぁ、少し柔らかな態度で接してみると彼らはあおられたと思ったらしい。言葉の端々にイラつきが垣間見える。というか、モロに殺気はなってませんかあなたたち!

というか、確かに僕は剣を持っていない。あれ?ヤバくない?


「どうやら、先手はいただけるようですね。お手並み拝見といきましょうか。」


シュラウドという男は、そういうが早いが剣を抜いてこちらに迫ってきた。

どうやら、やるしかなさそうである。


シュラウドの剣の間合いを見切り、上段からの剣戟を紙一重でかわす。直後、控えていたと思っていたアリストが横なぎに剣を振るってきた。


「あっぶ!」


と僕は声を上げると、後ろに飛んでそれをかわす。


「そこだぁ!」


と間髪いれずハヤテが迫ってきていたので、勢いを殺さずにもう一度飛び退り、ハヤテの頭上を背面跳びの要領ですり抜けた。


体操ならウルトラCってもんであるが、僕は内心死んだと思っていた。

どうやら、最強剣士という称号を得た僕の身体能力はかなり上がっているようで、前回ディアスと剣を交えたときもそうであったが、最善の回避を行えるようになっていた。

まったく、チート能力さまさまであるが、かわしているコッチとしては精神がガリガリ削られているのである。

というか、このままかわしているだけじゃラチがあかない。


「ほう、僕たちのコンビネーションをいともたやすく見切るとは、なるほど称号に嘘はないようですね。」

「チッ、なかなかやるようだな。もっと波長を合わせるぞお前ら。」

「オーケーだぜアリスト。俺も燃えてきた!」


そんな僕を知ってか知らずかさらに燃えている様子の三人。まずは、武器を手に入れないと…と、僕が思ったそのとき、視界の端に一本の木の棒が映った。


僕は瞬時にその棒の元へと近寄ると、その棒を手に取った。


その棒は、燃え盛る炎を先端に携えていた。そう、何を隠そう松明である。


「…もしかして、アレで戦うってのか?」


僕の様子を見ていたハヤテは、唖然としながらそう呟いた。


「こっちは真剣なんだがな。やはりみくびられているようだ。」


と、アリストは怒りを含んだ言い方でそう返した。

そうは言われましても。とは僕の言である。なにしろ武器がないのだから仕方があるまい。こんな棒でもないよりはマシである。


「フッ…面白いじゃないですか。本気で叩き潰して差し上げましょう。」


シュラウドは多分、というか絶対キレてる。だってすごく怖い顔してるもの。

と暢気な感想を抱いていると、シュラウドがさきほどよりも速い速度で迫ってきた。おそらくであるが、こちらに飛び込む際に魔法でブーストしたのであろう。しかし、正面から一直線に来るのであれば…と、僕はディアスと戦ったときのようにその剣を棒の側面で受けた。


敵は鉄で、僕は木材である。どう考えても鍔迫り合いにすら出来ないのだが、受け流すのであれば話は別である。僕は木材の側面を軽く削られながらもシュラウドの剣戟を受け流し、燃えている先端でシュラウドの顎先を切り上げた。

ジュッ!という短い音ともに、ジャストミートした木材がシュラウドの顎を捉え、そのまま体を持ち上げた。


僕の筋力自体も、先のとおり称号によって底上げされていたらしく、ただの殴打でもなかなかの攻撃力を持っているようであった。


「グフッ!?」と声を上げながらシュラウドは浮いた。そこを見逃さず、あいていた左手で拳を作り、鳩尾にパンチを食らわせる。

シュラウドはそのまま後方に吹き飛んでいこうとするが、これはチャンスと思い、僕は追撃をしようとする。しかし、その刹那、アリストが果敢に飛び込んできたので、体勢を立て直してまたも横なぎに振られた剣戟をかわしながら後方へと飛び退る。


シュラウドは殴られた勢いのまま少し吹き飛び、そのまま体を地面に打ちつけた。痛いだろうなー…と僕は思ったが、僕が着地したと同時に回りこんできたハヤテに気づき、思考を中断して袈裟切りを体をねじって回避した。

ねじったままの勢いを使って、左手で裏拳をすると、ちょうどよくハヤテの頬にクリティカルヒット。バキッという音とともに回転し、そのままきりもみ回転をしながら地面に倒れるハヤテ。


今度こそ追撃だ!と思い足を振り上げた僕は、またもこちらに飛び込んでくるアリストの姿を捉え、足を振り上げたままアリストの顔面にヒットさせると、面食らったアリストは「ブッ!」と声を上げて静止。そのままアリストの顔面を踏みつける要領で勢いをつけ、仰向けに倒れこんでいるハヤテの鳩尾にエルボーを食らわせる。


ゲホォッ!と昼に食べていたものを吐き出してしまったんじゃないか?と思うような声を上げたハヤテ。僕は手に持っていた松明を投げ捨て、倒れたハヤテの得物をすばやく拾い上げると、体を反転させて先ほど顔面を踏みつけられたアリストののけぞった体めがけて地面を蹴り、鳩尾に向かってハヤテの持っていた剣の柄を突き出す。


無防備な腹部に刺突を受けたアリストは苦しそうな声を上げてそのまま後ろに倒れこんだ。瞬間、アリストの体越しに、先ほど受けたダメージから回復したと思われるシュラウドがこちらに向かっているのが見えたので、えいやっと地面を蹴ってアリストの体を飛び越え、そのまま勢いの乗った状態で居合いの要領で剣を振りぬき、剣の腹でシュラウドの顔面側頭部を殴打。


たまらず横向きに体制を崩したシュラウドは、殴打を受けた逆側の体で地面に強く体を打ちつけた。


この間、およそ5秒であるが、僕はギルドが誇る十剣士と名乗る男3人を倒したのであった。


この世界では最強と言ったら最強なんです。

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