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人生を問う
何度も一冊の本を読めることも
こうして文を綴ることができていることも
今生きているこの場所が平穏であるからだ
今まで歩いてきた道が正しいのかは分からない
死に損なった自分のために残した道を歩いては
振り返ることもなく立ち止まることもなく考える
何度も読み込んだあの本を取り
あの頃とは別の感情を覚えながら読み進め
今生きているのはあの頃があったからだと
今まで歩いてきた道が正しくなかったとしても
死に損なった自分のために残した道を不正解と
誰も言えなければ自分自身も言えないとふと思う




