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後付け強化系転生者ハジメくんの異世界漫遊記  作者: 結佐
第一章 ハジメ、異世界に立つ
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第七話 ハジメ、異世界初の戦闘をする

「わりぃな。俺はよええやつには興味ねーんだわ。」


と、お頭はとうとうその腰にぶら下がっている剣を抜いた。


「ま、抵抗してもいいんだぜ?少しは楽しませてくれるんだろ?」


お頭は剣を軽々しく振るう。空を切る音が妙に耳に残る。これは…戦うしか、ないのか?


「フッ…」


アッシュから笑いが漏れる。どうやら、やるしかなさそうである。しかし、僕はこの世界に降り立ってから何もしていないのである。戦闘経験は言わずもがな。なんなら、武器もない。…ん?武器?そうか!作れるじゃないか!


「い、いちかばちか…」

「あ?なんだって?」


僕は、声高らかに叫んだ。


「僕は、この世界で最も強い剣士だ!!!!!」



――ハジメは、剣術レベルが最高になった!

――ハジメは、最強剣士の称号を手に入れた!


「ほう?おもしれえ。やってみせてもらおうじゃねえかああああああ!!!!!」


瞬間、お頭の剣戟が僕に迫る。剣術レベルが最高になった僕は、その剣戟の間合いを見切ることができた。大きく後ろに跳び退ると、先ほどアイスキャンディを作った材料のあまりが置いてある場所に降り立った。


そして、すばやくその材料を加工。手ごろな大きさの剣を作り出す。その長さはおおよそ60センチほど。いわゆるショートソードと呼ばれる短めの剣である。


「ハッ、そんな安物の鉄で作った剣で、俺の剣に勝てるつもりか!」


その言葉の通り、一見しただけでお頭の持っている剣には見劣りする剣。

というのもお頭の持っている剣は、ロングソードタイプの敵とたたききることに特化している形状で、恐らく僕の今作った剣では折られてしまうだろうとわかるほど、重量感を感じるものだった。


でも。


「僕はその剣に触れるつもりは…ない!」


僕は一直線にお頭の下へと間合いをつめた。

武器というのは、最も威力の乗る場所が決まっている。剣などの場合は、普通に振った場合、剣先でも根元でもなく、中央よりも少し先に近い部分に最も力が乗る。

ロングソードの場合、相手に距離を(・・・・・・)つめられ過ぎた(・・・・・・・)場合、相手に(・・・・・)対して重い一撃(・・・・・・・)を振ることが(・・・・・)できない(・・・・)のだ。


「うおっ、近いな!」


一瞬で間合いをつめた僕に、お頭は剣を振ろうとはしなかった。その代わり、足を使って僕を蹴り飛ばそうとする。

お頭の体は大きく筋骨隆々と言った感じで、対して、僕は173センチほどの軽い体である。蹴りをまともに食らえば、大きく距離をとられるばかりか、ダメージを負ってしまう。

しかし、僕はこの行動を読んでいた。というよりは、こういうときの動きは大体決まっていて、そのいくつかの動きを予測していたのだ。


だから、対応できる。


「甘い!」


僕は蹴飛ばそうとする足に対し、少し相手に対して体を斜めにずらしながら剣の腹を使って受け流す。

剣の腹をなめるように繰り出された蹴りは、僕に当たることなく最大距離まで到達する。この状態であれば、反撃はない。

そこを見逃さず、僕はお頭の腕を切り上げた。


「グッ!?」


剣での戦いにおいて、腕にダメージを負うというのは致命傷である。腱や神経にダメージが入れば当然腕は動かなくなるし、そうでなくても切れれば動きは緩慢になる。

お頭も反応はし、腕を切り落とすことはできなかったが、恐らく血管の何本かは切っただろう。

予想外であったろうダメージにうめき声を上げるお頭。そして、懐に入ったままの僕は次の一手を打つ。


切り上げた勢いを利用し、体を捻って一回転させ、剣の腹でお頭の頭部を思いっきり殴打。本来なら、頭骨ごとぶった切ることができるが、僕だって人は殺したくないので、殴打で済ませたのだ。


「ガッ…」


頭部への強烈な殴打に、お頭はうめき声を上げて前のめりになる。一方、僕は殴打したままの腕の勢いをさらに利用し、前かがみになったお頭の背中に剣の柄を突き刺す。

範囲の狭い殴打ゆえに、衝撃は分散せず、直撃した部分に食い込む。背筋に食い込んだ柄頭での一撃は、強烈な痛みと肺に対しての大きなダメージとなる。

そして、さらに前に倒れこむ形になったお頭の額に向かって膝蹴りを繰り出す。


先の殴打と額への膝蹴りにより脳へのダメージは肥大。脳震盪を起こす。

お頭は予想外の四連撃に倒れた。





「ディアスがやられるとは…」

「お、お頭が、やられた…」「こ、こんなガキにか…」


盗賊たちは予想外の結末に戸惑いを隠せないようである。


「ど、どうだ…」


僕はといえば、なんとかなったという安心感に包まれていた。


「グ……や、るじゃねえか…」


しばしの安心もつかの間、お頭は頭を抑えて立ち上がった。う、嘘だろ!?と、僕は驚愕した。僕はすぐに身構える。


「へ、そう身構えなさんな…こんなつええとは思わなかったぜ…しかもご丁寧に手加減までされたとあっちゃあな。」


イテテ、とお頭はうめきつつしっかりとした立ち姿に戻る。ダメージがないとは言えないが、すでにもう一戦できるくらいには体制が整ったようだ。


「クックック…俺もヤキが回ったか。テメーの一撃は効いたぜ。だが訊こう。なんで手加減しやがった?」

「手加減なんて…してないよ…」

「嘘つくんじゃねぇ。2回目の勢いを利用した殴打、ありゃあの勢いなら俺の頭を真っ二つにするくらいはできただろ?まあ、そのあと2回食らって倒れちまったからな、そのあとも首をぶった切るくらいできたはずだ。それをしなかったのはなんでだ?」

「僕は、人殺しになる気はない。」

「アマちゃんだなぁ?これが戦場ならテメーは死んでる。」


たしかに。と思う。しかし、である。


「ここは戦場じゃない。」


そう、ここは戦場ではない。それに、僕は曲がりなりにも世界最強の剣士だ!と言ったのである。言霊の支配者の特性上、僕は世界最強の剣士になる。ならば、僕が負けることはない。


「…それもそうだな。それに、テメーを殺すこともできなくなっちまった。なんせ、俺を倒したんだからよ。」


お頭は、そういって僕を見据えた。


「俺はよえーやつには興味はねぇ。だが、つえーやつには興味があるんだ。」


そして一呼吸置いて、


「ハジメよぉ、空覆うイナゴ団(ナイトグラスホッパー)にはいらねえか?」


と、言ってのけたのである。

ハジメくんは人畜無害です

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