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あまりに綺麗で
ふと見上げた空があまりに綺麗で
カメラを持って階段を駆け下りた
撮った一枚の写真は綺麗なはずで
たしかにあの空を切り取っていた
重い身体を起こして目を開けても
カーテンを開ける気力すら起きず
隙間から見えた透き通るような青
それすら心を蝕んでは握り潰した
明るさはいつしか暗闇に変わって
暖かい空気は冷たさへと変わった
冷えていく床に手をついて俯いて
涙にもならない感情に溺れていく
ふと見上げた空があまりに綺麗で
カメラを持ったまま立ち止まった
撮った一枚の写真よりも見たいと
思ったのは見られない笑顔だった