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静寂
春の夜の静けさに
少し滲んだ冷たさ
窓の外を覗いても
静寂に包まれているだけで
もうどこにも光なんてない
そう思っても探してしまう
暗い部屋に置いた
スマホの暗い画面
電源ももうつかず
充電すればいいだけのこと
それだけのことすら億劫で
布団に突っ伏して動けない
明日なんて来るな
朝日なんて昇るな
ずっと夜でいいと
願ってもいつも通りの毎日
これからも続いていく毎日
いつまでも続いていく毎日
春の夜の静けさに
少し滲んだ赤色は
辺り一面を染めた
静寂に包まれているだけの
このどんよりした部屋から
二度と出ることはできない