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足首
冷えた風が足首を掴む
初々しさを失った葉を撫でながら
雨に打たれるしずくを拭いながら
髪の先から滴り落ちる雨粒は消え
風が巻き上げたしろいワンピース
世のために命を散らし
誰かのために花のように散り果て
誰も悪くない悲しみもあるだとか
誰のせいでもない苦しみもあると
残された白い紙には綴られていた
冷えた風が足首を掴む
どこにも行くなと言うようにして
そこから動くなと言うようにして
見えているのは花ではなく額だと
教えてくれたのはやはりあの白紙