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忘れて
忘れてくれていいんだ
忘れてくれるほうがいいんだ
未だに憶えている僕が言うのも何だけど
君は君の人生を歩いていってもらいたい
忘れられたら楽だとか
忘れてくれるほうがいいとか
結局自分のことしか考えていないのだと
君には君の未来があるのだから、と思う
巡り会えてよかったと
それでも忘れられたいのだと
軌跡に、奇跡に感謝をしてもしきれない
君が歩んできた人生に少しでも居られた
忘れてくれていいから
忘れてくれるだけでいいから
月の浮かんだ海は変わらず音を立てつつ
君と僕の足跡は波に攫われて姿を消した