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旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~  作者: 魯恒凛


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52.シラナカッタヨ

 お散歩もそこそこに、「おまえら今日は一緒に帰れよ」というアロルド団長に従い、同じ馬車に乗ることになった私たち。

 カヤも一緒に乗ると思ったのに、「私はマルセロと乗ります!」とのこと。

 マルセロはカヤを怖がっていたけど、まあ、期間限定の同僚みたいなものだし、交流しておくのもいいわよね。

 

 そんなわけで、王城からの帰りの馬車の中はルートヴィヒ様とふたりきりだ。


 ……気まずい。圧倒的に気まずい。だけど、言わないといけないことも、聞きたいこともある。


 街で例の小説や演劇の排除を本当にしたのか? それって私の体裁を保つためだとしても職権乱用じゃないの? そもそも表現の自由とかもあるでしょうに。

 離縁については考えさせてほしいと言ってたけど、考えるまでもないでしょう?

 突然切り出されて驚いたかもしれないけど、冷静になってみれば悪くないと思うんだけど。

 

 ふぅ……。もう、下手に取り繕わないで王女様とは恋仲だって素直に認めてくれた方が、すっきりするんだけどな……。

 

 今はとりあえず、先にこれを言わないといけないわね。


 よし、言うぞ。と小さく頷き、膝に置いた手にぎゅっと力を込める。


「「あの」」


 意を決して問いかけてみれば、まさかの「あの」被り! くっ……!

 

「えっと……ルートヴィヒ様、お先にどうぞ」

「いや、クラリスから言ってくれ」

「……」

「……」

「あの、謝らないといけないことがあって。実は、ドラちゃんのお世話係をしていたクララは……変装していた私なんです」

「……エエ? シ、シラナカッタヨ、オドロイタナ」

「騙していてごめんなさい……言うタイミングがわからなくなってしまって……」

「……いや、大丈夫。気にしてないよ。その、…………クラリス。実は最初から知って――」

「あ、着きましたね。ん? 何か言いかけました?」

「……いや。……話してくれてありがとう」

 


 話の続きは夕食の時に、ということでお世話係を続けたい旨を恐る恐る言ってみると、意外と簡単に了承の返事が。


「王城には多くの魔獣騎士がいるし、かえってクラリスの安全が確保できる。すまない、もう少しで違法商団を捕まえられそうなんだ。しばらくの間不便をかけるが、屋敷から出る際は護衛も連れて行ってくれ」

「はい。……街で買い物をする時は気をつけます」

「……何か欲しいものが?」

「え? あ、ああ……。ずっと買い物に行っていなかったけど、そろそろ本屋に足を運んでみたくて」


 引きこもり奥様時代、街に出るのが怖くて新作も買いに行けなかったけど、クラリスとして堂々と買い物に行ってみようと思う。今後のためにも、第一歩を踏み出すのよ、うん。


「そうか」と口にしたルートヴィヒ様は、少し考えるそぶりをしてから尋ねてきた。


「クラリス。その……来月、魔獣騎士団結成三百周年記念パーティーがあるんだが、夫婦同伴なんだ。一緒に出席してくれないか?」

「パーティー、ですか」

「ああ。ああいう人が多いパーティーは苦手だって知っているんだが、その、君が妻だってみんなに見せびらかしたいし、俺のものだって第一魔獣騎士団の連中をけん制したいし……」


 後半、もごもごしちゃって何を言ってるのかさっぱりわからなかったけど、パーティーかぁ……。あんまり気が乗らないな。

 それに、王女様はいいのかな? 公式の場だから既婚者のルートヴィヒ様がエスコートするのはさすがに体面が悪すぎる?

 

 私の表情からいまいち感触が悪いと思ったのか、ルートヴィヒ様が焦ったように口にする。


「魔獣騎士団の祭典だから、ドラゴンやグリフォン、ヒッポグリフたちも揃うんだ。あっ! そういえばヒッポグリフの赤ちゃんが来るんだったかな。ミニヒッポグリフたちはもふもふしてかわいいから、きっと君も気に入ると思う」


 ……なんですって? もふもふの赤ちゃん?


「赤ちゃん魔獣は毎年貴婦人たちに人気なんだが……チビでも魔獣はプライドが高いから、なかなか触らせてくれなくて毎回面白いんだ」


 いやいやいや……面白がっちゃだめでしょ。だけど見るだけでもかわいいだろうなぁ。


「クラリスは魔獣に慣れているから、赤ちゃんにも好かれると思うし、君なら触れるかも。それに……君はもふもふが好きだろ?」


 うっ……そんなこと言われたら行きたくなっちゃうじゃない。ワンチャン、触らせてもらえないかなぁ。抱っこできたら最高なんだけど。

 ……っと、流されかけた! 頭をぶるぶると振る。現実問題として、式典に出席するのなんて無理なんだった。

 

「やっぱり無理です。着ていくドレスもないし」


 社交をしてこなかったから、パーティーに着ていけるようなドレスはない。……オパール好みのダサくて派手なドレスを着るくらいなら、引きこもる。


「クラリス、ドレスはもちろん仕立てるから心配ない」

「……え?」

「店まで行ってもいいし、屋敷に呼んでもいい。レーンクヴィスト御用達のテーラーでクラリスにぴったりの一着を作ってもらおう」

「それって……ヴァルドニック・アトリエのことですか?」

「ああ」

「……」

「クラリス。その顔はもしかして、ヴァルドニックとも何か……?」


 何かも何も大ありよ!


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