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ガラス
ふたりの間で砕けたガラス
踏むたびに奥深くまで突き刺さる
滲む想いは涙か鮮やかな赤なのか
この傷が治らなければいいとさえ思った
ふたりの間に残ったガラス
これでお互い忘れられなくなった
傷を見るたびに彷彿としていって
遠いあの空が映るすりガラスに手を当て
ふたりの間で砕けたガラス
あの日が終わってからそのままの
砕けた破片はいつまでもかがやき
胸の奥深くにまで少しずつ侵食していく
ふたりの間に残ったガラス
ふたりの間に残った傷をなぞれば
まだ繋がれているようにかんじた
命が鮮やかに散るまでずっと一緒に居て