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旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~  作者: 魯恒凛


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66.後処理

「ドラちゃんッ!」

「……ギャ? ……ギャ、……ギャァ……」


 目を潤ませながらトテトテと走って来たドラちゃん。しゃがみこんでその小さな体を抱きしめた。


「ドラちゃんも来てくれたの? 私を心配して?」

「ギャ」

「ありがとう、ルクラにルートヴィヒ様と乗せてもらったの?」

「ギャ!」

「ドラちゃんは勇気があってすごいね。魔獣騎士団の立派な魔獣の一員だよ」


 私とドラちゃんが泣きながらぎゅうぎゅうと抱きしめ合っていると、ルートヴィヒ様が私を呼ぶ声がした。出発する準備ができたんだろう。


「あの、クラリス……」

「……ずびっ、ドラちゃんも抱っこしますね。一緒に乗れますよね?」

「ああ、そのつもりだったんだが……。その、…………ドラゴンからもらう何かは、ドラちゃんからではダメなのか?」

「……」


 ゆっくりとドラちゃんから体を離し、きゅるんとした顔を見つめた。


「…………ドラちゃんでも大丈夫です」


 ドラちゃんは「ギャ……?」と首を傾げていた。


 *


 無事にすべての材料が揃ったことで、赤ちゃんフェンリルの魔力詰まりの薬はその場で調薬が行われ――。


「ほら見ろ! やっぱりあの女、魔力詰まりの解消方法を知ってやがった!」

「くそ~! もっと早くあの女の存在を知っていれば……!」


 監獄車に乗せられる途中、赤ちゃんフェンリルが意識を取り戻したことを知り、罵詈雑言を吐き出し始めた彼ら。姿は見えなくても、聞こえているんですが。

 

 「……ちょっとここにいてくれ」と言ったルートヴィヒ様はどこかへ向かうと、騒がしかった男たちの声が一切聞こえなくなった。

 ……穏健派だと思っていた夫はどうやらそうではないようだ。まだまだ知らないことだらけのようね。

 


 その後、私たちは王城へ戻り、フェンリルや保護された赤ちゃん魔獣たちは保護施設へ。まずは怪我の治療をして元気にならないとね。

 後日もらった報告によると、心配していたフェンリルママも、赤ちゃんフェンリルの体調が上向きになったことで生きる力が湧いたのか、持ち直しつつあるとのこと。本当によかった!


 そして今、私がどこにいるのかというと――。


 王城のとある会議室、魔獣騎士団の会議になぜか出席中なのだ。


 第一、第二、第三の団長と副団長が揃う中、今回の事件に関する報告を次々と上げていく騎士たち。私は壁側に用意された椅子に座り、気配を消しているのだけど……。


 ルートヴィヒ様とアロルド団長いわく、私は関係者だからと一緒に聞いて欲しいのだそう。いいのかな?と思ったけど、気になることも多いのは事実だし、じっと耳を傾けているところだ。


 違法商団の関係者は今回末端に至るまで多くの関係者を捕まえ、再興は絶望的な所まで壊滅できたのだそう。彼らには重い刑罰が与えられるらしい。


「まあ、騎士団で禁じられている私的制裁を与えたやつがいるという噂もあるが、……噂だから問題ない。なあ、ルートヴィヒ」

「そうですね、アロルド団長」


 ……これは詳細を知らない方がよさそうな話ね、うん。


 そして王城に彼らを引き入れた協力者や潜入していた輩もこの機会に排除できたらしい。その中には、あのオパールがいたそうだ。


「元王宮侍女で、レーンクヴィスト伯爵家の元メイド長。クラリス夫人に一方的な恨みを持ち、偶然にも違法商団が奥様を狙っていることを知って、協力を決めたようです」


 一方的に恨まれるのは悲しいし、いい気分ではない。ルートヴィヒ様が振り返って気遣うように私を見るけど、前を向くように目線で促す。

 ……その横でイケオジが私たちを交互に見てにやにやしている。……ほら、アロルド団長も私たちを冷やかしていないで前を向いてください。


 侵入者を引き入れた者、情報を流した者……各自の関わり具合によって刑罰の度合いが変わるそうだけど、オパールには極刑が与えられることになったらしい。それ以前に、盲目的に慕うソフィア殿下から厳しい言葉で叱責され、廃人のような状態になっているのだとか。


 一通りの後処理についての報告を聞き終えた頃だった。


 アロルド団長が私に意味深な視線を投げかけたかと思うと、よそゆき用の声でその場の空気を変えたのだ。


「え~、……この度、新しい魔獣舎の建設許可が下りた! 赤ちゃん魔獣の保育所を兼ね、コミュニケーションを取れる場とする! 騎士たちの休憩場所としても大いに活用していきたい!」


 へ~。赤ちゃんのうちから色々な人に慣れるのはいいことよね。今まで自分のパートナー騎士以外とあまり接触がなかったみたいだし。たくさんの人と交流できたら優しい魔獣になれそう。


「そこで、クラリス。引き続き、お世話係をお願いしたいんだが……。ドラちゃんだけでなく、他の魔獣の赤ちゃんたちもいいかな?」

「……………………え?」


 会議室中の注目が私に集まり、身体がびくっと揺れる。き、聞いていませんけど? アロルド団長がにっこり笑った。

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