269/411
夜
夜
ただ寂しく
鏡に映る涙の跡を
指先でなぞっても
星のように届かない
どれだけ手を伸ばそうと
つかむこともできない
夜
ただ窓の外
風に揺れる木々すら
ざわめいているのに
どこかでふるえては
いないだろうかと思った
そんなの慰みにすら
夜
ただかくす
泣き顔なんて見せないと
腕で覆いかぶせては
あまりに長い夜の時
空いた隣に転がり込んで
においはもう消えた
夜
ただの妄想
夢なんて見るべきでない
わかっているつもり
どこかで傷ついてたり
知らないところで泣いても
隣に居られないんだ