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なにもないどこか
海に溶けて、還って
誰も知らない、君も知らない
私も知らない、なにもないどこか
海の底のように
冬の冷えた部屋のような
暗くて冷たくて、でも君が居るからあたたかい
そんな景色の静かな時間過ごせるなら
ゆったりとした、まるで幻のような時
海と空は決して交わらない
そのどちらかに私が居て君が居る
どれだけ探しても見つけられない
分かっていながら駆け回り探すの
夜空に散った星を、星のような砂浜を
海に溶けて、還った
誰も知らない、君も知らない
死を知らない、なにもないどこか




