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逃避行
月を見上げながら思い出す
幼い日に見上げたあの大きな月を
閑散とした町の真ん中に立ったまま
なにを思うでもなく見上げた星々を
疲れを溜め込んだ身体から
悲鳴が上がるのも無視して生きる
いつからそんな薄情な人間になって
のうのうと今を生きているのだろう
知らず知らずに過ぎていく
季節を感じるでもなくめくれない
カレンダーはついに一年の時を迎え
また次の年を幾度と経験していった
月を見上げながら飲んだ味
幼い日に見上げたものとは違って
どこまでも追いかけてきたりしない
逃げているのは自分自身だったのに




