第204話 【異世界転生×俺TUEEE】いきなりLevel100var in 蟻帝国
俺は転生したら、蟻だった。
しかも生まれた瞬間から――
《レベル:100》
(おいおい…バグってんじゃねーのかこれ?)
周囲の仲間はレベル1とか2。 女王蟻ですらレベル50ちょっとしかない。
俺は生まれたての幼虫状態で既にコロニー最強だった。
さっそく力を試そうと、巣穴をガリっと噛んでみたら、
土壁どころか地下水脈までぶち抜いてしまい、巣が水没寸前。
「やべっ!?」
慌てて泥を積み上げて修復しようとしたが、その壁すらぶち壊してしまう。
周りの蟻たちは触角を擦り合わせながら呆気に取られていた。
その騒動で俺の噂は一気に広がり、ついに女王蟻に呼び出され王宮に向かう。
「そなた…この帝国で最も強き個体だというな?」
(まぁ…確かにそうみたいだね…)
「では頼む。この国を脅かす人間どもを討伐して参れ!」
「いやいや、さすがに人間は無理でしょ!」
「でも、そなたはレベル100なのであろう?」
(…たしかにレベルは100だが、蟻の時点で体長5ミリなんだけど…)
はじめての戦場
人間界に派遣されたが…俺は、レベル100の超パワーを存分に発揮し――
木の葉を軽々引きちぎり、アリジゴクを素手で撲殺し――
…それだけだった。
(どう考えても、体がちっさ過ぎて人間には敵わねぇ…)
けど、森にいた動物たちは恐れをなして逃げ出し、地面の小虫は怯え、結果的に蟻帝国の資源が増えた。
「おぉ…やはり伝説の勇蟻!」
村に帰ると盛大に迎えられた。
(いきなりレベル100とか、マジで扱いに困る…)
でもなんだかんだで、周りの蟻たちに頼られ、褒められ、触角をすり寄せられ――
それは人間だった頃の俺にはなかった暖かさだった。
(まあ…こんな生活も悪くないか)
そして俺は、人間は倒してないが、今日もレベル100の力を持て余しながら、
小さな巣穴の中で仲間と共に暮らしている。




