矛盾誤訳
ある商人は多くの客の前で言った。
この矛の鋭さはどのような盾を紙のようにやすやすと貫き通す、この盾の頑強さはいかような矛をも通さない。
その言葉を聞いた客がその言葉を聞いて問うた。
あなたの矛であなたのその盾を貫いたらどうなるか?
商人は答えられなかった。
これが矛盾の語源といわれている。
「矛盾の語源ってへんだよな」
「そうか?」
「矛は盾を貫くものじゃない」
「そっちか」
「いや、なんでわざわざ最初から盾狙っているんだよと言いたくならないか」
「それは多分お前ぐらいなもんだ」
「まぁそれにしたってツッコミどころが多い話だよな」
「まだあるのか」
「商人が答えられなかったって当たり前だよな」
「なんでだよ」
「いやあんなの他社よりうちのがいいですよというセールストークだろ」
「そりゃそうだけど」
「例えばだぜ、テレビショッピングで包丁の切れ味自慢している映像があるだろ」
「あるな」
「でも実際にそこまで切れ味なくても、料理できるぜっていわないだろ」
「まぁそれを言ったら元も子もないしな」
「それと同じでさ、矛も盾もよそのと変らないけど買うか?というセールスマンなんていないわけよ」
「まぁそうだな」
「それをわざわざアンタの矛と盾どちらが強いということないだろ?この客絶対冷やかしだぜ」
「いやそこまで掘り下げなくてもいいだろ」
「大体そこまですごいんだったらわざわざ道端で売っていないってのを察するべきだよなこの客」
「道端かどうかは知らないがほら正義感にあふれた客ということにしておこうぜ」
「このお客絶対アメリカ人だぜ」
「それはないわ」
「お客はもしかして商売敵だったのかもしれないな」
「営業妨害目的はありえるかもな」
「そうでなかったらただのクレーマーだよ、あれだろ説明書にかいてなかったとか一々訴えるタイプだと思うね」
「まぁそうかなとは思う」
「そういうものだと察しきれない人間にはなりたくないね」
「いやお前こそ、そういう話だという事に気づけよ」