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恋愛ゲーム、ですよね?  作者: 雪屋なぎ
中学生 編
72/503

家族

ここはどう対処すべきなのか、冷静に考えよう。

体だけだけど、同世代の男子の膝の上に座っています。これが大人なら、社長の膝の上でおねだりする秘書…というなんだかエロ漫画的な構図になるな。

いけない、考え方が健全な中学生じゃない。ここは『きゃっ』的な反応をすべきだったのでしょうか?『うわぉおお』なんて女子力低いな、高校では気をつけよう。

でも全力で逃げるべきだと思ったけれど、彼の身の上話の端々に孤独感といいましょうか、寂しさがにじみ出ていて、なんだか逃げれずにいます。ある意味江里口くんショックからは立ち直れましたが、今は彼の現状が心配です。

いくら体格が良くても中身は14歳の少年。それが家族をあまり知らずに暮らしている事に不満さえ覚えてしまう。

「明智くんはここに1人で住んでいたりするの?」

「今は」

同居人がいなくなったの?それって更に孤独が増したの?

「なら、ご飯とかどうしてんの?」

「冷凍食品がある」

胸がすごく痛かった。これってネグレクトってやつじゃないの?行政に訴えてもいいんじゃないの?明智くんの親に会ったら、大人の記憶をフル回転して説教したい。

「家族はどこに?」

「聞いても面白くない」

その言葉だけであんまりいい関係じゃないのがすぐに分かる。こんな立派なマンションを与えられる父親は、すごいかもしれないけど、人としては最低な人かもしれない。ただの仕事人間ならいいけど、お金持ちだと思うと嫌な想像が付いてきてしまう。一夫多妻のような関係とか、若い子を囲いまくってるとか…。明智くんの戸籍に複雑な事情があったりしたら、嫌だな。辛すぎる。

「そっか」

もしかしたら私を構う事で、寂しさを埋めたかったのかな?私もあまり家族の話をしない方がいいかも。嬉しそうに弟の馨の話をたくさんしていた事を思い出して後悔する。ごめんなさい、明智くん。

「うちの家が異常なんだ。だから伊賀崎は罪悪感を抱かなくていい」

見抜かれた?いや、普通そう考えてしまうよね。

「ごめん、罪悪感抱いてなかった」

顔が見えない状況をいい事に、嘘を付く。必要悪と思って許して。

「ならいい」

「それよりご飯は大丈夫なの?あんまり冷凍食品ばかりというのはよろしくないと思うんだけど」

「別に体調に異常は無い」

「それでも、うーん」

だからってウチの食卓に呼ぶわけにもいかないし、どうしたものか。自分の為に作られたものが駄目と言ってたから私が協力するわけにもいかない。まぁ大した物が作れるわけもないので、私の料理なんか見せられないけどね!

「ふむ」

考え込んでいると、明智くんの手が止まった。そろそろ解放してくれるのかな?

「伊賀崎」

「なに?」

「………」

「?」

黙ったので彼を見上げてみれば、頬のガーゼを取られた。既にテープの粘着が弱まっているのか、簡単に取れる。

「まだ酷いな」

「ははは、来週には無くなってるって。これでも腫れが引いただけマシってね」

「…あと腹のガーゼだが」

あー、忘れてなかったのね。記憶力いいなぁ…忘れて欲しいのに。

「ちょっと怪我しただけだって」

「じゃ見せてみろ」

肩をがっしり掴まれているので、それが本気だと伝わってくる。ちょっと、お腹見せるなんて、どんだけ恥かしいか分からないかな?

「あの、場所が場所なので。それにお医者さんにも見てもらったから大丈夫だよ」

「俺は父親だ、だから気にしなくていい」

そこでその理屈を通してこないで!普段隠しているお腹を、シャツをめくって見せるなんてどんなプレイだよ。

「気にする、気にするよ?普通父親なら尚更見せないよ?」

慌てて私のお腹に向かう彼の手を両手で制した。

「そうなのか?」

「そうなのです」

「なら詳しく教えてくれ」

引きそうに無いので、観念した。

「スタンガンでやられたから火傷がちょっとね」

後々面倒なので、正直に答える。

「やっぱりお前を見送ってから戻ればよかった…」

「ほら、そう言うから言いたくなかったんだよ」

「だが傷が」

「生きてれば傷なんて無数に付くの!一生動けない傷じゃないんだから平気なの」

「しかし」

「生きて家に戻れて私は幸せだなって思ったよ、馨を抱きしめる事が出来て良かったーって。だからこれだけの傷で済んで運が良いの。はい、お終い」

「そう…か」

「そうよ、そう。それより氷室くんのゲームの対策しましょ」

嫌な話はさっさと終えて、明日の為の会話をしないとね。

「氷室のゲームか…」

「そう。江里口くんは朝確かに登校したの。真っ青な顔して」

「体調が悪かったのか?」

最近目に見えて疲労感がすごかった。

「普段から働きすぎってなくらいに、何か書き込んでた」

「それで」

「保健室へ一緒に向かっている時、見つかったって呟いて」

「見つかった?」

「うん。そしてなんか戻ってこれるように頑張るって」

「戻る、か」

「なんだか色々知っていたみたいで、出し惜しみせずに話せばよかったとも話してた。いつも曖昧な話で誤魔化されてたからな…もっと私が話にくいつけばよかった」

もっと友達の会話をして、楽しく遊べばよかった。彼の家も彼の家族も何も知らない。家族も今頃忘れてしまって、普通に生活をしているかと思うとやるせない。

「何故話さなかったのか、分からないか?」

「そうだね。そうだ、考えるのがいいとか言ってたような?」

「自分で考えろか」

「でも本当にビックリするくらいパッと消えたの。まるで瞬間移動したみたいに」

「それで魔法使いと」

「いや、違う」

「どこを見て魔法使いだと思ったんだ?」

「そっか、そこも憶えてないのか」

そうなると記憶を消した話も?切なくなったけど、一年生の始まりから話して聞かせていった。

そこで明智くんとの記憶の齟齬について話し合う。



 学級委員に江里口くん → 氷室くん

 オリエンテーリングの辻褄 → 嘘が真実に

 両親へ説明しに明智くんと江里口くんが来た → 明智くん1人で来た

 氷室ノートの件 → 氷室くん自身から提供され記憶喪失に



「氷室くんの記憶喪失だけでも思い出さない?」

「カラオケボックスで資料を渡した後、倒れて記憶が消えていた、だったろ」

私は唸ると足をばたばたさせた。

「本当は江里口くんがなんか透明な石を使って氷室くんの記憶を抜いたの!」

「ならそうなんだろうな」

「本当なの!」

暴れていると、明智くんに背を撫でられる。

「分かった」

「絶対分かってない、私が喚いているから分かったと納得してる」

「それのどこがいけない」

「いけなくないけど、いけないの」

「は、はは」

「おあ!」

明智くんが笑った。初めて見た、笑ったの。軽くだけど笑ったぞ。

「なんだ」

またいつもの鉄面皮に戻った。けど、確かに聞いた、笑い声を。

「明智くんでも笑うんだと思って」

「俺が?笑う?」

「さっき笑ったじゃない」

「そうか?」

「よかったー、明智くんって笑う姿見たこと無いから、顔が固まってるかと思ってたんだよね。ちゃんと笑えるんだ、お姉さん安心したよ」

「次はお姉さんなんだな」

「気にしない、気にしない」

本当はおばさんです、といえないのが悲しいけどね。

「そうか、俺は笑ったのか」

「もしかして今まで笑ったことが無かったとか」

「ああ」

「…そっか、ならよかったね。笑う角には福来るっていうし、笑うとストレス解消されるらしいし、明るくなれるし」

重い、重いぞ明智くん。先程家族の深刻な事情をほんの少し垣間見たので、重さがパないぞ!誰か、彼に楽しい人生を!

「そろそろ膝から降りていいかな」

「何故だ?」

「いや、そのあまりこういうのはよろしくないかと」

「家族みたいなものなんだろう?気にする事は無い」

いや、普通の家族でも膝の上に中学生を乗せない。

「ちなみに明智くんの父親像って?」

「俺の?」

「うん。こう思ったとか言ってたから」

「小説や映画からだ」

「それってアメリカとか欧州系の?」

「そうだ」

だよね…日本ではほぼありえないよ。

「でも家族のように誰かと一緒にいるというのは、気持ちが浮上するな」

声がほんの少しだけど、明るく感じた。彼はいつから家族に飢えていたんだろうか…寂しさを本で誤魔化していたのなら、悲しすぎる。

「…分かった、分かったよ。君が止めたいというまで膝に座ろうじゃないか」

「ありがとう、伊賀崎」

「その代わり、外では駄目」

「ここならいいのか?」

「ここと言うより、他の人の目がある時は遠慮してね。一応体裁と言うものがあるんだから」

「そうか…」

声が寂しそう、いけないと思いつつも大幅に妥協してしまう。

「明智くんが終わりにしようと言うまで、私は君のお姉さんや娘やお母さんでいるよ。擬似家族だ、それでいい?」

一瞬、部屋に沈黙が降り立つ。あれ?私外しちゃったかな?

「それは一緒にいるという事か?」

よかった、明智くんが反応してくれた。鼻で笑われなくてホッとしちゃったよ。

「用事がなければ」

「分かった。ありがとう」

喜ぶ声と同時に抱きしめられるが、痛い、痛いぞ!力加減を!

「ストップ!痛いから、力いっぱいは勘弁して」

「すまん」

力が緩められて、痛みが引く。人とあまり接しないから力加減が、出来ないのだろう。こうなれば彼も私が面倒を見ようじゃないか。なんだか今日話してみて、『お父さん』より『弟』に見えてきた。四角四面だったのは家庭環境の所為だったんだね。私はため息を付くと、彼の頭を軽く撫でてあげた。

「でもそろそろ帰るね」

「名残惜しい」

「明日の朝までちょっとだよ」

「そうだな」

部屋はオートで電気が付くらしく暗くは無かったが、窓の外は暗い。本当に帰らねば。膝から降りようとしたけど、明智くんの手がそれを阻んだ。

「あの…」

「少し考えたんだが」

「うん?」

「江里口の件だ」

「考えたって何を?」

「彼は『見つかった』と話して消えたんだよな」

「うん」

何かを見て『見つかった』と、私には何も見えなかったけど幽霊的ななにかが見えたのかもしれない。…幽霊的と言えば佐原くんも私の後ろに何を見たんだろう。気の所為か虫やごみであってほしい。

「そして昼休みまではみんな覚えていたのに、放課後には忘れていた」

「うん。明智くんも昼休み探してたから憶えていたはず」

「昼休みに探していたのは伊賀崎なのだが」

「違う。だって保健室に向かう時、江里口くんを探していた時に私を見つけたと話していたもん」

「そうか…これが操作された記憶だと思うと、気分悪いな」

目の前にある彼の拳に力が入る。

「うん、リアルに怖いよ」

私だけが残されている事も怖い。まるで1人だけ夢を見ていたんじゃないかっておもってしまうもん。

「私の話を信じてくれてありがとう」

「お前の嘘は分かる」

「夢の話かもしれないんだよ?」

「それにしては辻褄が合いすぎる」

「嘘と一蹴されないだけで嬉しい」

私は本当に運がいい。これが主人公補正と言うものなんだろうか。ここまで信じてくれている明智くんに、いつか恋メロの話が出来たらいいな。今はそんなチャラけた恋愛シミュレーションの話なんぞ後回しだけど。

「そうだ、オリエンテーションの時の写真って買った?」

「ああ。数枚購入した」

「今すぐに確認できるかな?」

「…分かった」

また私を抱えると、クッションにゆっくり降ろされた。二度目ともなると、お姫様抱っこには驚かなくなる。これが平気で当たり前にならない様気をつけよう。

明智くんはベッドに行くと、備え付けの引き出しから冊子を取り出した。良く見たら、このベッドってキングサイズじゃないですか?かなりでかい。ゆったり寝れそうだな、いいなぁ。でもこんなに部屋が広いんだから、でかいベッドを置いても大丈夫なんだろうね。私の部屋ならベッドで埋もれてしまう。

「これだが」

フォトアルバムを差し出される。

「ありがとう」

私に手渡すと、今度は目の前に座った。また抱えられるのかもと覚悟を決めていたけど、違ってホッとする。あまり近づきすぎるのも良くないもんね。

受け取ったアルバムを見ると、江里口くんがそこに写っていた。

「ほら、これ、この人が江里口くん」

私は江里口くんを指差して、彼に見せる。

「こいつが…」

綺麗に忘れてしまっていて、写真を覗き込む姿は知らない人を見ている様だ。

「写真には残っているんだな」

「良かった…」

「どうして」

「実は江里口くんが消えた時、理科室で授業だったんだ」

「ほう」

ここからは言い難いけど、正直に話す。悪い事をした、と未だに落ち着かない。

「消えた理由が少しでも分からないか、彼の残したカバンの中身を見たんだ」

「何かあったのか?」

首を振る。彼のカバンに無駄なものは何も無かった。ゴミさえも無かった。

「あったのは筆記用具と教科書ノート、それとこの写真だけ」

「…自分の詳細が分かるものは無かったんだな」

「うん。江里口くんはなんでもポケットに入れてたから」

いつもポケットを探って出していた。誰かに触られたり持って行かれない為の防衛の手段だったのかもしれない。何せ道具が普通のものじゃないのだから。

「そこでなんとなく写真だけ取り出して、他のものはカバンに戻したの」

「そうか」

「だけど、理科の教科書に挿んでいた写真は消えてた」

「それはいつ?」

「放課後に確認したら、無かった。机の側にあった江里口くんのカバンも消えてた」

明智くんが口元に手を当て考え込む。

「もしかしたら江里口くんの物が全部消えたと思ってたけど、こうして残っているなら良かったよ…ちゃんといたんだって証明できる」

彼に見せるように持っていたアルバムの向きを替えて、じっくりと見る。楽しそうに笑う私達が写っている…明智くんは無表情だけど。

「それなんだが、江里口は誰に『見つかった』んだろうな」

「そうだね…想像が付かないよ」

せめて姿が見える何かであってほしい。

「後は全員の記憶を消した事なんだが」

「私以外ね」

「ああ」

私にいらだっていた先生や不満げな設楽さんは、何事も無かったように戻った。

「それは伊賀崎を襲った犯人と氷室の記憶を奪ったものと似てないだろうか」

「記憶を奪うという事?」

「ああ。こんな急に記憶を消すなんて普通は無理だ」

「そう…だよね、うん、有り得ない」

「だからこそ、その江里口と同等かそれ以上の何かが側にいると思った方がいい」

「江里口くん以上の何か…誰かって事?」

「そうだ。でないとおかしい」

「おかしいって」

「物理的に荷物を処分した奴がいる」

「江里口くんのカバンを?」

「後、お前が奪った写真の在り処も知っていた奴だ」

「うそ、誰もいなかったよ?だって人の荷物触るんだもん、見られたら問題だから細心の注意を払ったよ?」

「それだけ相手が上手なんだろう」

あの場に誰かが居て、私の行動を見ていた…。そう思うだけで、ゾッとする。私危なかったのかな。

「こうして俺の持っている写真は消えなかった。なら記憶は消せても物は消す事ができないと分かる」

「なら誰も教室にいなかったんだから、私を襲って荷物を奪った方が」

「それよりも記憶を消してからの方が面倒が少ないと判断したんだろう、俺ならそうする」

悪意を持った誰かが側にいると思うと怖くなる。同じクラスメイトかな?

「どうして私は忘れなかったんだろう」

「江里口は伊賀崎の為に色々と何かをしていたのなら、それが要因かもしれない」

毎日机に向かって何かを書いていた、あの幾何学模様の図。どう見ても生徒会に関係ない、私はいつも江里口くんに助けられていたんだ。

「そして提案なんだが、外で江里口の事を話さない方がいい」

「どうして?」

「江里口を見つけた存在、それを犯人とする」

「うん」

「そいつは今朝、江里口を消し放課後にはみんなの記憶からも存在を消した」

「うん」

「なのに伊賀崎が忘れずに江里口の事を探り続けていたら、目をつけられそうだ」

「あ…」

私の記憶を直接消そうと来るかもしれない。江里口くんよりすごい魔法使いなら、私は対抗できる手段がないのでされるがままだろう。

「辛いと思うが忘れたふりをしろ」

「そうだね…」

でも教室で江里口くんの事で騒いだのを思い出す。

「しまったかもしれない」

「何が」

「放課後江里口くんの事で騒いでしまった」

「…職員室へ急いでいたのはそれか?」

「うん。加ヶ良先生なら知っているかと思って」

「一年の時の担任か…。俺が憶えていない時点で無いな」

「だよね」

本当に私1人の記憶になってしまった。万が一の為に江里口くんに関する事を書き留めておくか。いつ忘れてしまうか分からないからね。

「明日からでもいい、江里口に関する事を話すな。時間差で忘れたと思わせれるよう、言動に気をつけろ」

「うん」

考えてもみなかった。彼に言われるまで写真が抜き取られているなんて…。カバンと一緒に消えたんだと思い込んでいた。それにしても江里口くんを見つけた人って誰?考え込んでいると、明智くんがため息を付いた。

「問題が山積みだな」

「期末に氷室くんのゲームに江里口くんを消した人と、大変だね」

「期末に問題は無い。伊賀崎も別に困っていないだろう」

困ってはいないけど、完璧じゃないよ。

「まぁ、50点以上は取れるでしょ」

希望を込めて宣言するけど、下回ったらどうしましょう。両親に嘆かれるかな?

「氷室ゲームと江里口問題が厄介だ」

陵辱監禁ゲームと言ってたけど、氷室くんと和田くんの状態を見るに、痴漢ゲームと考えた方がいいかも。彼らに監禁する気はなさそうだしね。

「特に江里口問題なんだが…」

「うん」

「どこに消えたんだろうな」

「え」

「また戻ってくると言っていたんだろう?」

「あ、うん」

「ならどこへ戻って、どこから来るんだろうな」

「…どこだろう」

もう一度写真を見つめた。写真の中の江里口くんが喋るわけでもないのに。

「そうだ、僕を選んで欲しいって言ってた」

「選ぶ?」

「僕を選んでこの世界を捨てて欲しいって」

思い出した。弟子になれるか聞いたとき、江里口くんを選べば全てが分かるけどこの世界を捨てるような事を話したような…いかん、メモっておけばよかった。

「どう答えた」

「ううん。答えてない」

「保留か?」

「どうだろう、意味が分からなかったから」

アルバムを持っていた手の上に明智くんの手が覆ってきた。

「頼む、いきなり消えないでくれ」

「へ」

「頼む、江里口を選ぶときは俺も連れて行って」

「そんな選ぶも何も」

「お願いだ」

いつもなら力強く握るであろう彼の手が震えていたので、お母さんのように彼の頭を撫でて頷いた。

どうしよう、もう明智くんが寂しい小学生にしか見えない。


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