Last round
「人間だれしも、長い長い人生の中で退屈とか、最悪とか、とっとと終わらせたいと思う時があるだろう。だが、それは一時のものだ。人間は寿命を迎えれば数十年は生きる。時間に直すと、もう何時間だか数え切れない。そのすべてが退屈だなんて、馬鹿げてるだろ?」
「20年やそこら生きた程度で人生を決め付けるのはおかしいだろ?だって、まだ続くんだもんな」
「たまに、生きてる意味が分からないなんていうヤツが居るよな。意味があるから人生を過ごすんじゃない。人生を過ごすことに意味がある」
「しかし、何十年もある人生をただただ惰性に生きるのはつまんないよな」
「俺は別に誰かの役に立てとか、名を残せとかは言わない。さっきも言った通り、そんなことしなくてもいいんだから」
「でも、やっぱ楽しまなくちゃな」
「人生は他人の人生とのバランスで成り立っている」
「人間は楽しいときが一番安定する。だから自分が精一杯楽しめば、それに他人が感化されて、そいつも楽しめる。そうすればバランスは、より安定する」
「そのバランスは世界単位だから、そう簡単には代わりはしないだろう」
「アンタも、そのバランスを良いほうに持っていこうとした時期もあったろう?だけど挫折しちまって、いつしか無関心になった」
「俺は、アンタがどんな人かは知らない。性別も、年齢もな」
「だから、下手な事は言わないほうが良いんだが、これだけは言わせてくれ」
「アンタは何かを諦めているハズだ。当然だ。それが当たり前なんだから。でもよ・・・」
「まだ諦めるには・・・早いだろ」
「アンタが諦めることで、救われなかったやつがいるだろう。アンタが諦めなかったことで救われたやつもいるだろう」
「たとえアンタが影の薄い目立たないやつでも、アンタは確かにそこに存在している。人間は居るだけで、いろいろなものを発信している」
「それに救われるやつは大勢いる」
「人生を過ごしているだけで、誰かを救えているとしたら・・・・」
退屈な人生なんて無いだろ?
エピローグに載せる予定だったジャックの言葉です。
一体誰に語りかけているのか?
物語の中の誰かに語りかけているのか。それとも・・・
読者のあなたに語りかけているのか。