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ひとりだけ
夏の匂いが好きだ
葉の匂い、湿気の匂い
そこに人生を一滴垂らせば
静かな夏の始まりが舵を切る
人はひとりだけで
生きていけないと知る
絶望に満ちた暗い部屋へと
静かな夏の風がふわりと香る
暗闇に流れる曲は
涙を拭うような温もり
抱きしめるような温もりを
静かな夏の夜の隣に座ってる
流した涙は人生の
道を開いて花を咲かせ
ひとりじゃないよとゆれた
静かな夏は終わらないでいい
夏の匂いを纏って
葉の匂い、湿気の匂い
そこに人生を二滴垂らせば
静かな夏の最期を飾っていく




