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店員さんに声を掛けられたらキョドッちゃう人必見!! アリアちゃんの呪術講座★ショッピング編★

週末じゃないけど切りのいいところまで書けたので投稿しやす。

 



 「アリアちゃん。 今日も森へ薬草の採取に行くの?」


 「はい、そのつもりですけど」



 朝、食事を終えて黒豆茶を飲みながら一息ついているとフィオーラさんにそう尋ねられた。


 いつも雑談してる時とは違い神妙そうな顔をしている。



 「しばらく森へ行くのは控えてもらえないかしら」



 私の顔色を伺い、申し訳なさそうに先生はそう告げた。


 先生は私が村の中でどういう扱いを受けているのかを知っている。


 だからこそ私が客と接する仕事をしなくていいように森の散策をすることを認めてくれているのだ。


 

 「南の街道でね、最近魔物の出没が多くなってきてるらしいのよ。 アリアちゃんが普段散策してるのも村の南側の森でしょ。 いくら森の浅部でも危ないわ」


 「そうなんですか。 南の魔物の活動が活発化するなんて珍しいですね」



 森……正確には千年寿の森(エルダーウッド)と呼ばれるこの森は北の竜爪山脈ゲシュペンスト・ベルクに沿うように存在し、森の一部が南へとT字型に伸びるような形をしている。


 森の北側は魔素が濃く、大型で危険な魔物が生息しているが南側は魔素が薄いために比較的力の弱く大人しい魔物しか生息していない。


 村があるのは森の南へと伸びている部分の中程、なので村の南側の森は危険度は低いと見なされている。



 「分かりました。 そういうことなら森の散策は止めておきますね」



 森に行く事が出来ないのは残念だが今の私には戦うすべがないので仕方がない。


 せっかくの呪術も戦闘に使えそうなのは無いのが悔やまれる。


 平常時なら魔物と遭遇しても逃げればそれで済むが活発化していると積極的に襲い掛かってくるため自衛手段がないとどうしようもないのだ。


 しかし、空いた時間をどうするか悩むな。


 治療所の仕事は接客が出来ないし、かといって裏方の仕事はフィオーラさん一人で手が足りている。


 うーむ。



 「ねえアリアちゃん。 今日のお仕事はもういいからゆっくり休んでくれていいのよ。 あなたは普段よくやってくれているからたまには羽休みも必要だわ」


 「え、でも……いいんですか?」



 私はフィオーラさんに養ってもらってる立場だし、何もしないで過ごすのはどうしても気が咎める。



 「いいのいいの子供が大人に甘えるのは普通のことなのよ。 今日は仕事のことを忘れて好きなように過ごしなさいな」


 「ありがとうございます、先生」



 私は優しげに微笑むフィオーラさんに頭を下げて礼を言った。



 「そう言えば今日は行商の方が来られる日だし市に行ってみたらどうかしら」


 「市……ですか」



 村での生活は自給自足、欲しい物は物々交換が基本だが村の中だけではどうしても調達出来ない物も出てくる。


 それを補う方法が二ヶ月に一度村に訪れる行商人たちが村の広場で開く市での売買である。


 そこで村人達は必要物資を調達し、余分なものを売り金に変える。


 私は人が集まる所は避けていたので今まで市には行った事がなかった。



 「行商の方々はお客さんを無碍にすることはないし、アリアちゃんも楽しめると思うわ」


 「そうですね。 せっかくですし市に行ってみることにしますね」



 そう言うとフィオーラさんは微笑みを浮かべつつ、小さく安堵の息を吐いたことに私は気づいた。


 おそらく私があからさまに人を避けていることを気にしていたのだろう。


 私は心の中でフィオーラさんに謝罪した後、初めての市に思いを馳せた。







 「そこの奥さん!! ちょっとうちのを見ていってよ。 今ならサービスするよ!!」


 「安いよ安いよ~!! うちで買うなら絶対損はさせないよ~!!」


 「へっへ、お姉さん美人だからこれもおまけしてあげるね」




 「おぉ……」



 広場には沢山の屋台が立ち並び熱烈な活気に満ち溢れていた。


 商人達が互いに鎬を削り、他所には負けないように声を張り上げている。


 まるで祭りのような賑わいに当てられ逸る心を落ち着かせながら私は近くの家屋の陰に隠れると自身の身だしなみをチェックする。


 今の私の格好はいつもの野暮ったい作業着ではなく、余所行き用のワンピースを着ている。


 ワンピースの色は若草色で半袖、スカートは膝丈まであるもので腰に大きなリボンが付いていて可愛らしい。


 普段着ない服である上、記憶が蘇ってから初の女の子らしい服に戸惑いを隠せない。


 何処にもおかしな所がないかしっかりと確め、角を隠すための帽子もずれていないか確認した後大きく深呼吸。


 大丈夫、問題なし、後は出陣あるのみ。


 だけどその前に一つだけトラブル対策をすることにした。


 胸の前に手のひらを広げると意識をそこに集中する。


 体の中を血潮のように流れる魔力を操り手のひらに集めると手が赤黒い魔力で覆われた。


 霞の如く漂うそれは霧散することなく渦巻き、私の意志により不定形からある物の姿へと形作る。



 「『隠者の呪カース・オブ・エクシステンス』」



 私が告げた瞬間、魔力は完全に収束し手のひらの上に一匹の蝶が浮かんでいた。


 見た目は揚羽蝶のようだが色は黒く羽には紅い紋様が浮かんでいる。


 黒蝶は私の周りをクルクルを舞うと頭上へと飛び、その体を弾けさせた。


 霧散した黒蝶の体は薄くヴェールのように広がり私の体を覆った。



 「よし。 これで準備完了」



 隠者の呪カース・オブ・エクシステンスは対象の影を薄くする……つまり存在感を薄く地味にしてしまう呪術である。


 この呪術は本来はグループの中心にいるような奴に掛けて人から相手をされない様にする呪いだが、目立たず行動したい時にも使えることに気づき、最近私が一番多用している呪術となっている。



 初めての市なのに村人との諍いなんてご免だしね。



 「それじゃあ楽しいショッピングの始まり始まり~」



 私は意気揚々と広場へと向かっていった。



 

2000字程度って短いのかな……。

この量でもだいぶ時間かかっちゃう自分の執筆レベルの低さが恨めしい……。

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