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付かず離れず
海の中で眠って一生その記憶に溺れていたい
肌を寄せることもなく触れることもなかった
付かず離れずとはこのことかとおもいながら
この夏も会えないまま終わりを迎えるのです
生きている限りは会える可能性も零ではない
そう信じて移ろう季節に軌跡を残していくの
だから私はそんな簡単にはしねなくなったの
優しさをくれた、会いたい人を裏切ることも
自分自身をも裏切ることはまるで重罪だから
もらった優しさを、何度も紡いできた言葉を
この広い海の何処かに眠る日が来たとしても
変わらず付かず離れず居てくれるのでしょう




