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後付け強化系転生者ハジメくんの異世界漫遊記  作者: 結佐
第一章 ハジメ、異世界に立つ
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第八話 ハジメ、問題に直面する

「はいりません。」


即答だった。


「オイ、ちょっとマテや。即答はないんじゃねえか?もうちょっと考える時間あってもいいだろ?」


とは言われましても。というのが率直な感想である。

なにしろ、僕は殺されかけたのだ。なんかこう、流れで投獄されてしまったまではいい。だって、まだ弁解の余地はあったのだから。


しかしいまや弁解の余地はなく、なんならお国に仕える衛兵を気絶させて脱獄した挙句、コワーイ盗賊たちが巣食う地下街のど真ん中で盗賊のお頭に殺すと宣言され、助かると思って異世界人だとバラした上にそれは殺すのとは関係ないといわれ最終的に剣で切りかかってきておいて仲間にならないか?なんておかしい。おかしすぎるではないか。


さらにぶっちゃけるなら、切りかかってきた瞬間なんて内心死ぬほど怖かったのである。みなさんにも想像していただきたい。ごつくていかついオジサンが身の丈ほどもある「絶対ぶった切る」みたいな気迫を持った刃物で切りつけてくる様を。


めっちゃくちゃ怖いではないか。それをやっとこ切り抜けたと思ったら今度はその恐ろしい連中と一緒に「犯罪しない?」って誘われてるのである。そりゃまともな精神だったら拒否しかないではないか。


「僕おうち帰りたい。」


「ガキか!!なんだいまさら家が恋しいとか言いやがって!つうか帰れんのかよ!」


「帰れないから帰りたいんじゃないか!!!!!!!」


心からの叫びであった。









結局、盗賊団には入らずじまいで僕はアジトを後にした。とはいえ、これも何かの縁なんじゃないか?と考え直した僕は、数日盗賊団のアジトで暮らし、生活のアイデアやアイスキャンディの作り方を教え、気が向いたら遊びに来るとお頭に伝えた。

お頭はその数日間、物欲しそうな子供のような顔をしていたが、最終日にはコッチに非があるから、何か困ったら相談に乗ってやると言い、自分の名前がディアスということを伝え、来るときは門番に名指しで用があると伝えろと言って僕を街まで送ってくれた。


また、アッシュは裏で手を回してくれたらしく、ルベリアの街においての僕の脱獄騒動をもみ消してくれたらしく、僕にかけられた指名手配的なものは取り下げられたということを教えてくれた。


あと、ニッケはごめんな!といい、例の魔方陣を縫いこんだ黒いローブを僕にくれた。聞いた話によると、そのローブは結構な高級品らしく、以前略奪した貴族の持ち物だったらしい。盗品かよ!と突っ込みながらも、なにかと有用そうだと僕は僕で気にいったので遠慮なくもらうことにした。


こうして、空覆うイナゴ団(ナイトグラスホッパー)との奇妙な縁を手に入れた僕は、やっとこ自由になったのであった。










そして、あることに気付く。

自由になったのはいいが、僕にはお金がなかったのだ。


そもそも、お金がなければ泊まるところがないじゃないか。というわけで、この街で僕が話せる唯一の場所、つまり、盗賊段のアジトへ数分で帰ってきたのであった。


そのときの反応といえば、今しがた友人を見送って少しだけしんみりしたところにその男が帰ってきたものでなんともいいがたい気まずい感じになったのは言わずもがなである。


「お前、なんなん?」とディアスが言うのも無理はなかった。







「つまり、金を稼ぐ方法が知りたいってことか。」

「うん、そうなんだ。よくよく考えればこの世界のお金なんてまったく持ってなかった。」


ちなみに、この世界の通貨はルクスである。1ルクス=1円だと思ってくれれば間違いはない。


「んーーーなこと言ってもなぁ。俺たちは略奪しかしらねえぞ?」

「そーだよねぇ…」

「アッシュ、なんかしらねえか?」


と、ディアスが訊いた。


「うむ、俺の知る限りでは、ギルドに登録して依頼を達成して金を得るというのが、いわゆる冒険者の常だと思うが。」


アッシュは、さも当然だろ?とばかりにそう言った。


「あー、そういえばそんなもんもあったな。」

「ああ、ギルドなんてのもあったのか…」

「お前たちは本当にこの世界で生まれ育ってきたのか?」


僕たちの反応を見て、アッシュが呆れたようにつぶやいた。


ギルドというのは、世界各国にある冒険者たちの収入源、つまりクエストをの受注を請け負っている施設のことだ。

そのクエストは多岐にわたり、薬草や収集物を手に入れるというものであったり、魔物を討伐したり、行商馬車の護衛をしたりと、さまざまな人々が受注したり発注をしたりする。


ギルドでクエストを受注するには登録が必要であるのだが…


「そういえば、忘れてるかもしれないけど、僕はパスポート持ってないんだよ。そしたら登録もできなくない?」


「いや、それはネェ。パスポートは各国で発行できるもんだ。別にルベリアでも発行自体はできるんだぜ。ま、パスポート云々より先に、テメーは出自が不明だからなぁ。国民証すら持ってねえだろ?」


「そういえば、確かに。」


「やっぱテメーは盗賊団に入るべきだ。国民証ももってねえやつが日銭を稼ぐにはそれしか…」


と、ディアスはこころもち目を輝かせて言った。


「それだけはない。とはいえ、国民証かぁ。なぁ、本来はどうやってとるんだ?」

「ふむ、国民証は生まれたときに親権者が申請するものだ。だから生まれながらに持ってなければ無理だ。」


「マジっすか…うわー、どうするんだこれ。」


今度ばかりは、本気で詰んだんじゃないか?と僕は思わずにはいられなかった。

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