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地に這う
雨上がりの坂道
濡れた葉の上を歩く
足を滑らして転んで
苦痛を紛らわすように
無理に笑顔を浮かべた
一秒先の未来を
描くこともできない
一日、一年先なんて
想像もしたくないけど
十年後の未来がそこに
泥にまみれた手
はたき落としながら
傷にまみれたことも
気にもしたくなかった
気付きたくもなかった
誰の手も借りず
生きていきたかった
無理だと知っている
無理だから望んでいる
ひとりで生きていたい
雨上がりの夜道
踏みつけた水たまり
蹴飛ばした水の欠片
揺れる街灯が眩しくて
ほんの少しいやになる




